「摘要」という言葉にはあまりなじみがないかもしれませんが、ビジネスシーンでは「重要な箇所を抜き書きしたもの」という意味で使われます。また、会計業務においては頻繁に使用される言葉です。今回は「摘要」について、言葉の意味や使い方、英語訳や言い換え表現についてわかりやすく解説します。
【目次】
【「読み方」「意味」は?「基礎知識」】
■読み方
「摘要」は「てきよう」と読みます。
■意味
「摘要」とは「重要な箇所を抜き書きしたもの」という意味の言葉です。例えば、実施要綱や報告書の「摘要」を読めば、そのおおよその内容がわかります。日常生活では「概要」という言葉を使う機会はあまりないかもしれません。この言葉が頻繁に使われているのは、伝票や帳簿などを扱う「会計業務」においてです。
帳簿には通常、取引上の日付や勘定科目屋、金額が記載されていますが、それだけでは詳しい内容が把握できないことがあります。その際に活用されるのが「摘要欄」です。「摘要欄」には取引先や取引の詳細など、具体的な内容を記入します。あとで帳簿を見返した際に、その金額を何に対して、いくら使ったかがわかるようにするためのものです。確定申告などをしているフリーランスや、企業の経理担当者にとってはおなじみの項目ですね。
■英語で言うと?
「摘要」の英語表現は[summary]や[outline] です。
・a news summary(ニュースの概要)
・an outline of a lecture(講演の摘要)
・I made an abstract of an editoria.(社説の摘要をつくった。)
また、「摘要欄」は[remarks column]と表現します。
【「帳簿」や「請求書」の「摘要欄」には何を書く?】
帳簿の摘要欄には、日付や金額、勘定科目以外の詳細情報を記入します。この欄が空白だったり、内容が曖昧な場合、税務調査で追加資料を求められたり、調査期間が長引いたりすることもあるようです。
■「帳簿」 には
「領収書」のある経費であっても、「消耗品」といった勘定科目だけでは具体的な取引内容がわかりません。例えば文房具であれば、販売元や購入した商品名を記入します。あるいはタクシー代などの交通費であれば、会計科目は「旅費交際費」、「摘要欄」にはタクシー会社の名前と移動経路、使用した目的などが記載されます。
■「請求書」には
請求書の場合、名目や品目という項目があり、そこに具体的な請求内容を記載しますので、基本的に摘要欄は不要とされています。その代わり、振込先や補足事項を記入できるよう、備考欄を設けることが多いようです。
【「摘要」の「使い方」がわかる「例文」5選】
■1:「添付の摘要に目を通していただければ、全体像が把握できると思います」
■2:「会議の報告書には必ず摘要を記載していただけますか」
■3:「難解な条約を理解するには、まず摘要を読むのが効率的だ」
■4:「摘要という言葉が最も多く使われるのは、会計業務においてです」
■5:「経費に関しては、摘要欄に抜けや漏れがないよう注意してほしい」
【「摘要」の「類語」「言い換え」表現】
■概要
■要旨
■大意
■要約
■レジュメ
■ダイジェスト
■サマリー
「要旨」は「発表や論文の要点をまとめたもの」で、箇条書きにしたものも含まれます。「大意」は、「文章のあらすじ」といった意味で、詩や物語などについても用いられます。「要約」や「レジュメ」「ダイジェスト」は、「文章や話などの大切なところをまとめること」。また、「レジュメ」や「ダイジェスト」は、要点のまとめが書かれた紙や印刷物を指すことも多いようです。フランス語の[résumé(レジュメ)] も「レシュメ」の語源なので類義語と言えます。
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「てきよう」の同音異義語に「適用」がありますが、こちらは「法律・規則などを、事例に当てはめて用いること」という意味の言葉。まったく意味の異なる言葉ですから混同しないように注意しましょう。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『プログレッシブ英和中辞典』(小学館)/『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館) :