バスタブから着想を得たオーバル形ケースの “ベニュワール”、そのふくよかなフォルムを女性の手首いっぱいまで細長くシェイプした“ベニュワール アロンジェ”。エレガントな姉妹のようでいながら異なる個性を宿すこの2コレクションが、眩い宝石の輝きと至高のサヴォアフェールによってさらなる美の進化を遂げました!

サヴォアフェールの粋を尽くした、幾何学モチーフのジュエリーウォッチ

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マルケトリ(象嵌細工)による幾何学モチーフの文字盤と、鮮やかな色彩の宝石たちが響き合う“ベニュワール アロンジェ”。Maud Rémy Lonvis (C) Cartier

まずは“2モデルの新作を発表したベニュワール アロンジェ”。

1960年代の「スウィンギング ロンドン」の時代のムードを色濃く映した、エレガンスのなかにもアヴァンギャルドな雰囲気を湛えた独創的なジュエリーウォッチですが、新作ではその文字盤に初めて、メゾンが誇るサヴォアフェールの美しさを取り入れました。2モデルとも、そのメインステージは文字盤です。

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イエローゴールドとホワイトゴールド、ふたつのゴールドを融合させたケースという離れ業を実現させた“ベニュワール アロンジェ”。Maud Rémy Lonvis (C) Cartier

“ベニュワール アロンジェ”はご覧のとおり、細長いオーバル形のフォルムが最大の特徴ですが、それゆえに文字盤は平面ではなく緩やかにカーブを描く3D。そこにこうした幾何学的モチーフをペイント以外で施すことがいかに困難か想像できると思います。

しかし今回、メゾンのデザイナーは、クリエイティビティの限界を自由に押し広げるべく、「斬新なフォルムと驚くようなカラーと素材のコンビネーションを大胆に融合したデザイン」という「理想」を描きました。いわばクリエイターらしい無茶振りですよね。

そのデザインは、スイスの「カルティエ マニュファクチュール」に隣接する、サヴォアフェールを専門的に手がける工房、「メゾン デ メティエダール」へ。デザインを受けとった職人たちは、きっとワクワクしたに違いありません。職人魂に火をつけたデザインという「理想」を、あらゆる困難を克服し、そして長い時間を費やして現実にしたのがこの2本の芸術的新作なのです。

■1:マルケトリとジェムストーンが織りなす色彩の官能美

「カルティエ」がこの“ベニュワール アロンジェ”の文字盤にセレクトしたメティエダールは、マルケトリ(象嵌細工)。

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「ベニュワール アロンジェ」MM/¥12,342,000(参考予価) ●ケース:ホワイトゴールド×ブルートルマリン、グレー&ブラックスピネル×ダイヤモンド ●ケースサイズ:縦47×横20.72mm ●ストラップ:カーフスキン ●ムーブメント:手巻き ※世界限定50本、2023年夏発売予定  Antoine Pividori (C) Cartier

マザー・オブ・パール、ターコイズ、オニキス、ホワイトゴールドの細かいパーツたちのマルケトリによって、抽象的な、まるでモダンアートのような雰囲気の文字盤。色の調和を得るために厳選された素材は、レーザーでミニチュアサイズにカットされ、パズルピースのように組み立てられています。この精緻を極めた作業は、両眼のルーペを使って行われたそう。それは職人にとって、まさに挑戦。ひとつの文字盤には、25時間もの作業が費やされています。

さらに驚かされるのが、ダイヤモンドやグレースピネル、ブルートルマリンで覆われたベゼルの、非常に珍しいダイヤモンドセッティング。ダイヤモンドはなんと、パビリオンを逆向きにセッティングされています! その鋭いラインはまるで透徹に輝くスタッズのよう。通常では思いもつかないこの発想にも、メゾンの非凡なクリエイティビティが表れています。

ジュエリー職人、マルケトリ職人、石留め職人、時計職人がもつ4つのサヴォアフェールが使われているこのモデルは、世界現定50本で製造され、シリアルナンバーが与えられます。

■2:数々のサヴォアフェールが実現させた、強いコントラストの幾何学模様

「メゾンの特徴的なスタイルのひとつである幾何学模様とコントラストから、個性あるウォッチの審美性を再解釈する」──この強い思いから生まれたのが、2色のゴールドを組み合わせたケースのこの作品です。

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「ベニュワール アロンジェ」MM/¥11,814,000(参考予価) ●ケース:ホワイトゴールド×イエローゴールド×ダイヤモンド ●ケースサイズ:縦47×横20.72mm ●ストラップ:カーフスキン ●ムーブメント:手巻き ※世界限定50本、2023年夏発売予定  Antoine Pividori (C) Cartier

イエローゴールドとホワイトゴールド、ふたつのゴールドを融合させることは一見簡単のように見えるかもしれませんが、さにあらず! 時計職人は「マイクロ溶接」という特殊かつ高度な技術を活用。2色のゴールドの境目は、ラッカーのラインによって巧みに隠されています。

そして文字盤はゴールド素材の上をブラックラッカーやエナメルで覆い、加工を施すなど、さまざまなサイズのセクションに区切られています。ホワイトゴールドとイエローゴールドのパーツは、一度ポリッシュしてから、キリによる手作業でサンレイモチーフを施すという仕上げ。この作業は繊細かつ忍耐を要するため、ひとつの文字盤を仕上げるのに4時間が費やされました。

さらに技術的に大きな挑戦となったのが、ブラックラッカーとエナメルのパーツ。湾曲した文字盤に、強い色彩と滑らかなテクスチャーを与えるために、熟練の職人たちは叡智と技術力を注ぎ込みました。

こちらのモデルは、加工からエナメル、ラッカー、ジュエリーまで、ひとつのウォッチの制作に9種類のサヴォアフェールが用いられ、完成までに24か月以上の作業が費やされています。

素材、カラー、幾何学模様の新たな探求を通じてメティエダールを引き立てたこのクリエイションも、シリアルナンバー入り、50本の世界限定製造です。

ランダムなカット、大きさのストーンをまとった麗しのタイムピース

すでにお届けしたバングルタイプのブレスレットの新作を含め、リニューアルを果たした“ベニュワール ”。

1912年にデザインされ、“ベニュワール”と名づけられたのは1973年。以来、オリジナルの優美さを継承しながらも時代に合わせてアップデイト、そしてさまざまなバリエーションを生み出してきましたが、今年はさながら「ベニュワール祭り」!  ケース、文字盤、ブレスレットからクラスプに至るまで、贅沢にジュエリーをセッティングした新たなイヴニング ウォッチも華麗に登場しました。

■1:さまざまなカットの、カラージェムとダイヤモンドの華やぎの競演

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「ベニュワール」SM/¥27,588,000(参考予価) ●ケース:ホワイトゴールド×ダイヤモンド×サファイア×エメラルド×ブルートルマリン ●ケースサイズ:縦24.8×横17.1mm ●ブレスレット:ホワイトゴールド×ダイヤモンド×ブルートルマリン ●ムーブメント:クオーツ ※世界限定15本、2023年春発売予定  Antoine Pividori (C) Cartier

サファイア、エメラルド、クリソプレーズ、ブルートルマリンが描く寒色のグラデーションと、ダイヤモンドの透明感が一体となり、オーバルシェイプのケースからブレスレットへと流麗に輝くジュエリーウォッチ。スノーセッティングが施された文字盤にひと粒あしらわれたカラージェムの色彩も冴えわたって。

■2:ダイヤモンドの壮麗な輝きが、優雅な曲線美を強調

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「ベニュワール」SM/¥25,872,000(参考予価) ●ケース:ホワイトゴールド×ダイヤモンド ●ケースサイズ:縦24.8×横17.1mm ●ブレスレット:ホワイトゴールド×ダイヤモンド ●ムーブメント:クオーツ ※2023年春発売予定  Antoine Pividori (C) Cartier

すべてダイヤモンドのモデルはストーンの輪郭が際立ち、よりノーブルで凛とした雰囲気に。ランダムなカット、大きさのダイヤモンドをひとつの作品へと昇華させた非凡なジュエリーウォッチは、「カルティエ」の宝飾技術と創造性の高さを体現しています。


いつの時代も女性たちを虜にしてきた“ベニュワール”。「カルティエ」のジュエラーとしてのエレガンス、卓越したクラフツマンシップは、この2コレクションでまた大輪の花を咲かせました。2023年、百花繚乱の「カルティエ」の新作ウォッチ。まだまだ引き続きご紹介していきます! どうぞお楽しみに。

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

問い合わせ先

カルティエ カスタマー サービスセンター

TEL:0120-301-757

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この記事の執筆者
東京都出身。大学在学中から雑誌『JJ』などで執筆活動を開始。女性向け本格時計のムックに携わったことから、機械式時計に開眼。『Precious』などの女性誌において、本格時計の魅力を啓蒙した第一人者として知られる。SIHHとバーゼルワールドの取材歴は、女性ジャーナリストとしては屈指のキャリアの持ち主。好きなもの:海、ハワイ(特にハワイ島)、伊豆(特に下田)、桑田佳佑様、白い花、シャンパン、純米大吟醸酒、炊きたてのご飯、たまご、“芽乃舎”の野菜だし、“エルメス”のバッグと“シャネル”の靴、グレーのパーカー、温泉、スパ、素敵旅館、村上春樹、宇野千代先生、神社、日本の陶器(特に唐津焼)、朝ドラ、ドラミちゃん、長文のインタビュー原稿