【目次】
松陰神社ってどこにあるの?「場所」
「松陰神社」があるのは東京都世田谷区若林4丁目。幕末の激動の時代を切り拓いた思想家・教育者の吉田松陰が祀られている神社です。「松陰神社」は地名にはありませんが、駅名や商店街名として親しまれ、神社周辺は高級住宅地となっています。そのほか、世田谷区役所や国士舘大学世田谷キャンパスなどもあります。
松陰神社の「最寄り駅」
「松陰神社」周辺の最寄り駅は東急世田谷線の「松陰神社前」駅です。 東急世田谷線とは、東急田園都市線の走る三軒茶屋駅と京王線の通る下高井戸駅をつなぐ路面電車のこと。世田谷線沿線は全体的にとても穏やかな空気感があります。松陰神社前駅は三軒茶屋駅から3駅目。三軒茶屋駅から渋谷駅までは東急田園都市線で5分程度と、渋谷に近いのも魅力的です。バス路線も充実していて、特に朝の通勤時間帯には渋谷駅行きが多数あり、交通の利便性が高い街としても知られています。
松陰神社の「地図」
松陰神社の「歴史」と「由来」
江戸時代、松陰神社のある一角は「大夫山」や「長州山」などと呼ばれていました。「長州山」と言われるのは、この場所に長州藩が若林村の農民から土地を購入して建てたという抱(かかえ)屋敷があったからです。「太夫山」は当主が毛利大膳大夫という名だったことに由来します。「松陰神社」のある場所は、もともと長州藩(山口県)にゆかりのある場所なんです。
明治維新の時代の歴史をおさらいしながら、松陰神社のなりたちを紹介していきましょう。
安政3(1856)年、総領事ハリスが日本駐在を開始し、日米修好通商条約の締結を幕府に迫ります。この締結の問題と将軍継嗣問題で政局が揺れ動くなか、大老職に就いた井伊直弼は安政5(1858)年に日米修好通商条約に調印しました。これに反対する人たちを一掃するため、井伊直弼は「安政の大獄」を行います。このとき、討幕派だった吉田松陰も収監され、のちに死罪となりました。当初、遺骸は荒川区南千住にある「小塚原回向院」に葬られていました。文久3(1863)年、松陰の門下生であった高杉晋作や伊藤博文らの手により若林の長州藩の抱屋敷内に改葬されました。
しかし、その翌年元治元(1864)年に尊王攘夷を掲げる長州藩士の挙兵によって京都で「禁門の変」が起こります。長州藩は破れ、長州征伐が行われて抱屋敷も没収。敷地内にあった松陰らの墓も破壊されました。その後、明治新政府が樹立、そして明治4(1868)年に藩命を受けた木戸孝允がこの地に墓碑を建てます。木戸孝允は、松陰に師事し、幕末に桂小五郎として名を知られた剣豪です。さらに明治15(1882)年には、旧藩主毛利元徳および松陰の門人、旧知の者が墓の近くに社を築いてその霊を祀ります。それが現在の松陰神社です。
松陰神社の「由来」とは?
松陰神社は地名にはありませんが、世田谷線の駅名やその周辺の商店街などの名前として親しまれています。吉田松陰を祭神とする「松陰神社」は学問の神として知られ、松陰神社前駅から北に徒歩3分の距離の場所にあります。
松陰神社周辺の3つの「魅力」
■1:どこか懐かしい「松陰神社通り商店街」が駅の南北に広がります
この商店街、歩いてみるとよくある商店街とはどこかが違う印象です。昔からある店と、新しくできたおしゃれなカフェなどがうまく融合していて平日なのに程よく賑やか。すぐに売り切れてしまうと人気の「松陰まんじゅう」がある駅前のパン屋「ニコラス精養堂」をはじめ、フルオーダーシャツが話題の「山本ワイシャツ店」、駄菓子屋さんや美味しいコーヒーが飲めるカフェ、花屋、青果店、惣菜店、鮮魚店、そのほか100円ショップにドラックストア、書店、コンビニエンスストア、話題の飲食店などなど──。網羅性が高いんです。
■2:世田谷区役所に近い場所です
東急世田谷線の松陰神社前駅とその隣の世田谷駅のどちらからも徒歩5分くらいの距離に、世田谷区役所があります。役所に出向かなければいけない手続きは意外とあるもの。「家から区役所が近い」というのは、住居地選びのアドバンテージのひとつになりえますよね。しかも、区役所近くには、区民会館、そして税務署もあるんです! 現在、区庁舎と区民会館は建て替えが進んでいて、今後は屋上庭園などもできるとのこと。さらに街の質が高まりますね。ちなみに区民会館の北側には、国士舘大学があります。
■3:映えスポットにもなっている「豪徳寺」があります
東急世田谷線の松陰神社前駅から3つ先の宮の坂駅から徒歩5分の場所に「招き猫の聖地」としても知られている「豪徳寺」があります。「豪徳寺」は彦根藩主・井伊家の菩薩寺で井伊直弼の墓があるお寺。井伊直弼は、吉田松陰らを死罪とした安政の大獄を断行した譜代大名ですが、その反動を受けて、万延元(1860)年に桜田門外で水戸・薩摩の浪士らに襲撃され、暗殺されます。吉田松陰と井伊直弼。幕末の歴史に名を刻み、そして対立したふたりの人物がそれほど離れていない場所で眠っていることに、当時の激動と複雑さを感じます。「松陰神社」と併せて散策をしてみてはいかがでしょうか。
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松陰神社前駅から散策をスタートして「松陰神社」へと行き、そのまま徒歩で「豪徳寺」へ。この辺りは緑も多く、とても心地のよい空気感があります。地元の商店街は活気があり、渋谷行きのバスも豊富。都心からのアクセスがよく、温かみのあるこの街に住んでみたくなりました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- 柳堀栄子
- WRITING :
- 柳堀栄子