第93回ピッティ・ウォモで発表されたアイテムから、特に気になるものを取り上げた速報を3回にわたってお届けしてきた。最終回では、ブランド設立から早10年、パンツ市場のトレンドを牽引するほどまでに大成長した、トリノに本拠を構える「PT01」と、根強いファンの多い英国の靴ブランド「チーニー」からご紹介したい。

極上のシルエットに加えて素材も絶品!

手前がコットンツイルで、奥がピーチスキン。どちらも生地の厚みとやわらかさを備え、とてもはきやすい。
手前がコットンツイルで、奥がピーチスキン。どちらも生地の厚みとやわらかさを備え、とてもはきやすい。

 まず、「PT01」のパンツ。「PT01」は、2016年、クリエイティブディレクターにドメニコ・ジャンフラーテ氏が就任してから、さらに刺激的なデザインのパンツ提案が積極的だ。ブランドの中核を担うクラシックなパンツのヴァリエーションを広げるだけではなく、股上は深めでヒップ回りがゆったりとし、すそに向ってシルエットがすぼまるキャロットタイプの新しいパンツも増えてきた。日本のマーケットにそんなパンツが徐々に浸透し始めている。

  写真のパンツは、生地感が抜群。コットンツイルで手応えのある感触に加え、生地表面を毛羽立てた通称ピーチスキンという加工で、実に気持ちのいい肌触り。生地に厚みがありながらも、やわらかさを備えることで、パンツをはいたときの極上のフィット感が想像できる。シルエットは、「PT01」が得意なシャープなライン。しかし、決して細すぎない「ジェントルマン・フィット」での展開がうれしい。

ホーウィン製レザーを使った男っぽいブーツも!

男っぽいがワイルドすぎない、絶妙なデザイン。雨の日もがんがん履いて「育てて」いきたい。
男っぽいがワイルドすぎない、絶妙なデザイン。雨の日もがんがん履いて「育てて」いきたい。

 次は、「チーニー」のブーツ。ラストはいま話題の「12508」を使い、ホーウィン社のイングリッシュタン・レザーで製作した。コロンとした丸みのあるつま先や金具を使った鳩目(アイレット)のデザイン、9つのアイレットの長いスタイルなど、男っぽい無骨な雰囲気を綺麗にまとめた1足。靴底は、ダイナイトソール仕様で日常的に楽しめそうだ。いつも感じることだが、「チーニー」の靴は、カントリーな顔立ちの靴づくりが巧みである。

 以上、計4回の速報で8つのアイテムがそろった。どれも来季が待ち遠しい秀逸なものばかりだ。         

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この記事の執筆者
ヴィットリオ矢部のニックネームを持つ本誌エグゼクティブファッションエディター矢部克已。ファション、グルメ、アートなどすべてに精通する当代きってのイタリア快楽主義者。イタリア在住の経験を生かし、現地の工房やテーラー取材をはじめ、大学でイタリアファッションの講師を勤めるなど活躍は多岐にわたる。 “ヴィスコンティ”のペンを愛用。Twitterでは毎年開催されるピッティ・ウォモのレポートを配信。合わせてチェックされたし!
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