旅の行き先ランキングで1、2を争う人気の北海道。本州とはスケールの異なる雄大な自然や、ご当地グルメなどさまざまな魅力に溢れますが、実は日本で一番、温泉地が多いスポットでもあるのをご存知でしょうか。旅行の際は、北の大地から湧き出た湯のよさもたっぷり堪能したいところです。

そこで、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんに、北海道の名湯をピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、天塩郡豊富町にある「豊富温泉 川島旅館」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の3000スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

世界で2か所しかない貴重な「オイルバス」とは?

川島旅館の外観
川島旅館の外観

日本最北端の温泉郷といわれる豊富温泉。のどかな自然のなか、北海道産カラマツ材を使用したスタイリッシュな外観が目を引くのが、今回ご紹介する川島旅館です。

開放感あるラウンジ
開放感あるラウンジ

「豊富温泉の魅力は、原油を含んだオイルバス。もともと石油の試掘を行った際に、偶然にも地中深くから天然ガスと湯が湧いたのが開湯のきっかけだといわれています。ナチュラルなハーブのような香りが鼻腔に心地よく、温泉成分が肌をしっとりと包んでくれるオイルバスは国内では唯一無二。世界的にも珍しく、アゼルバイジャンとここ豊富の地でしか味わうことができません」(植竹さん)

貴重なオイルバスを満喫できる大浴場の内湯
貴重なオイルバスを満喫できる大浴場の内湯

「川島旅館は、そのオイルバスを源泉かけ流し100%で堪能できる名宿。泉質自体は周辺の施設と同じなのですが、こちらの宿では成分がとりわけ濃厚に感じられます。また、湯のコンディションが時間帯によって変わるのも天然温泉ならではです。チェックイン当日に初めて浸かったときも『いい湯だな』とぐっときたのですが、翌朝一番の湯はさらにコンディションがよく、細かな湯の花が舞うオイルバスは感動ものでした。

大浴場の内風呂、露天風呂、そして貸切露天風呂があり、清掃時間を除いていつでも入浴可能です。オイルのほか、重曹や塩化物、さらには天然の保湿成分メタケイ酸も豊富に含む湯で、ツルツルとしっとりの両方を叶えることができました」(植竹さん)

露天風呂(左)や貸切露天風呂(右)でも至福の湯浴みを…。
露天風呂(左)や貸切露天風呂(右)でも至福の湯浴みを堪能して

これは新感覚!フレーバーバターのコース料理に感動

フレーバーバターを味わい尽くすコース料理
フレーバーバターを味わい尽くすコース料理

「北海道といえば乳製品がおいしいイメージがありますが、ここ川島旅館ではオリジナルのバターが絶品。搾りたての豊富牛乳を原料として手作りしたバターに、北海道産の良質な素材を混ぜ込んだフレーバーバターは、一度食べたら忘れられません。

夕食ではフレーバーバターをとことん味わえるコースをいただきました。アヒージョや鮪のカマなど、どの料理にもバターがこっそり使われているのですが、さっぱりとした軽い口当たりで、食事が進んでもまったくくどさや重さは感じられません。

バターってこんなにおいしかったんだ…とどの料理も舌を驚かせる斬新さがあったのですが、最も心がときめいたのは、かぼちゃスープ。隠し味のトリュフバターが絶妙なアクセントで、メロメロになってしまいました」(植竹さん)

フレーバーバターはお取り寄せや物産展でも完売するほどの人気商品
フレーバーバターはお取り寄せや物産展でも完売するほどの人気商品

「朝食ではお好みのフレーバーバターを取り放題。トリュフや鮭ぶし、昆布など、しょっぱい系のフレーバーバターはパンだけでなく、ご飯との相性も抜群です。ご飯は白米と玄米の2種類があり、私は玄米を選択。もっちりとしたゆめぴりかの玄米にのせて、フレーバーバターを食べつくす至福の朝食でした」(植竹さん)

朝食ではお好みのバターをビュッフェ形式で。
朝食ではお好みのバターをビュッフェ形式で
朝食のおかず6種は日替わり。
朝食のおかず6種は日替わり

以上、「豊富温泉 川島旅館」をご紹介しました。濃厚なオイルバスと極上のフレーバーバターのコース料理に出合えるのはこの宿ならでは。新しい体験を求めている人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

問い合わせ先

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生