雑誌『Precious』7月号では、「眺めて幸せ!食べて幸せ!笑顔こぼれる『焼き菓子』の時間」を特集。老舗の味から、不定期販売の幻の品、とっておきまで。夏だって、アイスティーやビール、ワインと合わせて楽しみたい!

小麦粉と卵とバター。この3つを中心につくられるのに、味も形もさまざまで奥が深い焼き菓子。それは、日常に幸せな時間をもたらしてくれます。片手で手軽につまめる名品をご紹介。

本記事では、いつも素敵なレシピで口福をもたらしてくれる、坂田阿希子さんと小堀紀代美さんに、焼き菓子偏愛について語っていただきました。

坂田阿希子さん
料理家 「洋食KUCHIBUE」店主
料理教室「studio SPOON」主宰。’19年、東京・代官山にオーナーシェフとして「洋食 KUCHIBUE」を、’22年、故郷の新潟にお菓子工房「BONJOUR KUCHIBUE」を開店。最新刊は『オードブル教本』(東京書籍)。

坂田さん「クッキーは“一種入魂”派。横向きでギュッと詰めたい。独り占めしたい秘密の宝物」

小堀紀代美さん
料理家
カフェ経営を経て、料理教室「LIKE LIKE KITCHEN」主宰。世界を旅するなかで生まれたレシピが評判。最新刊は『ごはんにかけておいしい ひとさライス』(西東社)。実家は栃木県宇都宮市の「コボリ洋菓子店」。

小堀さん「大人の焼き菓子に欲しいのは端正さ。それは、ひとり時間をちょっといいものにしてくれる」

料理家ふたりが語る焼き菓子偏愛。

小堀さん「ステイホーム期間以降、ネットで買えるようになったり、焼き菓子の販売を始めたお店も増えたよね」

坂田さん「レストランから個人の方まで、もう追いつけないくらい!」

小堀さん「オンラインを中心に販売している個人の方の焼き菓子は、材料のこだわりも面白い商品が多い気がする。最近衝撃を受けたのは、『甘雨』のクッキー。バターや粉の風味がしっかりあって、手間がかかっている感じが伝わって、素晴らしかった!」

坂田さん「個人的には、バターをたっぷり使っているようなクラシックなクッキーが大好きで、ときどき無性に食べたくなるのが老舗 『モンブラン』のティーコンフェクト。見た目にもぐっと来ます」


●「モンブラン」ティーコンフェクト クラシック箱入り

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[縦11.2×横16.4×高さ5.5cm]12個 箱入り¥3,800 通販あり

半生のようなソフト感が懐かしくて美味しい

あのモンブラン発祥の老舗の、50年以上変わらない人気商品。いちごジャムをサンドしたうずまき柄の「グラズール」、生地にプラリネを練り込み、プラリネクリームを挟んだ「ショコラ」など、どれもフレッシュバターを使い、手づくりでしっとり焼き上げている。

SHOP DATA

  • モンブラン
  • 営業時間/10:00〜18:00
  • 休業日/火曜(不定休あり) 
  • TEL/03-3723-1181
  • 住所/東京都目黒区自由が丘1-25-13 1F

小堀さん「いつ行ってもある安心感とか、ノスタルジックな感じがあるよね」

坂田さん「そうなの。アーモンドプードルがちょっと入っているようなソフトクッキーとか、『カーベー・ケージ』のモーンのようにジャムをはさんでいるものも大好物。どこか憎めない感じに惹かれるみたい」

小堀さん「私、クッキーは買うよりいただくほうが多いんだけど、『リュードパッシー』はどれも王道のフランス菓子で美味しかった!」


●「カーベー・ケージ」モーン

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1枚¥378 通販あり

正統派ドイツ菓子の甘い食べ応え

昔ながらの製法でつくられるドイツの菓子やパンが人気の老舗。その代表格の「モーン」は、バターをたっぷり使ったビスケットに、ラズベリージャムを挟んでチョコレートがけに。大ぶりなサイズにささやかな罪悪感を覚えながらも、一口食べれば濃厚な甘酸っぱさの虜に。

【SHOP DATA】

●「リュードパッシー」フールセック中缶

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[縦16×横21×高さ5cm]¥3,888(小缶と大缶もあり) 通販あり

王道で新しいフランスの “伝統菓子”

キャラメル使いが評判の名店。キャラメリゼしたパイ生地の「プレオール」、アーモンドとアプリコットの組みわせが絶妙な「ミロワール」など、フランス産小麦粉100%を使って丁寧に焼き上げた6種類。「いつもここに戻ってくる」という焼き菓子好きが多い。

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坂田さん「何種類も入っていると、『今日はこの気分じゃないかな』というのもあるじゃない? 私、自分で買うときは絶対的に美味しい1~2種類だけが入っているのを選びがち。好きなものを思う存分食べたくて。さらに、横向きにギュッと詰まっているのが好き。クッキーは、無防備な側面にはかなさとか、ときめきのような美学がある気がしていて」

小堀さん「そういう意味では、『パレスホテル東京』のシナモン&ジンジャーサブレ缶は完璧かも。1種類だけ詰まっていて、ジンジャーが効いて、甘すぎないからつい食べちゃう」

坂田さん「そうそう、その感じ! 詰め方では 『帝国ホテル』の詰め合わせも素晴らしいと思う」


●「パレスホテル東京」シナモン&ジンジャーサブレ缶

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[縦11.2×横16.4×高さ5.5cm]¥4,000  通販あり

ぎっしり感がうれしいサブレ

パレスホテル東京のペストリーショップ「スイーツ&デリ」のサブレ。パステルカラーの缶、花形のサブレの愛らしい印象を心地よく裏切る、ジンジャーのピリリとした刺激とシナモンの甘い香り。ワインやビールにもよく合う。

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小堀さん「ホテルメイドにはラグジュアリーな楽しみがあるよね。私はグラニュー糖を使っていたり、しっかり火が入っているような硬めのクッキーが好き。硬めだと『トロッコ』は、ガリガリかじると粉のうま味が感じられて、ヴィーガンスイーツだけれど、ちゃんと甘さもあって。『メルシーベイク』のおつまみクッキーは程よい塩気がお酒によく合います」

坂田さん「『ヨネムラ ザ ストア』のクッキーもお酒好きな人への手土産に喜ばれそう。そういえば、クッキー缶の缶って、捨てられなくない?」


●「トロッコ」プレーンクッキー、オートミールクッキー

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右から/プレーンクッキー1枚¥90、米粉を使ったグルテンフリーのオートミールクッキー1枚¥160 ※店頭のみ

毎日食べたいシンプルなおやつ

なるべくオーガニックな素材を使ったヴィーガンな焼き菓子を気軽に買ってほしいと、クッキーは1枚90円~。ガリガリとしたクッキーの味と食感がクセになる。

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●「メルシーベイク」おつまみクッキー、グラノーラクッキー

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右から/「おつまみクッキー」¥1,100、「グラノーラ」¥1,100 袋入りクッキーは店頭販売のみ。

“ながら”でつまみたい、クセになる味

パティシエの田代翔太さんがつくるのは、フランス菓子をベースに、気軽に手軽につまめる焼き菓子。定番のおつまみクッキーは、ごまの香りと甘じょっぱさでアペロにもぴったり。1月と8月に予約販売する「クッキーボックス」も人気。

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●「ヨネムラ ザ ストア」よねむら サマートリュフクッキー

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[縦9×横23×高さ4cm]¥8,500  通販あり

トリュフをふんだんに使った贅沢な味わい

京都の2つ星フレンチ「新門前 米村」の米村昌泰シェフが味と香りにこだわってつくるクッキーは、イタリア産のトリュフをたっぷりと生地に混ぜて焼き上げる。バニラビーンズの入った「甘」味と、パルミジャーノの塩気が美味しい「辛」味の2種入り。薄焼きの食感も心地いい。

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小堀さん「缶にはつくり手の思いが表れるから、捨てられないよね。私はドゥミ・セック(半生菓子)が好きで、昨年オープンした 『ポピー』のレモンマドレーヌがよかった。さくっ、ふわっとした食感とレモンの香りのバランスがよくて」

坂田さん「美味しそう。前に教えてもらった 『ハドソンマーケットベーカーズ』 の濃厚な甘さも好きだった!」

小堀さん「あのアメリカンな甘さがたまに食べたくなるの。焼き菓子って、丁寧につくっているかどうかは、見てわかる部分もあるよね。キメが細かいから生地をいい状態で焼いているんだな、とか」

坂田さん「クッキーを割ったときにちゃんと層になっているな、とか」

小堀さん「そんな端正な美味しさが、大人の焼き菓子には欲しい気がする」

坂田さん「端正ってキーワードかもね。私ね、クッキーを買って隠しておいて、家人がいない時間、美味しい紅茶を入れて3枚だけ食べるみたいに、独り占めするのも好き。秘密の宝物みたいで」

小堀さん「美味しい焼き菓子って、日常をちょっといいものにしてくれるものかもしれないね。かじりながら、仕事していたりするけれど(笑)」


●「ポピー コーヒー&ベーカリー」レモンマドレーヌ

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2個入り ¥480、フルーツ柄で包んだ6個入り¥1,380 ※店頭のみ

コーヒーと合わせて買える幸せ

人気のSHOZO COFFEEが手掛けるコーヒーと焼き菓子の店。地元で愛されてきた洋菓子店の空間とオーブンなどを引き継いで’22年にオープン。「ツルミ製菓」の鶴見昴さん監修のレモンのマドレーヌは、シャリッとした糖衣がけ、ふわりと甘い生地からレモンが爽やかに香る。

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●「ハドソンマーケットベーカーズ」バタースカッチケーキ、レモン・ポピーシードケーキ、はだのマッド・バーボン・チョコレートケーキ

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左から/バタースカッチ・バニラケーキ¥400、レモン・ポピーシードケーキ¥460、マッド・バーボン・チョコレートケーキ¥440 ※店頭のみ

クセになるアメリカンベイク

店主のおおつぼほまれさんが、10年のニューヨーク生活で魅せられた焼き菓子をベースにした商品は、都内在住のアメリカ人のファンも多い。

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※掲載商品の価格は、すべて税込みです。商品内容は変わる場合があります。

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PHOTO :
神林 環
STYLIST :
西㟢弥沙
EDIT&WRITING :
松田亜子、佐藤友貴絵(Precious)
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