「三者三様」は「物事のやり方や考え方は、3人いれば三通りある」という意味の四字熟語です。では、4人いたらどうでしょう? 6人いたら「六人六様」? ヒントは「三」という漢字がもつ意味にありました! この機会に「三者三様」の意味や使い方、類語をマスターしましょう!

【目次】

「三人三様」とも言いますね。
「三人三様」とも言いますね。

【「三者三様」を正しく理解するための「基礎知識」】

■読み方

「三者三様」は「さんしゃさんよう」と読みます。

■意味

「三者三様」は、「物事のやり方や考え方が、人によって違うこと。3人いたとすれば、3通りの方法があること」を意味する四字熟語です。


【「四者四様」という言葉はある?】

結論から言えば、「四者四様」という言葉はありません。「三」という文字には、数える言葉として「三番目の数」という意味がありますが、実は「決まっていない多くの数」を示す語でもあります。従って、4人についても5人についても、「三者三様」と表現します。ちなみに、出版社「三省堂」の社名は、中国の古典『論語』にある「吾日三省吾身」(われ日にわが身を三省す)という言葉が由来。「不忠、不信、不習について、日に幾度となくわが身を省みる」という意味なのだそうです。


【「使い方」がわかる「例文」5選】

■1:「同じテーマの論文でも、三者三様のアプローチがあるものだ」

■2:「多様性への理解は、三者三様という概念を受け入れることからはじまる」

■3:「プレゼンでは三者三様の素晴らしい提案があり、甲乙つけ難かった」

■4:「眩しい陽差しの下で街行く人を眺めていると、三者三様におしゃれを楽しむ様子にこちらの気持ちも華やいでくるようだ」

■5:「人の好みは三者三様なのだから、全員に好かれようなどとは考えないほうがいい」


【同じような意味の「四字熟語」】

■三人三様

「3人いればその3人とも、性格・行動・考えなどがそれぞれ異なること。また、その様子」という意味の四字熟語。「三者三様」と同じ意味ですね。実は『デジタル大辞泉』には「三者三様」の見出しはなく、「三人三様」は記載されています。

■十人十色(じゅうにんといろ)

「色」には「態度」という意味があります。「十人十色」を直訳すると、「10人いれば10通りの態度がある」。つまり、「人にはそれぞれ個性がある」ことを意味する四字熟語です。

■千差万別(せんさばんべつ)

「千万」もの「差別(区別・違い)」を表す「千差万別」は「それぞれの間に非常に多くの違いがあり、個性豊か」なことを意味します。「千」「万」という文字が使われているように、たくさんのものを対象とした言葉で、ふたりや3人など、少しの数に対しては使いません。「せんさまんべつ」「せんしゃまんべつ」という読み方は正しいとする辞書もある一方、誤りとする辞書もありますので、一般的な読み方である「せんさばんべつ」を覚えておきましょう。

■多種多様

「多種多様」は「種類や状態がさまざまであること」を指します。「あんなものから、こんなものまで!」というニュアンスです。

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「三者三様」は「どれもそれぞれに個性があること」をポジティブに表した言葉です。反対に、「え? こんなのが好きなの(物好きね)!?」と驚きや皮肉を込めて使われる言葉として「蓼食う虫も好き好き」があります。これは「蓼(たで)」という苦い葉を好んで食う虫がいるように、人の好みはさまざま、という意味のたとえです。決して「いいね!」という意味にはならないので、お気を付けください! 誰かに言われてしまったときは、「ほっといて!」とおおらかな気持ちで受け止めましょう。何かを好きになる気持ちは自由なのですから…。

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館) /『新選漢和辞典Web版』(小学館) /『角川類語新辞典』(角川書店)/『四字熟語ときあかし辞典』(研究社) :