ジャガー・E-PACE(イーペイス)は、全長4.4mのボディに2リッターエンジン搭載の4輪駆動車だ。日本導入にさきがけてコルス(コルシカ島)で開催された試乗会に参加した、ライフスタイルジャーナリストの小川フミオ氏のリポートをお届けしよう。
「ペイス」が意味するもの
ジャガーは(ご存知のように)スポーツカーと大型サルーンで知られた英国のブランドだ。英国のおもしろいところはヘリティッジに拘泥することなく、新しいことにも大胆であること。
音楽やファッションと同様、ジャガーのプロダクトも核にあるスポーティさとエレガンスは守りつつ、時代の要請に応じて新しいコンセプトを採り入れたのが特徴といえる。
E-PACEはジャガー初のSUV、F-PACEに続くモデルで、ペイスとは「(クルマにとって大事なのは)spaceとpaceとgraceだ」とした創始者のサー・ウィリアム・ライオンズの言葉からとったものだそう。
paceとはスポーツでおなじみ、いってみれば速さのことで、E-PACEにはたしかにそれがある。コルス北部のポルトベッキオを中心とした試乗で、その軽快なドライブ感覚をしっかり味わうことが出来た。
日本導入モデルはエンジンでいうと3つ。ガソリンは250馬力の「P250」と300馬力の「P300」。ディーゼルは180馬力の「D180」だ。すべて2リッター4気筒である。
モデルは「E-PACE」とスポーティな「R-DYNAMIC」。それぞれ装備の違いで標準モデル、「S」「SE」「HSE」と4つのサブグレードが設定されている。
つまりたとえば最も高性能で装備が豊富なモデルというと、「P300」の「R-DYNAMIC」の「HSE」という組み合わせとなる。
コルスで乗った1台はその「P300」だ。221kW(300馬力)の最高出力と400Nmの最大トルクを発生する。「シャシーはスポーツカーと同等のねじれ剛性を確保」とジャガーの開発者が言うとおり、どんな道を走ってもボディはびしっとしている。
よく回るエンジンで道を選ばず楽しめる
最大の魅力はパワフルで、かつよく回るフィールがとてもいいエンジンだ。サスペンションの設定も上手で、ロールは適度に抑えてカーブでは気持ちよく、それでいてある程度速度が上がったらしっとりと、というかんじになる。
コルスではあえてオフロードコース(渡河をふくむ)が用意されていた。そこでもこのクルマは急勾配の泥濘地とともに難なくクリアしてしまった。
ぼくは雪山やスコットランドの荒れ地でこれまでにランドローバーやレンジローバーを試してきてその実力ぶりの一端を知っているつもりだけれど、E-PACEにもその経験がしっかり活きているかんじだ。
日本では「D180」も人気を呼びそうだ。コルスではもっとパワフルなディーゼル仕様にしか乗れなかったが、レンジローバー・ヴェラールの経験からすると、180馬力のディーゼルは充分すぎるほどの力でE-PACEを楽しませてくれるはずだ。
価格は「D180」が451万円から。ガソリン仕様では「P250」が475万円からで、「P300」が605万円からとなっている。専用装備などが盛り込まれた限定「ファーストエディション」はD180が738万円、P250が764万円である。
そういえば映画「キングスマン」ではサビルロウのテーラーの奥に超ハイテクな設備の基地が設けられているという設定だった。ジャガーという伝統の名を持ちつつ、出来はトップクラスのコンパクトSUV、E-PACEもやはりいまの英国的なクルマといえる。
■問い合わせ先
ジャガーコール
TEL:0120-050-689
https://www.jaguar.co.jp
- TEXT :
- 小川フミオ ライフスタイルジャーナリスト