『Precious』本誌をはじめ、テレビや広告など幅広く活躍する人気スタイリストの犬走比佐乃さんに、大人の女性に必要なファッションについて教えていただく連載。
今回は「犬走スタイル」に欠かせない永遠の定番、そしてフェイバリット小物である「エルメス」のスカーフにフォーカス! 少しずつ買い足してきたというコレクションから、特に愛用している一部を公開。その魅力とファッションプロならではの選び方の流儀を伝授していただきます。
「エルメス」のスカーフは“効かせる”? それとも“なじませる”?
この連載でもしばしば登場している犬走さんの「エルメス」のスカーフ。撮影や打ち合わせなど普段のコーディネートでも、さまざまなスカーフを多様なアレンジで華麗に取り入れ、「スカーフの魔術師」という異名をもっていることをご存知の方も多いでしょう。
そんな犬走さんが初めて「エルメス」のスカーフに出合ったのは、20代半ばのころだったそう。
「それが私のファースト・エルメスだったと思うのですが、確か『カレ 90』だったはず。当時はパリでコレクションの時期にエルメスのソルド(セール)が行われていて、反物の状態で売っていることもありました。それを購入して、端をひと針ひと針まつり縫いして使っていたのもいい思い出です」(犬走さん)
今では驚きの懐かしいエピソードを披露してくれた犬走さん。しかし、残念ながら当時のスカーフはもう手元にはないそう。
「現在所有しているスカーフは、30代になってから少しずつ買い足していったものです。コレクションしているという感覚はまったくなかったのですが、気がついたら結構な数が集まっていました(笑)。シルクのスカーフは他ブランドのものも所有していますが、エルメスはやはり柄の美しさは格別! 軽やかで肌触りも極上で、年齢を重ねるにつれ、つくづく“名品”だと実感しています」(犬走さん)
■1:最愛カラーのネイビーを基調とした『カレ』は55cmと65cm
「エルメス」の正方形のシルクスカーフ『カレ』。一般的には90×90cmの『カレ 90』がもっともメジャーなサイズですが、犬走さんは90よりもコンパクトなサイズがお好み。
「このサイズ感だと大げさにならず、さりげなくアレンジすることができるんです。この連載でスカーフのアレンジ術をお伝えした回でも、他ブランドですが60×60cmのスカーフを多用しました。エルメスなら、個人的に一番あしらいやすいなと思うのが、この『カレ 65』と『カレ 55』。タートルネックの首元にコンパクトに巻くのにも、タイのように胸元に垂らす“シェフ巻き”にするのにもこの2サイズがベストですね」(犬走さん)
■2:「非ネイビー」のブルー系は、少し鮮やかな色彩をセレクト
「エルメス」に限らずスカーフは、コーディネートに「効かせる」というより「なじませる」のが犬走流。
「私のワードローブを考えると、ネイビーのみならずブルー系全般だとなじませやすいし、そもそもブルー系が好きなのでつい買ってしまうんですね(笑)。でも買って満足しちゃうことも少なくなくて、中央のターコイズブルーのものはまだあまり活用できていなかったりするので、どんな風にスタイリングしようか楽しみでもあります」(犬走さん)
大きさのほか、犬走さんが選ぶ際の重要なポイントはふたつ。
「ひとつは1枚のなかで使われている色数が多くないこと。もうひとつは描かれている柄。はっきりと何かわかる絵画的なものより、あいまいで抽象的なモチーフのほうがコーディネートになじみやすく、さりげなく洗練度を上げられるような気がします」(犬走さん)
■3:厚みが出にくく収まりがいい『トライアングル ジェアン』も便利!
正方形の『カレ』だけではなく、犬走さんは三角形の『トライアングル ジェアン』も所有。
「正方形だと巻く前にバイアス折りにするのですが、『トライアングル ジェアン』だとその手間を省いても様になるのが魅力です。小さいほうは後染めの“ディップ・ダイ”ならではの独特の色合いが、大きいほうはトリコロールの配色とイエローの縁取りが新鮮で気に入り購入しました」(犬走さん)
■4:『ツイリー』はタイ感覚でさりげなく首元に
細長い形状のため使いやすく、手軽にアレンジできるのが魅力の『ツイリー』。エルメスファンの間では、『バーキン』などのバッグのハンドルに巻いて使う人も多い人気アイテムです。
「バッグのハンドルに巻くのも素敵な使い方だと思いますが、私はもっぱらタイのようにシンプルに首元にあしらっています。サイズは確か5タイプほどでの展開ですが、私は幅5cm×長さ86cmの最もノーマルなタイプを選びました」(犬走さん)
今回は「スカーフの魔術師」とも称される犬走さんが愛用する「エルメス」のコレクションの一部と共に、セレクトの流儀と世界の女性たちの心を惹きつけてやまない名品の魅力をお届けしました。スカーフを使ったおしゃれが楽しくなるこれからの季節。日々のコーディネートに上手に取り入れ、コーディネートをブラッシュアップしてみませんか?
※私物に関してのブランドへのお問い合わせはご遠慮ください。
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- PHOTO :
- 田中麻衣(小学館)
- WRITING :
- 岡村佳代
- EDIT :
- 谷 花生