【Art】国立西洋美術館の常設展が贅沢すぎる!世界に誇る西洋絵画のコレクションを堪能したい
2022年春に前庭のリニューアル工事が終わり、ル・コルビュジエが設計を手掛けた開館当時の姿へと近づいた、東京・上野の世界遺産、国立西洋美術館。建物だけではなく、そのコレクションも世界レベルなのです!
美術ジャーナリストの藤原えりみさんにナビゲートいただきました。
【今月のおススメ】ペーテル・パウル・ルーベンス《眠る二人の子ども》
17世紀フランドル美術を代表する画家ルーベンスは、数々の大型油彩画を残し、「王の画家であり、画家の王」とまで呼ばれたバロック絵画の巨匠。だが、国立西洋美術館ではこんなにかわいらしい作品も所蔵。描かれているのは、ルーベンスの兄の子供。カールした髪の毛のふわふわ感と、肉付きのよい頬のツヤツヤ感に思わずほっこり。画家の観察眼と描写力に驚かされる。
『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏』というドキュメンタリー映画が今、全国公開中です。国立西洋美術館が前庭リニューアル工事により閉館していた2020年から2022年までの間、そこで働く学芸員、研究者、外部スタッフらに取材を重ねた、美術好きならずともワクワクする映像なのですが、画面の端々に映る所蔵作品に「ん!?今の何? 観たことないぞ」と、注意を引かれることもしばしば。仕事柄、かなりの作品を把握しているつもりではありますが、それでも国立西洋美術館のコレクションの充実ぶりに改めて感心してしまいました。
多くの人は、特別企画展を目当てに美術館に足を運びます。海外から作品が来日する「○○美術館展」のような、大規模展覧会ですね。でも実は、国立西洋美術館の常設展なら、いつでも素晴らしい作品に出合えるのです。なにしろ、東アジア最大級の西洋絵画コレクション。中世からルーベンスをはじめとする貴重なオールド・マスター、モネやルノワールなどのフランス近代絵画、ピカソなどの20世紀絵画、そしてロダン、マイヨールといった彫刻と、美術史的にも重要な作品ばかり。質も量もすごいので、「企画展のついでにさらっと」なんてとても無理(笑)。時間と体力はたっぷりとって。
国立の美術館の収蔵品は、国民=私たちのもの。世界に誇れる文化資産を私たちが支えている、と思うと、展覧会や美術館に対する見方も変わってくるのではないでしょうか。そういう意味でもぜひもっと、「常設展」に目を向けていただきたいと思います。(談)
【こちらも注目】シャルル=ルネ・ド・ポール・ド・サン・マルソー《マリー・バシュキルツェフの胸像》
ウクライナ生まれの女性芸術家、マリー・バシュキルツェフを表した肖像彫刻。25歳で早世するまで書きためた膨大な日記でも知られる。知的な眼差しが印象的。ICOM(国際博物館会議)によるウクライナの美術館、博物館の復興支援活動に関連して展示中。国立西洋美術館のコレクションの幅広さがうかがえる作品でもある。
【Information】国立西洋美術館
住所/東京都台東区上野公園7-7
開館時間/9:30~17:30(金・土曜日は~20:00)※入館は閉館の30分前まで
休館日/月曜日(祝休日の場合は翌平日)、年末年始
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- 写真提供 :
- 国立西洋美術館
- 取材・文 :
- 剣持亜弥(HATSU)
- 構成 :
- 正木 爽・宮田典子(HATSU)、喜多容子(Precious)