外部からの電話に対し、担当者がいない場合に「○○は外出しておりまして、帰社予定は15時ごろとなっております」などと使われる「帰社」という言葉。ビジネスシーンでは頻繁に使われる言葉ですが、正しい意味を把握しているでしょうか? 今回は「帰社」の意味や使い方、「退社」や「退勤」との違い、さらには英語表現について解説します。

【目次】

帰社の意味は?「帰宅」の意味を考えれば間違わないはず。
「帰宅」の意味を考えれば間違わないはず。

【「帰社」を正しく理解するための「基礎知識」】

■読み方

「帰社」は「きしゃ」と読みます。

■意味

「帰社」には3つの意味があります。

1)出先から会社へ帰ること。
2)退社した人が再び同じ会社に戻ること。
3)神社に戻ること。

 ビジネスシーンでは1の意味で使われることが多いですね。社員が業務のために外出したあと、「自社に帰ってくる」ことを指して「帰社」といいます。担当者不在の電話への対応で、「担当の○○は△時に帰社予定です」、あるいは「△時ごろに帰社いたします」などと使われますね。

■帰社は「敬語」ではありません

「帰社」は敬語表現ではありません。ですから、取引先の人や社内の上司に対して使うのは適切ではありません。「何時に帰社されますか?」では、少し強い表現と受け取られかねないので、目上の方の帰社予定を確認したい場合は「何時にお戻りになりますか?」あるいは「何時にお戻りになられますか?」などと言い換えましょう。


【「使い方」がわかる「例文」と「注意点」】

「帰社」は「外出先から会社に戻る」ことを指す言葉です。「会社から帰る」という意味に捉えてしまうのか、「自宅に帰ること」の意味で誤用する人もいるようですが、業務を終えて自宅に帰るときは「帰宅」や「退社」が正解。注意してくださいね。

■1:(外部からの電話に対応して)「○○さんはいらっしゃいますか?」
   「○○はただ今外出しておりまして、帰社予定は△時となっております」

■2:(外部からの電話に対応して)「○○さんはいらっしゃいますか?」
​   「○○は出張に出ておりますが、△時ごろに帰社いたします」

■3:(取引先に電話して)「○○部長はいらっしゃいますか?」
   「ただ今外出しております」
   「お戻りは何時のご予定でしょうか」

■4:(自分の会社に電話して)「戻りが遅くなりそうです。ボードの行動予定表を、15時帰社から16時帰社に変更してもらえますか」


【間違いやすい「退社」「退勤」との違い】

■「退社」の意味  

ビジネスシーンで頻繁に使われる「退社」という言葉には、ふたつの意味があります。
1) 勤務している会社を辞めること。「定年退社」などと使われ、対義語は「入社」です。
2) その日の勤めを終えて会社から退出すること。こちらの対義語は「出社」です。

このため、電話対応などで「退社」を使う際には注意が必要です。なぜなら、先方に、2の意味で伝えたつもりが「○○さん、お辞めになったのですか?」などと誤解を招くことがあるからです。齟齬(そご)を生まないために、「○○は本日は退社いたしました」「○○は18時で退社しております」「○○は本日失礼させていただきました」など、真意が伝わりやすい表現を選ぶのがビジネスマナーです。反対に、「会社を辞めた」ことを伝える際には、「恐れ入りますが、○○は10月31日付で退社いたしました」あるいは「○○は先月末をもちまして退職いたしました」などと表現すれば、帰宅ではなく会社を辞めたことが明確に伝わります。

■「退勤」の意味

「退勤」は「勤務が終わって、勤め先から退出すること」を意味する言葉です。「退社」との違いは、業務を終えた場所が自社でない場合も使用できること。つまり、営業先などで仕事を終え、会社には戻らず直帰する場合、「退勤」に相当します。リモートワークや出向中など、業務を行う場所を問わずに使えますよ。


【「帰社」を英語で言うと?】

「帰社」を英語で表現したいのなら、「戻る」という意味をもつ[return]を使って、[returning to the office][returning to one's workplace]となります。

・I will return to the office at 6 o'clock in the evening.(6時に帰社します)

・Yamada will return to the office soon.(山田はもうすぐ帰社する予定です)

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混同しやすい「帰社」と「退社」、「退勤」の違いは理解できましたか? 「帰社」は目上の方にふさわしい言葉ではないことに加え、電話などでは「きしゃ」を使うよりも「戻ります」としたほうが、先方に伝わりやすいケースもあるでしょう。臨機応変に使い分けるのが、“大人の語彙力”というものです。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『プログレッシブ英和中辞典』(小学館) /『すぐに使えて、きちんと伝わる敬語サクッとノート』(永岡書店) :