『Precious』本誌をはじめ、テレビや広告など幅広く活躍する人気スタイリストの犬走比佐乃さんに、大人の女性に必要なファッションについて教えていただく連載。

今回は、メンズライクかつオーセンティックな雰囲気が旬のムードを演出する「グレンチェック」にフォーカス! 犬走さんがシーズン早々に購入した私物アイテムと、その着こなしを2ルック公開していただき、今季ならではの取り入れ方のポイントを伺いました。

犬走比佐乃さん
スタイリスト
(いぬばしり ひさの)『Precious』本誌をはじめとする数々の女性誌、テレビ、広告など多彩な分野で活躍。女優のスタイリングも手がけ、「マダム犬走」の愛称で多くのファンをもつ。30年以上を誇るキャリアと卓越した審美眼でセレクト&スタイリングする自身の着こなしも注目されている。

定番柄の魅力を再認識!今年らしさも叶える「グレンチェック」

メンズスーツの定番人気柄である「グレンチェック」。今季はテーラードジャケットに代表されるクラシカルテイストというトレンドを受け、さまざまなラグジュアリーメゾンのコレクションでも脚光を浴びていますが、犬走さんのハートを射止めた理由はどこにあったのでしょう?

「まずは『ディオール』の2024年クルーズ コレクションでグレンチェックのスリーピースを着たルックを見て、そのかっこよさにときめきました。さらに『ブルネロ クチネリ』や『ジョルジオ アルマーニ』のメンズコレクションでもグレンチェックが多く見受けられたので、今季は私もスーツスタイルで着てみたいなと思ったんです」(犬走さん)

そんな犬走さんの「今年の気分」にフィットした2ブランドの装いは? 着こなしのポイントと共にコーディネートを披露していただきました!

■1:メンズのスリーピースは白Tでカジュアルに、こなれた抜け感を強調

犬走さんがまず手に入れたのは、「ドレステリア」のメンズで見つけたスリーピース。スリーピースはご存知のとおり英国スーツの伝統的なスタイルですが、ジェンダーレスなそのいでたちはまさに「ハンサムウーマン」! 

ジャケット_1,パンツ_1,Tシャツ_1
サイズは、ジャケットとパンツはSでジャストフィット! ベストはMのみの展開でやや大きいため、少し詰める予定だそう。

前回の記事でもお届けしたとおり、昨今は以前にも増してメンズアイテムを積極的に取り入れている犬走さん。

「そもそもウィメンズにはスリーピースがなかなかないので、メンズで探してみることに。赤のラインが入っているのは求めていたイメージと違っていたのですが、着てみたらサイズ感も合っているしいい感じだなと。メンズスーツは概ね、仕立てが細部までしっかりしている点が好みで、このスリーピースもそう。先の尖ったピークドラペルのキリリとした雰囲気もいいですよね」(犬走さん)

インナーは白Tシャツでカジュアルな抜け感をつくって、足元は「プラダ」のチロリアンライクなシューズで引き締めます。

「今回は白Tシャツを合わせましたが、黒でもまた違った雰囲気を楽しめると思います。ジャケットの袖はお直ししていないのでさすがに長めなのですが、袖口を折って裏地のストライプを覗かせれば洒脱なアクセントに!」(犬走さん)

ジャケット_2,パンツ_2
カチッとした印象と裏腹に、素材はとてもソフト。しなやかな着心地でストレスフリーなのも、犬走さんの心を掴んだポイント。

■2:ジャケット&ベアトップワンピなら、今季らしい新鮮インパクト

「ドレステリア」のスリーピースを購入した1週間ほどのち、偶然出合ったというのがこの「ガリャルダガランテ」のジャケット&ベアトップワンピースのセットアップ。

「赤のラインも入っている『ドレステリア』のスリーピースよりも、白と黒のコントラストがはっきりしている点が気に入りました。ベアトップワンピースはこれまで着たことがなかったけれど、ビスチェも流行っていますしトライしてみようかなと」(犬走さん)

ジャケット_3,ワンピース_1,Tシャツ_2,スカーフ_1
インナーはブラックのTシャツで、同色のスカーフをプラス。足元はヒールのあるブーティでエレガントさを添えて。

コーディネートのポイントは、ブラックで統一したインナーと小物。なかでもウエストマークした細ベルトはこの着こなしのキーアイテムです。

「何もアクセントがないと少しだらっとした印象になってしまうので、細めのベルトをプラスしてさりげなくメリハリをつけます。ちなみにこのベルトは『GU』のものですが、ベルトホールが多いので、ジャケットの上からウエストマークするのにも重宝しています」(犬走さん)

ジャケット_4,ワンピース_2
ジャケットは程よくモード感が漂うオーバーシルエット。ジャケット、ワンピースともに着回しが楽しめるのもセットアップの魅力。

「ジェンダーレスファッションが流行していることもあり、メンズはクラシカルなジャストシルエット、ウィメンズはオーバーシルエットがポピュラーで、サイズ感が逆転している印象がある今。こんなふうに同じグレンチェックでも、メンズ、ウィメンズそれぞれから好みのものをピックアップして、ジェンダーのマトリックスを着こなしに活かすのも今季ならではの楽しみかもしれませんね」(犬走さん)


ようやく本格的に秋の装いが楽しめる気候になったかと思えば、冬の足音もすぐそこに! 季節感、トレンド感共に演出できる犬走流「グレンチェック」コーデを参考に、旬のおしゃれを楽しんでみませんか?

※私物に関する各ブランドへのお問い合わせはご遠慮ください。

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PHOTO :
田中麻衣(小学館)
WRITING :
岡村佳代
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)