仕事において「勘が鋭い」というワードは、しばしばほめ言葉として使用されます。「仕事にフィーリングは必要なの?」と思う人もいるかもしれませんが、「勘」や「感覚」、「目算」、「見通し」などは侮れないビジネススキル。今回はこの「勘が鋭い」とはどういうことなのか、簡単に解説していきましょう。

【目次】

「勘が鋭い」ことが裏目に出るシーンもあるのでご注意を!
「勘が鋭い」ことが裏目に出るシーンもあるのでご注意を!

「勘が鋭い」の「読み方」「意味」】

■読み方

「勘が鋭い」は「かんがするどい」と読みます。

■意味

「勘」とは、直観的に事柄を感知したり、判断したり、行動したりする心のはたらきを指します。「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」という人間の五感を超えた能力は第六感といわれますが、「勘」も第六感のひとつ。「鋭い」にはさまざまな意味がありますが、この場合は感覚が鋭敏、細やか、素早く的確に本質を捉えるさまを表します。つまり、「勘が鋭い」とは、「物事の良し悪しなどを直感的に判断する能力が優れている」ということなのです。


【「勘が鋭い人」の特徴】

具体的にどんな人が「勘が鋭い」と言われるのか、またその良い面と悪い面も見ていきましょう。

■具体的な特徴

・頭の回転が速い ・観察力や洞察力に優れている ・集中力が高い 

・行動力がある ・発言が具体的 ・会話中は人の目を見る 

「勘」は人間の器官で感じるものではないので、ボーっとしていては磨かれません。上記のような人は職場でウエルカムですね。

■「勘が鋭い人」のメリット

指示されなくても先回りして仕事を進めたり、気を利かせることができるのが「勘が鋭い人」。それが的確であれば「勘が鋭い」ことは仕事面でもプラスに働きます。

■「勘が鋭い人」のデメリット

「勘が鋭い人」のなかには他者と歩調を合わせるのが苦手、という人も。せっかちな人、短気な人に見られる特徴です。先回りが裏目に出たり、見当違いということもあるので、「勘が鋭い人」が必ずしもいつでも歓迎されるとは限りません。また、「勘」は良いことばかりにはたらくわけではありません。「勘が鋭い人」は悪い予感も当たりがち。早めに心構えや対処ができる、トラブルを未然に防ぐことができるなどのメリットはありますが、難しい事柄だと精神面に負担がかかる時間が長い、というデメリットも…。いずれにしてもひとりで先走るのは危険です。お仕事シーンなら、やはり「報告」「連絡」「相談」の“ホウレンソウ”を欠かさないことが大切です。


【「類語」「言い換え」「反対語」】

■類語

・察しがいい:「察し」とは推し量ること。「勘」と同様に、第六感を使います。

■言い換え表現

・勘がはたらく ・勘がいい ・勘が当たる ・理解が早い ・のみ込みが早い ・物わかりがいい ・ピンと来る

■関連語

・一を聞いて十を知る:物事の一部を聞いただけで全体を理解すること。賢明で察しのいいことのたとえです。『論語』で知られる孔子(こうし)の弟子の子貢(しこう)が「一を聞いて十を知る」と言い孔子もその意見に賛成しました。また、同じく思想家の荀子(じゅんし)は「一を以(もっ)て万を知る」と言いました。どちらも「勘が鋭い」ということですね。

■反対語

・勘が鈍い ・勘が悪い ・勘がはたらかない


【「勘が鋭い」を英語でどう言う?】

「勘が鋭い」を英語で表すなら[have a good intuition]です。[intuition]は「直観」と訳されます。「直観」は実際に見ることに重点をおき、推理などによらず直接的・瞬間的に本質を捉えること。「勘」には推理の部分がありますが、[have a good intuition]なら「勘が鋭い」ということになるのです。

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「勘が鋭いね」と言われたら、ちょっと得意な気分になるでしょうか。確かに仕事の面ではプラスにはたらきそうです。でも「勘が鋭い」ばかりに知りたくもないことまで気づいてしまう…という局面もあるかもしれませんね。それにどう向き合うのが最適なのか…それも鋭い勘でジャッジしてみてください。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『角川類似新語辞典』(KADOKAWA)/『プログレッシブ英和中辞典』(小学館) :