温泉のさまざまな効能のなかでも、特に寒い季節に注目したいのはスキンケア効果。名湯で体の芯から温まりつつ、乾燥によるダメージを蓄積した肌を労りたいと考えている人は多いのではないでしょうか。
そこで、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんに、数ある湯宿のなかでも実際に浸かってみて「つるつるしっとり肌がご機嫌になった!」と太鼓判を押す、冬こそ訪れたい美肌温泉宿をピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、熊本県・黒川温泉の「旅館 山河」です。
公式サイト
館内の湯めぐりで三大美人の湯を制覇
熊本県・阿蘇の奥地、大分との県境に位置する黒川温泉。秘境といえる場所ながら、多彩な泉質を堪能できることや、和モダンテイストで統一された風情ある町並みに惹かれて、年間100万人もの観光客が訪れるといわれる屈指の人気温泉地です。その中心部から車で5分ほど。雑木林に抱かれるように静かに佇む一軒宿「旅館 山河」が美肌を目指すうえでいかに理想的かについて、植竹さんはこう話します。
「こちらの宿は、肌の悩みにさまざまな方面からアプローチしたい人にぴったり。というのも、3000坪の敷地内に7つの趣の異なる温泉(うち1つは男湯)があり、湯巡りしているうちに、三大美人の湯を制覇できるのです。
三大美人の湯とは、炭酸水素塩泉、硫黄泉、硫酸塩泉の3つ。ものすごくざっくりとした説明になりますが、炭酸水素塩泉は、石けんのように皮膚をクレンジングして肌をなめらかにする作用、硫黄泉はメラニン分解による美白作用、硫酸塩泉は肌にうるおいやハリを与える効果が期待できます」(植竹さん)
「ただ美人の湯の恩恵を享受できるだけでなく、温泉ごとに異なる雰囲気を楽しめるのも魅力的。例えば、7つの温泉の中で最大の露天風呂『もやいの湯』は、ダイナミックな自然に包まれた環境で、開放感たっぷり。女性専用露天風呂の『四季の湯』は小川のせせらぎをBGMに湯浴みができて、マイナスイオンにもとことん癒されました。
ちなみに、『もやいの湯』や『四季の湯』の泉質はナトリウム-塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉。少し青みがかった透明の湯で、つるつるしっとりを目指せます」(植竹さん)
「一方、内湯『薬師の湯』は、トーンアップが期待できる硫黄泉をブレンドしたにごり湯。さきほどご紹介した『もやいの湯』や『四季の湯』とは、見た目も成分も全く異なる湯で、同じ敷地内なのにまるで別の温泉地を訪れたかのような感覚を味わえます。これぞ複数の種類の湯が湧く黒川温泉ならではの醍醐味で、肌によい成分をチャージしながら湯巡りでリフレッシュするという至福の時間を過ごすことができました」(植竹さん)
上記に加えて、大きな桶の湯船を貸切で利用できる「六尺桶風呂」、さらには檜と切石の貸切風呂も備えています。手入れの行き届いた庭園を散歩しながら、敷地内に点在する温泉を巡るうちに、心身にたまった疲労やストレスも一掃されることでしょう。
なお、一部の客室では部屋風呂も源泉かけ流し。なかでも離れの客室「ねむの木」では、川を見下ろせるウッドデッキに備えられた檜の露天風呂が人気を博しています。四季折々の自然を間近に感じられる静謐な環境で、心安らぐひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
目にも華やかな本格日本料理に心ときめく
「旅館 山河」は、一品ずつ手作りにこだわった本格日本料理も絶品だと植竹さん。
「熊本のブランド牛・あか牛や地元でとれた野菜や川魚といった素材のよさ、そしてその旨味を最大限に引き出す調理技術の高さもさることながら、料理の演出にも心ときめきました。例えば、前菜盛り合わせひとつとっても、プレート上に小鉢が美しくディスプレイされていたり、通常は焼いたままワイルドに提供されることが多い川魚までも丁寧に繊細に盛り付けられていたり、味覚だけでなく視覚でもおもてなししようとする心意気がうかがえます。
正直、湯のよさへの期待だけでお料理についてはあまり気にかけていなかったのですが、実際に訪れてみて、里山の秘湯でこんなに芸術的なお料理をいただけるなんて…とうれしいサプライズでした」(植竹さん)
以上、黒川温泉「旅館 山河」をご紹介しました。館内の湯巡りで三大美人の湯を制覇するとともに、日常の喧騒を離れた空間でリフレッシュしたい人は次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
問い合わせ先
- 旅館 山河
- 住所/熊本県阿蘇郡南小国町大字満願寺6961-1
客室数/全16室
料金/離れ和洋室「ねむの木」2名1室 ¥70,400~ - TEL:0967-44-0906
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- WRITING :
- 中田綾美
- EDIT :
- 谷 花生(Precious.jp)