My Action for SDGs ~続ける未来のために、私がしていること~
雑誌『Precious』の連載【My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること】では、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、紹介しています。
今回は、3月号でご紹介の「エルテックUVC」CEOのイ・ジヨンさんの活動にフォーカス。韓国エネルギー革命のキーマンとなるべく、中東との架け橋となり脱炭素を目指す、イさんの活動についてお話をうかがいました。
韓国エネルギー革命のキーマンに|中東との架け橋となり脱炭素を目指す
ジヨンさんが’19年に立ち上げた「エルテックUVC」は、韓国の「エルテック」社とアラブ首長国連邦の「UVC」社の共同出資で、次世代エネルギーとして注目される水素・アンモニアの事業を展開するベンチャー企業だ。社員は16人。約5000億ウォン(444億円)規模の投資契約を結び、アブダビでプラント事業を進めている。
「韓国は地理的な条件から太陽光発電や風力発電では経済性を確保できず、火力発電が中心。二酸化炭素を多く発生させています。そこで選択したのが中東です。安定して降り注ぐ太陽光で電気をつくり、その電気を使って水から水素を分離、空気中の窒素と結合させてアンモニアにした状態で韓国にもってくるのがよいと考えました。このグリーンアンモニア(※)は韓国の未来の資源となるでしょう」
この巨大で画期的な事業には、ジヨンさんのキャリアが大きく影響している。8歳でオーストラリアに移住、アジア人差別と向き合いながら育った彼女は、大学を卒業後、念願だった帰国を果たし、国内の会社に就職。ところがすぐイラクに派遣され、以来20年近く中東と関わってきた。
「32人の駐在員のうち女性は私ひとり、現場は男性1500人」という環境のなかで、支店長まで務め、強力なコネクションを築いた。
「オーストラリアにいた頃、大規模な森林火災のニュースを見るたび、なんとかしなければと思っていました。グリーンエネルギーで次世代の環境を守ることは、わが社の使命です。同時に今、経営者として危惧しているのは、韓国での女性進出の大幅な遅れです。それを改善することも重要な使命。私自身がロールモデルになって、積極的に行動していきたい」
【SDGsの現場から】UAEの水素特区で新たな専用埠頭を建設中
水素はUAEの新たなエネルギー戦略。写真は経済特区に建設中の専用埠頭とプラント施設。
女性リーダーとしての姿も見せていきたい
中東で働いていた時代の体験をまとめて出版も。韓国女性の社会進出のロールモデルに。
- PHOTO :
- Zhi Xiang
- EDIT :
- 剣持亜弥、喜多容子(Precious)
- 取材 :
- Rumiko Ose