「彼は公明正大だ」「公明正大な評価による」こんなフレーズを聞いたり見たりしたことはありませんか? この「公明正大」が今回取り上げる“大人の語彙”です。正しい意味や使い方をマスターしましょう。

【目次】

「公明」と「正大」の意味を理解すれば間違えませんね!
「公明」と「正大」の意味を理解すれば間違えませんね!

【「公明正大」の基礎知識】

■読み方

「こうめいせいだい」と読みます。

■意味

公明正大は、「公平で、良心に恥じるところがなく正しいこと。心が公明で、少しも私心がなく正しいこと。また、そのさま」という意味です。「公明」とは公平で私意のないこと、明白で隠しだてのないこと。そして「正大」は態度や言動などが正しく、堂々としていることを言います。つまり、「公明正大」は、他者にも自分にも恥じることが一切なく正しいことを表したり、そうであるべき物事に対して使われる四字熟語なのです。「公明にして正大」などと言ったりもします。


【使い方がわかる「例文」5選】

■1:「公明正大を座右の銘にしている企業のトップは多い」

■2:「誰もが公明正大というわけにはいかないのが現実だ」

■3:「政治家は誰より公明正大であるべきだ」

■4:「常に公明正大な人間であれと言われて育ちました」

■5:「公明正大な裁判が行われていれば、長年冤罪で苦しむことはなかった」


【似た意味、反対の意味の「四字熟語」】

同義や反対の意味の四字熟語をチェックして、「公明正大」の理解を深めましょう。

■「公明正大」と似た意味の四字熟語

・公平無私(こうへいむし)/公正無私(こうせいむし)/大公無私(たいこうむし):公平で自分の個人的な感情や利益をからませないこと。

・厳正中立(げんせいちゅうりつ)/無私無偏(むしむへん):どちらへも偏(かたよ)らずに中立の立場を堅く守ること。

・心地公光(しんちこうめい):心の中にも不正や隠しだてがなく見通しが明るいこと。心が清く正しいさま。 本心は徳の光のようで、少しも私心がないさま。

・清廉潔白(せいれんけっぱく):心が清くて私欲がなく、後ろ暗いところのないこと。

・品行方正(ひんこうほうせい):行いがきちんとしていて正しいこと。

■「公明正大」と反対の意味の四字熟語

・不正不公(ふせいふこう):正しくないうえに不公平であること。

・依怙贔屓(えこひいき):自分の気に入ったものだけの肩をもつこと。

・専断偏頗(せんだんへんぱ):自分だけの判断で事を行い、偏っていて不公平なこと。

依怙贔屓は、「依怙」自体にどちらか一方の肩をもつという意味があり、「贔屓」と重ねて意味を強めた四字熟語です。また、「専断偏頗」は「専断」の「専」には、「専門」や「専任」という使い方をするように「一途に」とか「混じり気のない」という意味と、「独り占め」や「わがまま」という意味があります。「偏頗」は見慣れない言葉ですが、偏って不公平なことを表します。


【「公明正大」を英語で言うと?】

公明正大を英単語にするなら[fair][aboveboard]に。また[fair and square]​[just and upright]でも表せます。

・The mayor's measures were unfair.(市長のとった方策は公明正大を欠いていた)

・If you intend to do it, do it fairly.(やる気なら公明正大にやれ)


【「公正明大」という四字熟語もあり…ません!】

間違えやすいのが「公正明大」です。公平で偏っていないこと、明白で正しいことを意味する「公正」という言葉が原因かもしれませんが、「明大」という言葉に「公明正大」が示すような意味はありません。間違えないよう注意してくださいね。

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連日、政治家の税金優遇にまつわるニュースが繰り広げられ、もやもやさせられているという人も多いかもしれません。例文でもふれましたが、実際問題として、常に公明正大であることは難しいですが、だからこそ、公明正大であってほしいと思うもの。自分に恥じない生き方をしていきたいですよね。

この記事の執筆者
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