身長156cmのインテリアエディターが、実際に見て・触れて・座ってレポートする連載企画。前回に続き、おすすめの収納家具をご紹介します。

今回は、曲木の椅子で有名であり、世界で初めてその大量生産を実現したドイツの老舗メーカー「ゲブルーダー トーネット ヴィエーナ」が、旬のデザイナーデュオとタッグを組んで発表した『モス キャビネット(MOS CABINET)』をピックアップ。置くだけでインテリア空間に品格が備わるその魅力に迫ります。

生活空間に格別のスタイルと実用性の両方を授けてくれる収納家具

ドイツの老舗メーカー「ゲブルーダー トーネット ヴィエーナ」の『モス キャビネット(MOS CABINET)』
【ブランド】ゲブルーダー トーネット ヴィエーナ 【商品名】モスキャビネット 【写真仕様の価格】¥1,300,200(※2024年4月1日より¥1,391,500に価格改定) 【サイズ】幅1360×奥行き430×高さ910mm 【材質】ビーチ材、アッシュ材、ケーン、真鍮

どこか懐かしさを感じさせる籐編み家具にも関わらず、凛と空間に佇む姿は軽やかで美しく程よい緊張感をたたえている『モス キャビネット』。例えるなら、育ちのよさを感じさせる現代的な美女が、壁際に静かに立っているような感覚に似ています。そんな優雅な収納家具で毎日の暮らしを彩れたら素敵だと思いませんか?

ドイツの老舗メーカー「ゲブルーダー トーネット ヴィエーナ」の『モス キャビネット(MOS CABINET)』
ほんのり中身が透けて見える美しい収納家具『モス キャビネット』。リビングにはもちろん、寝室にも合う静かな佇まい。
ドイツの老舗メーカー「ゲブルーダー トーネット ヴィエーナ」の『モス キャビネット(MOS CABINET)』
棚板は一枚、高さは固定されています。

計算し尽くされたミニマリズムを実現する高い技術と素材の妙

デザインは極めてシンプル。温かみのある素材なのにミニマリズムを感じさせます。前面に突起や取手が見えないディテールに収まっているため、ぱっと見ではどうやって開けるのか迷う感じのデザインです。トウシューズで立っているような真鍮の脚先のディテールも効いています。お揃いのシリーズでソファの横に置けるローテーブルもあります。

ドイツの老舗メーカー「ゲブルーダー トーネット ヴィエーナ」の『モス キャビネット(MOS CABINET)』とインテリアエディターの土橋陽子さん
リビングに美しいコーナーを演出してくれるコンソールテーブルのような高さと存在感。

声高に語らなくても凄みがある家具には、必ず驚愕のディテールが存在します。この曲木のカーブにピッタリと沿って張り込まれた籐編みの収まりの美しさは技術力の高さがあってこそ実現しています。

曲木は無垢の木材を蒸したり煮沸したりして金型にはめて乾燥させることで曲線を保つように加工する技術で、耐久性があり軽くて使いやすいのが特徴です。木肌の美しさと籐編みの手工芸的な味わいが合わさり、目の肥えた人にとっても理想的な選択肢のひとつになるのではないでしょうか?

ドイツの老舗メーカー「ゲブルーダー トーネット ヴィエーナ」の『モス キャビネット(MOS CABINET)』
手かけ部分には掘り込みのディテールが。
ドイツの老舗メーカー「ゲブルーダー トーネット ヴィエーナ」の『モス キャビネット(MOS CABINET)』
曲木と籐編みの完璧なハーモニー。真鍮のマイナスネジがアンティークのようで胸踊ります。
ドイツの老舗メーカー「ゲブルーダー トーネット ヴィエーナ」の『モス キャビネット(MOS CABINET)』とインテリアエディターの土橋陽子さん
堅牢性のある作りなので、扉の開閉も実にスムーズ!

曲げ木家具の世界的ブランド「ゲブルーダー トーネット ヴィエーナ」

「ゲブルーダー トーネット ヴィエーナ」は、1819年にドイツでミヒャエル・トーネットによって前身「ゲブルーダー トーネット」として設立され、第二次世界大戦後の1976年に現在の社名になりました。

曲木技術を開発し、世界で初めて大量生産を実現した老舗メーカーで、同社の曲木椅子は、ヨーロッパはもとより広く世界的に普及しと愛されています。みなさんも一度は目にされたことがあるのではないでしょうか? 

ドイツの老舗メーカー「ゲブルーダー トーネット ヴィエーナ」のビストロチェア『N.18 CHAIR』
「ゲブルーダー トーネット ヴィエーナ」といえば、この曲木のビストロチェア『N.18 CHAIR』が有名!

伝統に革新をもたらす注目のデザインデュオ「ガムフラテージスタジオ」

世界中の一流ブランドから引っ張りだこの「ガムフラテージスタジオ」。
世界中の一流ブランドから引っ張りだこの「ガムフラテージスタジオ」。

『モス キャビネット』を手掛けた「ガムフラテージスタジオ」は、デンマークの建築家スティーネ・ガムとイタリアの建築家エンリコ・フラテージによって2006年に設立されたデザインデュオで、コペンハーゲンを拠点としています。そのデザインは、デンマークの伝統的な工芸技術と、イタリアの知的でコンセプチュアルなアプローチという、2つの文化的バックグラウンドをもっています。


今回は、ドイツの老舗メーカー「ゲブルーダー トーネット ヴィエーナ」から、『モス キャビネット』をご紹介しました。

日本の住宅にも取り入れやすい素材感でインテリアを格上げしてくれるトーネットの収納家具、ありそうでなかったアイテムでとても素敵ですよね。ぜひ実際にご覧になって、ディテールの美しさを確かめてみてください。

問い合わせ先

  • MAARKETトーキョー 
    営業時間/12:00~19:00
    定休日/水曜日
    住所/東京都港区北青山2-7-15

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この記事の執筆者
イデーに5年間(1997年~2002年)所属し、定番家具の開発や「東京デザイナーズブロック2001」の実行委員長、ロンドン・ミラノ・NYで発表されたブランド「SPUTNIK」の立ち上げに関わる。 2012年より「Design life with kids interior workshop」主宰。モンテッソーリ教育の視点を取り入れた、自身デザインの、“時計の読めない子が読みたくなる”アナログ時計『fun pun clock(ふんぷんクロック)』が、グッドデザイン賞2017を受賞。現在は、フリーランスのデザイナー・インテリアエディターとして「豊かな暮らし」について、プロダクトやコーディネート、ライティングを通して情報発信をしている。
公式サイト:YOKODOBASHI.COM