身長156cmのインテリアエディターDが、おすすめのアイテムを実際に体験しながらレポートする本連載。前回に続いてイタリアを代表する家具メーカー「B&B Italia」の高い技術力と巨匠アントニオ・チッテリオの美意識がコラボレートするモダンクラシックなスタイルが魅力の「マクサルト」から、今回は定番の名品『カラトス』シリーズにフォーカスします。

新作ファブリックをまとい新たな魅力を発揮していた『カラトス アームチェア』を例に、見慣れた日常がドラマティックに変わる手法を見てみましょう。ブルガリ ホテル 東京のブルガリスイートにて2日間限定で開催された「MAXALTO New Collection Special Preview」でのインテリアコーディネートの様子も織り交ぜてご紹介します。

ファブリックの魔法で、定番の名品に再び恋をする!

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新作のスクリーンやソファ、新作生地を張られた定番品など新旧ミックスで紡ぐ「マクサルト」の世界観。

アルミダイキャスト製のベースが特徴の『カラトス』シリーズは、2017年にチェアが発表されて以来、さまざまな生活シーンの要望の変化に応じてシリーズが拡大している「マクサルト」を代表する定番品。回転シート付きスツールや、ベンチ、オットマン、ローテーブル等多くの形があります。コロナ以降大きく変化した時代のニーズにも応えつつ、主張せずにどんなインテリアにもなじむ名品です。

多くの場合は黒革張りやコニャック色の革張りの座面にグラファイト色にペイントされたアルミダイキャストの脚で、凛と佇み空間の品格を支えています。ホテルや高級住宅展示場の写真で目にされたことがある方も多いのではないでしょうか?

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「MAXALTO New Collection Special Preview」にて、『カラトス』のあるファミリーリビングコーナー。
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「MAXALTO New Collection Special Preview」にて、『カラトス』のスツールがあるライブラリーコーナー。

「マクサルト」がほかのインテリアブランドと大きく異なるのは、椅子やソファなどどんな生地でも張れるのではなく、その家具の個性が活きるファブリックが明確に指定されている一覧表があること。なかでもオリジナルで開発されるファブリックブックはさながらアパレルのコレクションのような華やかさです。

毛足の長いふわふわのぬいぐるみのようなファブリックやブークレ生地、ゼブラ柄など今季はいつもに増してキャッチーなものが見られました。その新作ゼブラ柄で張られた『カラトス アームチェア』の可愛さたるや! コンサバ女子が、実はモードなスタイリングも似合って再び恋に落ちるような感覚があります。

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【ブランド】 マクサルト 【商品名】カラトス アームチェア 【写真仕様の価格】¥731,500 【サイズ】幅765×奥行き705×高さ670、座面高435mm 【材質】クッション部:密度の異なる成形ポリウレタン、フレーム部:アルミダイキャスト 

ゼブラ柄は黒地の部分がもこもこした毛足の長い糸を使って立体的に織られているので、小さな面積で使ってもアクセントになります。下の写真のコーナーでもソファ上のクッションを1つゼブラ柄にしたことで、ラウンジチェアと呼応してグッとコーディネートがまとまり親密さが演出されています。

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「MAXALTO New Collection Special Preview」にて、黄昏時の柔らかな影が落ちたリビングの美しさは格別。

クワイエットタグジュアリーにひと匙のスパイスでより一層の愛着を!

『カラトス アームチェア』は、広めの座面なので自由な姿勢で座ることができ、流れるような低めのアームが座る人を縁取るようにして美しく見せてくれるデザイン。クッションの張りと寸法と角度のバランスが秀逸なので、意識しなくても骨盤が立つように座れます。ローバックなので身を預けて座ろうという気も起きないため、成り行き上美しく過ごせるデザインとも言えます(笑)。

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好きな姿勢でくつろげる、広くて程よい硬さの座面と低いアームのデザイン。

あまりに自然なので伝わりにくいかもしれないのですが、実はこのようにリラックスして過ごせるラウンジチェアは、小柄な人にはなかなか出合えないアイテム。クワイエットラグジュアリーの極みのような名品です。新作のゼブラ柄のファブリックに張られていたことによって、その魅力に改めて気付かされました。

なぜ今、キャッチーな柄やロゴマニアのようなファブリックなのか?

アパレル業界ではブランドを主張するような大きなロゴ使いや特徴のある模様などのムーブメントの後に、わかる人にはわかる素材やシルエットのよさを重視したクワイエットラグジュアリーが旋風していました。

一方インテリア業界は高級ブランドであるほど、以前からクワイエットラグジュアリー特有のある種“わかりにくさ”があり、変化は非常にゆっくりとしています。そんななか、なぜ今ロゴや柄を展開するのでしょうか? 少し疑問に思い、広報の方に見解を尋ねてみました。

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ロゴが大きくデザインされたスロー。
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Mの文字がパターン化されたスロー。

すると、「身につけて人にアピールするアパレルと違い、インテリアは家に帰って楽しむもの。自分が好きなブランドのロゴのスローにくるまったり、踏みしめるラグにそれとわかるパターンがあったりすることで、インテリアに愛着を育むのではないでしょうか?」という答えが返ってきました。

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ブランドの頭文字「M」がパターン化されたラグとゼブラ柄のファブリック。

「大人の女性が自分らしく暮らすためには、どのような家具がふさわしいか?」というテーマを掲げた本連載の筆者としては、ファッションのようにインテリアブランドに愛着を持つ方が増えることは大歓迎! 自分の家が好き、という暮らしの根っこの部分にハイブランドが歩み寄ってくれたように感じました。


今回は、ブルガリ ホテル 東京で開催された展示会「MAXALTO New Collection Special Preview」で披露された、新作ファブリックをまとった『カラトス アームチェア』の魅力をご紹介しました。

また、後半で取り上げた新作のスローなどは気軽に手に取れるアイテムです。新旧ミックススタイルで世界観を作れる「マクサルト」のモダンクラシックな魅力を身近に感じられそうですよね! ぜひショールームで実際に試してみてください。

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

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この記事の執筆者
イデーに5年間(1997年~2002年)所属し、定番家具の開発や「東京デザイナーズブロック2001」の実行委員長、ロンドン・ミラノ・NYで発表されたブランド「SPUTNIK」の立ち上げに関わる。 2012年より「Design life with kids interior workshop」主宰。モンテッソーリ教育の視点を取り入れた、自身デザインの、“時計の読めない子が読みたくなる”アナログ時計『fun pun clock(ふんぷんクロック)』が、グッドデザイン賞2017を受賞。現在は、フリーランスのデザイナー・インテリアエディターとして「豊かな暮らし」について、プロダクトやコーディネート、ライティングを通して情報発信をしている。
公式サイト:YOKODOBASHI.COM