身長156cmのインテリアエディターDが、おすすめのアイテムを実際に体験しながらレポートする本連載。今回は、イタリアを代表する家具メーカー「B&B Italia」の高い技術力と巨匠デザイナー、アントニオ・チッテリオの美意識がコラボレートするモダンクラシックなスタイルが魅力の「マクサルト」から、新作ソファ『リルム』を取り上げます。

さらに、新作発表の場としてブルガリ ホテル 東京の「ブルガリスイート」にて2日間限定で開催された「MAXALTO New Collection Special Preview」で見つけた、家具が導く豊かさについてもお伝えしていきます。

微妙な角度の効果で、空間に親密な雰囲気を醸し出す新作ソファ

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フワフワの新作ラグに、モコモコの新作ファブリックをまとった『リルム』を合わせた窓辺のインテリア。

しなやかで有機的なラインとたっぷりとした量感が特徴の『リルム』は、そこにあるだけで空間に親しみのある雰囲気を醸し出す「マクサルト」の新作ソファです。

『リルム』は複数の異なる形状があり組み合わせを楽しめるシリーズなのですが、今回は微妙な角度に折れ曲がっている『リルム』のレフトターミナルエレメント(左アーム)とライトターミナルエレメント(右アーム)の組み合わせをピックアップ。おおらかな囲まれ感のあるスペースを作り出す形状が、コロナ以降の新潮流となったパーソナルスペースを尊重する空間の作り方を象徴しています。

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【ブランド】マクサルト 【商品名】リルム レフトターミナルエレメント&ライトターミナルエレメント 【写真仕様の価格】¥4.426.400 【サイズ】幅4800×奥行き1430×高さ650 座面高375mm 【材質】クッション部:バイエル社製低温成形発泡ポリウレタン、ポリエステルファイバーカバーバッククッション充填材、密度の異なる成形ポリウレタン、ポリエステルファイバーカバー座面クッション充填材、積層合板座面内部構造、鋼管及び成形鋼材内 脚部:アルミニウム押出材

人は面と向かって座ると緊張を感じるものですが、ソファに対してあえて角度を振って腰掛けるようなことはなかなかしませんよね。『リルム』なら、普通に腰掛けて背にもたれるだけで優雅でリラックスしたムードを座る人にまとわせてくれるだけでなく、程よい距離感で同じ空間にいる人と接することが叶います。

某女性キャスターが少し斜めに座り報道を伝えていた様子を思い浮かべてみてください。座った人が美しく見えて親しげな雰囲気を自然と演出できる、家具ではなくてそこで過ごす人を主役にしてくれるソファです。

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「MAXALTO New Collection Special Preview」にて、パブリックリビングのコーディネート。

また、背もたれがローバックなので視線を遮ることなく空間を広く見せる効果があります。上の写真でもわかるように重心を低く集めると空間に落ち着きが生まれ、一層雰囲気のあるインテリアになりますよね。

機能性のある装飾が、空間をほんのりクラシカルに演出

有機的な形状のデザイナーズ家具に使われる、金型を使った一体成形という作り方が用いられた『リルム』は、自由曲線のダイナミズムのある量感にも関わらず、どこかクラシカルな印象を与えてくれます。

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ベースとシーティングが分かれている伝統的な構造のソファを思い起こさせるパイピングのライン。

その秘密は、ぐるりと一周しているパイピング。パイピングは生地をピンと張るために押さえた生地の端部を引っ張りながら美しく隠す機能があり、その扱いはソファのデザインのなかで割とキーになります。『リルム』では、遠くから見るとクッション部分とベースが分かれている伝統的な作り方をしたソファのように見えるような位置に施されています。

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背もたれから座面に続いてぐるりと一周したパイピングは、座面の稜線より少し下にあしらわれている。

座り心地は、見た目どおりむっちりした程よい弾力で安定感があります。沈み込まないので立ち上がりがいいのも嬉しいポイント。座面が低めなのでしっかりと足をつけられますし、膝裏の当たりも心地よい柔らかさがあります。

稜線よりも少し下の台座側のほうにパイピングをずらすことで、膝裏に硬いものが当たることなくクラシカルなムードもまとえるという心憎いディテール。柔らかさとシャープさのバランスがまたいいですよね! アルミニウムの台座で床からスッと浮いたように見える軽やかさのバランスも相まって、唯一無二の新しさを感じました。

クワイエットラグジュアリーな「マクサルト」の家具がつくる真の豊かさ

「マクサルト」は1975年の設立以来一貫して良質な素材を用いクラシカルでエレガントな優しい雰囲気を発信し続けています。その世界観がたっぷり味わえるイベント「MAXALTO New Collection Special Preview」が2日間限定でブルガリ ホテル 東京の44階にあるブルガリスイートで執り行われました。

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ブルガリスイートのエントランス。廊下にはコンソールタイプの『パソス』が床間のような設えで使われていました。

ブルガリ ホテル 東京のインテリアは、イタリアと日本両国のクラフトマンシップに敬意を払い文化の融合を目指したものだとか。そこに、以前この連載でも書いた低めのプロポーションが新鮮な『フェボ』や、『パソス』がソファや寝椅子やコンソールとしてあしらわれ、その使い方の汎用性に改めて気付かされました。主張しない品のよさは、トレンドのクワイエットラグジュアリーそのもの!

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窓に向かうベッドの足元に置かれた『フェボ』のソファセット。
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寝椅子のようなタイプの『フェボ』でくつろぎながら映画を楽しむのも素敵。
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夕暮れ時の影がムードを高めるアートとダイニングテーブル『パソス』のあるコーナー。
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ビルの向こうに富士山が見えるダイニングスペースにも「マクサルト」の家具が。

ふと座ったときに窓の向こうに見える眺望は、東京の密集したビルの向こう側にそびえる富士山だったり、皇居周辺の松林の緑と対照的なガラス張りの建築に山のシルエットが浮かび上がっていたりと、見慣れた東京が初めて見る景色のようにハッとする機会が何度もありました。

そこに家具が置かれることによって目に入る景色にふっと心が緩んだり、その表情の変化を親しい人と分かちあったり…家に帰るのが楽しみだという感覚は、もしかしたらそういう言葉にならない豊かさが大きいのではないかと思いました。ぜひそのエッセンスを感じにショールームでゆったりとした時間を過ごしてみてください。


今回は、「マクサルト」の新作ソファと共に、ブルガリ ホテル 東京で開催された「MAXALTO New Collection Special Preview」の様子についてもお届けしました。

なお、ショールームの「B&B Italia Tokyo」は2024年夏に南青山6丁目に移転する予定とのこと。移転準備のため、2024年3月4日以降は青山OM-SQUARE 1Fのみの営業となります。

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

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この記事の執筆者
イデーに5年間(1997年~2002年)所属し、定番家具の開発や「東京デザイナーズブロック2001」の実行委員長、ロンドン・ミラノ・NYで発表されたブランド「SPUTNIK」の立ち上げに関わる。 2012年より「Design life with kids interior workshop」主宰。モンテッソーリ教育の視点を取り入れた、自身デザインの、“時計の読めない子が読みたくなる”アナログ時計『fun pun clock(ふんぷんクロック)』が、グッドデザイン賞2017を受賞。現在は、フリーランスのデザイナー・インテリアエディターとして「豊かな暮らし」について、プロダクトやコーディネート、ライティングを通して情報発信をしている。
公式サイト:YOKODOBASHI.COM