プロフィギュアスケーターの高橋大輔さんがPrecious5月号に出演中。後輩だけでなくライバルたちも憧れた、高橋さん固有の「タメとキレ」による音の表現が生まれた背景のひとつについて、インタビューでお答えいただいています。本記事は「Precious」5月号のインタビュー企画と合わせてお楽しみください!

「高橋大輔〜眩い輝きの、その奥へ」前編を読む

「もしコーチをするとなったら、いましている仕事をすべてやめてから」(高橋さん)

Q.音楽表現のなかで高橋さん独特の、滑りながら首をぐるぐる回す動きはいつできたものですか?

「あれはニコライ・モロゾフコーチが振りつけしているときに首をぐるぐる回しているのを見て、それを真似してやってみたら気持ちよくて…という感じですね。体がやわらかい人だと首ふりで体が持っていかれてしまうみたいなのですけど、僕は体が固いので大丈夫」

高橋大輔さん
『イン・ザ・ガーデン・オブ・ソウルズ』(2011-12年シーズン ショートプログラム)からのシーン (C)GettyImages

Q 高橋さんの名作プログラムのひとつ『イン・ザ・ガーデン・オブ・ソウルズ』(2011-12年シーズン ショートプログラム)では、演技途中で指をなめるように唇にもっていく動作が入りましたが、あれは振付師さんのアイディアで加えられたのでしょうか?

「いえ、振りつけではなく、最初はそのときの自分の気分で加えたみたいです。その場面が映っているのをたまたま見たら〝悪くないかな〟と思って続けたと思います。考えて入れたのではなく、曲を聞いて動いているなかで自然に出てきたのでしょうね。同じように“by accident(たまたま)”で動いたアレンジが『いいね』と言われたときは取り入れたりしていました」

Q. 熱心なファン内で、アイスダンスの採点要素のひとつ、ツイズル(連続回転ターンの採点要素)に、当初はあえて難しい「左足右回転」を採用していたのはなぜなのだろうという疑問があったそうですが、どうして難しい回転を選んでいたのでしょう。

「それはですね。アイスダンスのパートナーの村元哉中さんが僕と組む前に一緒に滑っていたパートナーが、そちらの回りかたのほうがが得意だったので、村元さんもコーチ陣も『村元組のツイズルといえばこの回りかた』と、なんの疑問も持たずに実施していたみたいなのです。しばらくしてファンの方からその質問をされて、僕たちもそこで気づいて『そうだったんだ』ということになり、難しくない回りかたに変えました」

村元哉中さんと披露した『オペラ座の怪人』でアイスダンス全日本初優勝。(C)GettyImages
村元哉中さんと披露した『オペラ座の怪人』でアイスダンス全日本初優勝。(C)GettyImages

Q.ご自身のコーチ業についてはどうお考えでしょうか?

「もしコーチをするとなったら、いましている仕事をすべてやめてからでないとできないと思っています。いまはまだ当分はエンターテインメントに関わっていきたいかな。お手伝いという形でさせて頂けるのであればありだなと思っていますけれど。でもたとえば、今回の『滑走屋』ではジャンプがほぼない内容でのショーでも楽しんでいただける見せかたができたと思います。ジャンプがあるとジャンプばかりに練習の時間を割くことになってしまうのですよね。フィギュアスケートはスケーティングスキルやスピンも大事ですし、ステップも、ただ踏むのではなく見せて滑るとか、躍るスキルも人並み以上に高く意識を持たないとエンタテインメントの方面では残っていかれないと思うのです。ジャンプは年齢が上がると跳べなくなってきますが、『見せる』ことはどんどんよくなっていくと思うので、スケートを長く続けたいのだったらジャンプ以外のところも力を入れていかないと。そういうことをショーに参加することで感じてもらえたら…。それはある意味、コーチでないけれども違うサポートのひとつではないかなと僕は思っています」

「日本国内のおもしろいところにいろいろ行ってみたい」(高橋さん)

Q.東京に拠点を移したとのことですが、東京での毎日はいかがですか?

「ご飯やさんを発見したくて、暇さえあれば外食に出かけています。連れていっていただくこともありますし、自分でSNSで見ていいなと思ったところを保存しておいて友だちと出かけるときに『ここに行ってみようか』みたいな感じで出かけて、お気に入りを徐々に増やしています。大きな商業施設の中で食べるのはあまり好きではなくて、路面の小さいお店が好き。でも東京はエリアがたくさんあるので、まだまだ全然知らないところばかりです。この前行った神楽坂は、小さいお店がたくさんある感じが素敵だなと思いました。代々木上原も好きなエリアです」

Q.そのほか、直近でのマイブームは?

「部屋にお花を絶やさないということ。観葉植物にプラスして置き始めたら、お花がないと落ち着かなくなってしまって、見つけたら買って切らさないようにしています。大きい花が大好きで色はハッキリとした紫にオレンジとか、『この色合い、大丈夫!?』というくらい毒々しい感じの組み合わせで飾っています(笑)」

Precious5月号掲載/ネックレス『リオン ソレール ドゥ シャネル』[WG×ダイヤモンド]¥22,220,000/参考価格(シャネル)ジャケット¥418,000・シャツ¥91,300(フェラガモ・ジャパン)
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Q.これから挑戦してみたいことは「空を飛ぶ系全部」というお答えでしたがそれはどういう気持ちで?

「飛ぶといってもバンジージャンプは怖くてダメ。たぶん空をスーッと跳んでいくものが好きみたいで、以前レポーターの仕事で乗せていただいた航空自衛隊機(ブルーインパルスのアクロバット飛行に同乗)は、あれももちろん怖かったですがめちゃくちゃ楽しかったですね。空以外では、急流を下っていくラフティングなど自然派系のものも挑戦してみたいです。屋久島で上まで登ったのがすごく楽しかったので、いちど富士登山もしてみたい。日本国内のおもしろいところにいろいろ行ってみたいです」

高橋大輔さん
プロフィギュアスケーター
1986年生まれ、岡山県出身。世界ジュニア選手権優勝、バンクーバー五輪銅メダル、世界選手権優勝など次々と日本男子選手初となる栄冠を獲得。全日本選手権は5回優勝。2014年に引退表明をした後、4年後に32歳で現役復帰。2020年からアイスダンスに転向し2022年全日本選手権優勝、2023年世界選手権で日本歴代タイの11位をマーク。同年5月に競技からの引退を発表。2024年2月に自身のアイスショー「滑走屋」を主宰。

■『氷艶2024―十字星のキセキ―』2024年6月8〜11日 横浜アリーナで開催!

『氷艶2024ー十字星のキセキー』

高橋大輔さんが主演するアイスショー『氷艶2024ー十字星のキセキー』が2024年6月8〜11日、横浜アリーナで開催されます。宮本亞門さんの演出、スペシャルゲストアーティストにゆずのおふたりを迎え、宮沢賢治作『銀河鉄道の夜』をモチーフにした〝魂の再生の物語〟が氷上に描かれます。

公式サイト

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PHOTO :
土屋文護(TRON)
STYLIST :
折原美奈子(衣装)、 CHIE ATSUMI(ジュエリー)
HAIR MAKE :
宇田川恵司(heliotrope)
NAIL :
金澤 妙・小谷菜月(uka)
WRITING :
渡辺佳子
EDIT :
佐藤友貴絵・福本絵里香(Precious)