発売中の5月号に、プロフィギュアスケーターの高橋大輔さんが出演中。今回の取材は、主演する6月のアイスショー「氷艶2024ー十字星のキセキー」の準備がこれから始まるという時期に行われました。本記事は、プレシャス本誌のインタビュー記事の続編としてお楽しみください。
「美しさは100人いたら100通りあっていい」(高橋さん)
Q. ダイヤモンドのハイジュエリーはいかがでしたか?
「撮影前は、パワーに負けたらつけられないな、難しそうだなと思っていましたが、あれだけ強さがあるジュエリーなのに『本当に上質なものは誰にでも合って綺麗におさまってくれる』ということを実感しました。もっと圧倒されると思っていました。僕自身、最近ストーンに興味がわいてきたところです。石はひとつひとつ表情が違うのがよさだと思いますが、そのぶん、つけてみたらしっくりこない場合があると思うので『頑張ってつけてます』という感じにならないようなものが見つかればいいなと思っています。ダイヤモンドに関しては今回触れてみて、たとえばデニムやTシャツ姿にさらっとつけて似合うのが究極の理想かなと思いました」
Q.高橋さんが考える美しさ、目ざす美しさのイメージは?
「美しさは100人いたら100通りあっていいと思っていて、そのなかで僕はナチュラルにいられることを目標にしています。年齢を重ねてきたので老けないための努力はしながら、でも、無理していっぱいいっぱいに頑張ってるのが見えるのは違うと思うので、そこをナチュラルに。いまスキンケアを頑張っていますが、それは自分がやりたいからやっているので、もしこの先やりたくなくなったらやめます! とにかく自分にストレスをかけないようにしようと思って、人の目や評価よりも『自分がなにを本当にしたいのか』と問いかけることが増えました。以前はただ勢いでやってしまうところもありましたけど、迷ったら『自分でやりたいことなのか』『ムリしていないか』と、一歩踏みとどまって考えることにしています。ちょっと美しさから離れた答えになってしまいましたが、ナチュラルにいたいというのはそういう気持ちです」
「『滑走屋』のキャスト選びはジェンダーレスで『強さ』をメインに」(高橋さん)
Q .自分が磨かれたきっかけとして、ニコライ・モロゾフコーチとのやりとりが大きなきっかけだったという話が出ましたが、長年サポートしてくださっていた長光歌子コーチの教えで印象に残っていることはありますか?
「長光コーチのところには、高校時代から、試合の2,3週間前くらいになると下宿させていただくようになっていました。『それならもう住んでしまったら?』という話が自然に出て『それじゃ甘えます』となって同居するように。そこからはもう親に近い存在になったので近すぎて。ことばとして残っているものよりも、むしろ、『この人はなにがあっても待ってくれる』という安心感とか信頼感のほうが大きかったです。長光コーチのことばを思い出すとしたら、本当に最初の頃の、『バスが着いたらすぐ、みんなのぶんの荷物まで取りにいって持ちなさい』とか『ちゃんとご挨拶しなさい』といった躾の面の教えですかね。もちろんそれはすごくいまでも自分の中で生きていて、ありがたいと思っています」
Q.初セルフプロデュースショーの「滑走屋」のために、キャスト選びも自分でこなした高橋さん。ブロック大会が行われている試合会場に足を運んで人選をしたと聞いています。今回はどのような目線でキャストを選んだのでしょう?
「最初は男子スケーターだけでグループナンバーを滑るチームを組もうかなと思っていました。でも、ショーの名前が『滑走屋』となってから、スピード感や力強さをいちばん大事にしたいという思いが強くなり、それなら力強さを持っている女子スケーターが入ってもよいかなとジェンダーレスで『強さ』をメインに見ていきました。強さというのは、体のなかにスンっと1本の軸をしっかり持って滑っている感じですね。そういう視点でまずはスケーティングを見て、ステップも見て、速く動けるのかなという点も見て。でも速く動けなくてもスケーティングの力強さのほうがが大事。結局体の芯がしっかりしていてスケートが強いということを重要視しました。踊れるか踊れないかということや、ジャンプがどうなのかなどは今回は見ていませんでした」
「いま、真央と組んだらもっと余裕を見せられると思う(笑)」(高橋さん)
Q.浅田真央さんのショー『BEYOND』をご覧になった感想をもう少し詳しく教えてください。
「新潟公演を見に行きましたが、パフォーマンスにめちゃくちゃ感動しました。真央もまたいろいろな経験を経て、内側から出るものがすごく変わってきたなということを感じましたし圧倒されましたね。ショー全体にすごく真央のキャラクターが反映されていて、『陽』な明るい感じとブレない強さが全面に出ているなと思いました」
Q.おふたりといえば10年前のアイスショーで初のコラボ演技に挑戦したことを覚えているファンも多いと思います。高橋さんが真央さんをちょっとリフトする見せ場がありました(2014年12月の「クリスマス・オン・アイス」にて)
「はい。あのときはこわごわ持ち上げていましたが、いまだったら全然余裕です! リフトは持ち上げる側だけでなく持ち上げられる側にもスキルが必要なのですけど、真央もショーのために練習してペアのリフトを経験したので、いまふたりでトライしてみたら余裕のリフトが見せられると思います(笑)」
Q.今年に入ってアイスショーのソロ演技で久しぶりに得意の3回転フリップを披露しました。ダンスとシングルでは靴もエッジも違うなか、靴を履きかえ感覚を切り換えて3回転を跳ぶのは大変では?
「はい。いまダンス用の靴でエッジを変えたものをシングル用にしてますが、エッジの長さも靴の高さも違っていて、それに感覚を合わせる時間もまだあまりなくどうしたらうまく使い分けられるか試しているところです。年始の『プリンス アイス ワールド』では、シングル時代のプログラムを滑ったのでジャンプを練習して入れたたのですが、2月の『滑走屋』ではそれ以降ずっと練習していない状態で、本番の日の朝に3回転フリップを練習して気合いで入れる!みたいな感じ…本当にもう気合いだけで跳びました。でも、これから落ち着いたらジャンプの練習がコンスタントにできるかなと思っています。シングルプログラムを滑るならジャンプはシングルの醍醐味ですし、とりあえず3回転は全種類戻したいです。トリプルアクセルは、ほとんどやる必要はないと思っていますけど、できたらやろうかなという感じでしょうか」
Q.氷艶公演を演出する宮本亞門さんについて。5年前にご一緒して今回が2度目になります。亞門さんの印象は? 今回も歌の披露がありそうですか?
「演出家の方々は少し怖い存在なのかなというイメージがありましたが、亞門さんは、厳しいところは厳しいですが、こちらの動きや反応をすべて拾ってくださって『いいじゃない、それ』というように盛り上げてくださるかたで、それがありがたいなと思いました。歌に関しては今回はまだ打ち合わせもしていないのでどうなるかわかりません。前回は『歌って』と言われたので『言われたらやるしかないな』みたいな流れで(笑)。めちゃくちゃ練習しましたけどやっぱりうまくいかなかった部分もあって大変でしたけど、内心『横浜アリーナで歌いたくても歌えない人もいるし』という感覚もあり、『自分がやると言い出したわけじゃないし』という逃げもあるので、そこでちょっと強気でいられるしという気持ちで取り組んでいました」
高橋大輔さんの本誌未公開インタビューは後半に続きます。お楽しみに!
■『氷艶2024―十字星のキセキ―』2024年6月8〜11日 横浜アリーナで開催!
高橋大輔さんが主演するアイスショー『氷艶2024ー十字星のキセキー』が2024年6月8〜11日、横浜アリーナで開催されます。宮本亞門さんの演出、スペシャルゲストアーティストにゆずのおふたりを迎え、宮沢賢治作『銀河鉄道の夜』をモチーフにした〝魂の再生の物語〟が氷上に描かれます。
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- PHOTO :
- 土屋文護(TRON)
- STYLIST :
- 折原美奈子(衣装)、 CHIE ATSUMI(ジュエリー)
- HAIR MAKE :
- 宇田川恵司(heliotrope)
- NAIL :
- 金澤 妙・小谷菜月(uka)
- WRITING :
- 渡辺佳子
- EDIT :
- 佐藤友貴絵・福本絵里香(Precious)