結成30周年を迎える記念すべき周年公演であり6年ぶりの新作として Daiwa House Special 地球ゴージャス三十周年記念公演『儚き光のラプソディ』が上演されます。Precious.jpでは舞台稽古開始直前のタイミングで今作に出演する中川大志さん、風間俊介さんを直撃。全3回にわたるインタビューのVol.2をお届けします。
「以前出演したときの舞台稽古では“おはようタップ”が習慣化していました」風間俊介さん
―――Vol.1で風間さんが言及されていたように、『儚き光のラプソディ』のイメージビジュアルやスポット映像は、確かに時代背景やそれぞれのキャラクター性が見えそうで見えない想像力を掻き立てられるようなものでした。中川さんはビジュアル撮影の時点で、何か触発されるものはありましたか?
中川 「もちろん、舞台に立つものとしてお客様にお届けしたい熱い想いがあることは前提ですが、何かこう、自分もこの作品を通してたくさんのエネルギーをチャージしたい思いにかられました。上演中に客席から受け取るエネルギーもあるでしょうし、エンターテインメントをつくっているときの現場の活力みたいなものや、“企んでいる時間”といいますか。どうやったら劇場に足を運んでくださったお客様を楽しませることができるのか、稽古場で時間をかけてじっくり煮詰めていく作業が僕ら演じ手のガソリンとなり、エンジンとなり、原動力になったりしますので、そこにも期待をもっています。舞台稽古から公演まで入れたら3か月くらいになると思うのですが、その時間がすごく充実したものになればいいなと思っているところです」
―――地球ゴージャスならではの舞台稽古の特徴として、たとえば2時間ぐらいストレッチをしてから稽古が始まる日もあるとお聞きしています。
風間 「そうですね。でももちろんそこにも“今日は少し短くしようか”などの臨機応変はあるんですよね。そもそもウォーミングアップ自体が大切ですよね。
でもね、違うんです、地球ゴージャスの場合はコミュニケーションの時間でもあるんですよ! たとえば、稽古を進めるうちに“これは毎日やったほうがいいね”と、みんなが自発的に動き出したりすることもあるんです。僕が参加した公演にタップのシーンがあったのですが、そのときは誰かが“おはようタップ”と命名して、タップを担当する役者たちが練習してからウォーミングアップを始めるのが習慣づいていったりしたんですよ。
個々の役者それぞれが、この作品には何が大切で何が足りていないのかを模索するうちに徐々にコミュニケーションも増えてきて、みんなで会話しながらウォーミングアップをしていたらいつのまにか2時間経っていたりする(笑)。それをみんなで反省して“明日からはもうちょっと私語は慎みますか”なんて言いあう、そんなゆるやかでポジティブな空気が流れている感じですね」
―――稽古時間に生み出される“地球ゴージャス”ならではの醍醐味もたくさんあるのでしょうね。
風間 「(岸谷)五朗さんの頭の中にあるものを僕たちがいつどのタイミングで受け取るのか、ということも大きいですね。僕が過去に地球ゴージャスの作品に出演させていただいた中でいうと、 稽古が始まってわりと初期のタイミングで伝えてくださることもあれば、けっこう初日ギリギリだったなぁということもありました。五朗さんは“このタイミングで役者に伝えたい”という想いがある方なので、おそらくそれすら計算されていたりするのだと思います。今回どうなるのかも楽しみにしています」
中川 「なるほど、そんなこともあるんですね。僕はまだ地球ゴージャスを客席からしか観たことがないのでが、カンパニーの連帯感や一致団結感はやはり明らかに一種独特なひとつの強烈なエネルギーを放っていると感じたんですよ。“うわっ、この人たち仲良さそうだな〜!”みたいなインパクトがあるんです。みんながそれぞれ別の方向を向いて立っていたとしても、ちゃんと横でつながりあっている感じが伝わってくるといいますか。岸谷さん率いるカンパニーにこだましている“ならでは”のパワーのようなものが、やっぱり絶対にじみ出てくるんだろうなと思っています。そして、それらは絆も深まるような舞台稽古の時間を通して少しづつ積み重なっていくものであるということなんですね」
「稽古に入る前に風間さんにいい印象をもっていただけて、うれしい」中川大志さん
風間 「でも、めっちゃ面白いよ、地球ゴージャスの稽古場って」
中川 「何か決まりごとみたいなものはあるんですか? 地球ゴージャスの“これだけはみんな守ろう”みたいなルールとか掟みたいなものは」
風間 「たぶん、中川くんなら絶対大丈夫だと思う。シンプルにその作品を良くしたいという一生懸命さや、芝居や演劇が好きだという気持ちが絶対条件だと思うので。僕、今日1日中川くんと一緒にいて“すごく作品に真摯に向きあう人なんだな”ということを感じたんですよね。劇場に来てくださるお客様や演劇のことも大好きで、それなら絶対に大丈夫だなと」
―――今日はこの舞台の取材日でしたが、ちなみにどのようなシーンで感じられたのかぜひ教えてください。
風間 「一昨年の中川くんの座長公演『歌妖曲〜中川大志之丞変化〜』上演時の話をしてるときの表情ですね。時が経って改めて“あのときこうしたら良かったのかもしれない”という課題のようなものをいくつか振り返りながら作品について語ってるときの表情から、彼がとても作品を大切にしている人であることが伝わってきたんです。きっとしっかり頑張ってつくり上げた作品なのだろうなということも感じられました。
役者さんによっては、終わった仕事のことはパッと一切消してしまうという方もいらっしゃって、それはそれでかっこいいじゃないですか。僕自身は携わった作品がすごく好きになるタイプで、 過去作の話を聞かせてくださいと言われることも好きなんですよね。中川くんからはまだ一作の話しか聞けていないのでどちらのタイプなのかまではわからないですけれども、いずれにしても、自分の携った作品に対してこれだけ“いい横顔”で語れる人はなかなかいないです」
―――風間さんから絶賛されましたが、いかがですか。
中川 「素直にうれしいです。稽古に入る前に“なんだコイツ”と思われていたりしたら困りますから、ぜひこのまま良い印象をもっていただければ(笑)」
インタビュー中のPrecious.jpチームを“取材する方も大変ですよね。何かしらもち帰らなければならないから”と気遣ってくださった中川さん、風間さん。Preciousのインスタグラムにアップ予定の告知動画を録る際も、その場を楽しみながら和やかにトークしてくださいました。Vol.3では、おふたりの素顔にもう一歩迫りますのでお楽しみに。
■Daiwa House Special 地球ゴージャス三十周年記念公演『儚き光のラプソディ』
【作・演出】 岸谷五朗
【出演】 中川大志 風間俊介 鈴木福 三浦涼介 佐奈宏紀 保坂知寿/岸谷五朗 寺脇康文 他
【東京公演】 2024年4月28日(日)~5月26日(日) 明治座
【大阪公演】 2024年5月31日(金)~6月9日(日) SkyシアターMBS
■中川大志さん衣装:ブルゾン¥64,900、シャツ¥49,500、パンツ¥47,300/UJOH(M) その他、スタイリスト私物
■問い合わせ先/M 03-6721-0406
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- PHOTO :
- 高木亜麗
- STYLIST :
- 徳永貴士(中川さん)、手塚陽介(風間さん)
- HAIR MAKE :
- 堤 紗也香(中川さん)、道中佳美(風間さん)
- WRITING :
- 谷畑まゆみ