インターネットでの買い物が当たり前になった現代では、「しばらく書店で本を買っていない」という人もいるかもしれませんが…4月に書店に出掛けて「サン・ジョルディの日」という掲示を見たことはありませんか? 今日、4月23日は「サン・ジョルディの日」。今回はこの日の意味や由来などを解説します。ビジネス雑談に役立ててください。

【目次】

「サン・ジョルディの日」と本やバラの関係は?
「サン・ジョルディの日」と本やバラの関係は? 『星の王子さま』の作者、サン=テグジュペリを連想した人もいるかもしれませんね。まったくの無関係とはいえませんが、ちょっと違います。 

【4月23日は愛の日?「サン・ジョルディの日」の基礎知識】

■「サン・ジョルディの日」とは?

「サン・ジョルディの日」は、もともとは、スペインのカタルーニャ地方で4月23日に女性から男性に本を、男性から女性には花を贈り、愛する気持ちを伝えていた日です。現在では男女を問わず、また親子や友人同士などでも本や花を贈る日として認識されています。

■スペインが発祥!由来は?

上でも触れましたが、「サン・ジョルディの日」は、スペイン・カタルーニャ地方に伝わる“サン・ジョルディ伝説”をもとにしています。

かつてカタルーニャという国だったこの地方には恐ろしいドラゴンが棲んでいて、毎日ひとりずつ生贄を捧げなければなりませんでした。やがて、とうとう王女が生贄となる順番が訪れました。多くの国民が身代わりになることを志願しましたが、王さまは聞き入れず、愛する娘を差し出すことに。いよいよ王女が生贄になるそのとき、白馬に乗った騎士サン・ジョルディが現れ、ドラゴンを退治してくれました。サン・ジョルディから一撃を受けたドラゴンから流れ出た血からは美しいバラが咲き、サン・ジョルディはそのなかで最も美しい赤いバラを選び、永遠の愛のシンボルとして、王女に贈ったのだとか。

■なぜ4月23日?

サン・ジョルディはヨーロッパで愛の守護聖人とされ、彼の命日である4月23日が「サン・ジョルディの日」に。愛を告げたり、愛を確かめ合う日として広がりました。

■日本にはいつ広まった?

日本では1986(昭和61)年に、日本書店商業組合連合会と日本・カタルーニャ友好親善協会などが4月23日を本とバラの花を贈る「サン・ジョルディの日」と定めました。本と花を贈るカタルーニャの習慣を日本にも定着させることを目的としたプロモーションだったです。


【「サン・ジョルディの日」には何をする?】

「サン・ジョルディの日」は日本でも知られるようになってきましたが、バレンタインデーや母の日、父の日のように品物を贈る日としてはまだ一般化されていません。ロマンチックなだけでなく知的なイメージもある「サン・ジョルディの日」は、ビジネス雑談にも役立ちそうなので、なぜ本を贈るのか、バラの花なら何でもOKなのかなど、もう少し理解を深めてみましょう。

■本を贈るのはなぜ?

4月23日は、小説『ドン・キホーテ』を書いたスペインの文豪ミゲル・セルバンテスの命日でもあります。また、『ロミオとジュリエット』や『リア王』、『ハムレット』などの戯曲で知られるウィリアム・シェイクスピアの誕生日であり命日と、4月23日は文学に縁の深い日であったため、ヨーロッパでは古くからこの日に本を贈る風習があったのだとか。そこに“サン・ジョルディ伝説”が乗っかったのでしょう。ちなみに、当時はスペインはグリゴリオ歴、イギリスはユリウス暦という異なった暦を使っていたので、厳密に言うと、両者の誕生日と命日は同日ではありません。

■4月23日は「サン・ジョルディの日」で「子ども読書の日」

ユネスコでは1995(平成7)年からこの日を「世界本の日」とし、国連の国際デーのひとつに定めています。日本でも2001(平成13)年12月に「子どもの読書活動の推進に関する法律」の第10条において、この日は「子ども読書の日」に定められています。

■バラを贈るなら何本?

「サン・ジョルディの日」には“サン・ジョルディ伝説”にちなんで赤いバラを贈るのが定番となっています。バラの花言葉は「美」や「愛情」で、色ごとに意味をもつことは知られていますが、本数によっても意味が異なるってご存知ですか? いくつか本数と花言葉を挙げてみましょう。

・1本:ひとめぼれ、あなたしかいない

・3本:愛しています、告白

・5本:あなたに出会えて本当によかった

・6本:あなたに夢中

・8本:あなたの思いやりに感謝します

■バラ以外の花なら…

この時期のフラワーショップの店頭には、チューリップをはじめ、ガーベラ、カラー、ライラック、ネモフィラ、ラナンキュラス…そして母の日を前にカラーバリエーション豊かなカーネーションも並び、1年でいちばん華やかな時期となります。目的別にいくつか花言葉を紹介しましょう。

・愛を伝える花:ピンクのチューリップ(誠実な愛)、赤いガーベラ(燃える神秘の愛)、ピンクのガーベラ(愛情、崇高な愛)、黄色のガーベラ(究極の愛)、赤いカーネーション(純粋な愛、真実の愛)、オレンジ色のカーネーション(熱烈な愛)

・感謝を伝える花:赤いチューリップ(家族への愛)、黄色のラナンキュラス(優しい心遣い)、白いレースフラワー(感謝)、フリージア(感謝、友情)


【「サン・ジョルディの日」にはイベントも】

「サン・ジョルディの日」には、本の購入を促す告知をするだけでなく、“本を贈ること”に積極的なイベントも行われています。

例えば兵庫県伊丹市では、コロナ禍が明けた昨年、初開催された「いたみサン・ジョルディの日」では、ブラインドブックス(目隠し本の交換会)を三軒寺前広場で開催。古本やバラの販売、カタルーニャの美食やワインも楽しんだとか。今年も開催されるようなので、お近くの人はぜひ! また、同じく昨年には、大日本印刷株式会社の若手を中心とした社員の有志がプロジェクトを立ち上げ、本を贈り合う企画を実施。賛同した社員約300人が参加し、ランダムに贈る人と贈られる人を選定、会社が配布した図書カードで購入した本にメッセージを添えて贈りました。普段は交流のない人と出会うことになったり、テレワークの広がりで減ってしまった顔を合わせる機会にもなったのだとか。みなさんが住む地域の書店などでも、イベントが開催されているかもしれません。ぜひチェックしてみてください。

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「サン・ジョルディの日」は、ロマンチックなだけでなく知的な雰囲気も漂う記念日です。これをきっかけに、本を贈るという素敵な習慣を取り入れてみてはいかがですか?

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『現代用語の基礎知識』(自由国民社)/日本書店商業組合連合会 https://www.n-shoten.jp/santjordi.html 日比谷花壇 https://www.hibiyakadan.com/ :