連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変える

雑誌『Precious』6月号の連載【Tomorrow Will Be Precious!】では、明日への希望をアクションに変える方たちの活動に注目し、紹介しています。

今回は、「Brooklyn Grange」共同創業者でCIOのアナスタシア・コール・プラキアスさんにフォーカス! 屋上農園をはじめとした農産・緑化事業を通じて都市生活者と自然を繋ぐ、アナスタシアさんのお仕事に注目しました。

アナスタシア・コール・プラキアスさん
「Brooklyn Grange」共同創業者・CIO
大学卒業後、フリーライターを経て食の世界へ。イタリアンレストランやワインの会社に勤めながら飲食業界での人脈を広げる。’10年に「ブルックリン・グランジ」を共同創設。そのほかにもNPO団体の設立など都市部の食のシステムを変えていくための活動を続けている。’17年にはN.Y.市食料政策センターによる「40歳以下の40人」に選出された。

都市で暮らす人々と自然を結びつける|ブルックリンにある天空の農場へ

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「Brooklyn Grange」共同創業者・CIOのアナスタシア・コール・プラキアスさん

写真で、アナスタシアさんがいるのはN.Y.郊外…ではなく、ブルックリンにあるサンセットパーク内のビルの屋上。彼女が所属する「ブルックリン・グランジ」は’10年に屋上農園をスタートし、現在ではふたつの直営農園以外に、さまざまな緑地の設計や維持管理を引き受けている。緑化によって「都市特有のヒートアイランド現象の緩和」「下水道の合流によるオーバーフローの緩和」「生物多様性の推進」など、環境の改善に貢献中だ。

「私たちの活動の特徴は、地域住民との密接なパートナーシップにあります。年間、数万キロ収穫される有機農産物は安価で販売、あるいは無料で配布し、屋上農園の魅力を広く知ってもらうためのきっかけづくりに活用しています。コロナ禍によるロックダウンの際には、協働している企業の力も借りて、突然十分な食料を手に入れることができなくなった地域の人々に収穫物を配布する活動を行いました。都市生活者と自然との関係性を修復することも重要なミッションです」

彼女自身、ウエストビレッジで生まれ育った生粋のニューヨーカー。郊外の大学に進学し、卒業後、興味のあった飲食業界で仕事をした。充実していたが、同時に暗部も知った。そのことが、安全で持続可能な方法で農作物を生産するにはどうしたらよいのか、という問題意識へとつながっていったのだと語る。

「講師を務めたり、ワークショップを開催したり、カンファレンスや大学で講演をしたり。’16年に出版した『屋根の上の農場』という本のオーディオブック版のナレーションも担当しました。より持続可能な世界をつくり出すためには、環境問題に無意識な人々を巻き込んでいくことがカギだと思っています。そのために、私は声を出し続ける。もっとたくさんの人に話を聞いてもらえるように、説得力のある活動をしていきたい」

自身を「自然の美しさを大声で歌う鳥」とたとえた。未来への想いが、摩天楼に響く。

◇アナスタシア・コール・プラキアスさんに質問

Q. 朝起きていちばんにやることは?
現在6か月の第2子がいるので、一日の始まりは添い寝と授乳。
Q. 人から言われてうれしいほめ言葉は?
私たちの仕事が「行動を起こすきっかけになった」
Q. 急にお休みがとれたらどう過ごす?
自然の中で過ごす。庭いじり、森でのハイキング。あるいはキッチンでヴィーガン料理をつくったり、切り花を生けたり。
Q. 仕事以外で新しく始めたいことは?
裁縫が上手くなりたい。刺し子の技術を学びたい。
Q. 10年後の自分は何をやっている?
気候変動対策にもっと深く取り組んでいる。N.Y.郊外の土地での農業も手掛けてみたい。
Q. 自分を動物にたとえると?
いつも飛び回っていて、植物に囲まれているのが大好きなので、自然界の美しさについて大声で歌っている鳥でしょうか。

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PHOTO :
Mari Sarai
取材 :
Junko Takaku