【目次】
- 「二百十日」とは? 意味や読み方をわかりやすく解説
- 2026年の「二百十日」はいつ? 日付の数え方も紹介
- 「二百十日」はなぜ生まれた? 暦に加えられた由来と歴史
- 「二百十日」は台風が多い? 「厄日」とされた理由を解説
- 「二百十日」と「二百二十日」の違いとは? 立春からの日数を比較
- 「二百十日」に知っておきたい豆知識|風祭りや農作物との深い関わり
【「二百十日」とは? 意味や読み方をわかりやすく解説】
■読み方
「二百十日」は「にひゃくとおか」と読みます。振り仮名は「とうか」ではなく「とおか」ですよ。念のため!
■意味
「二百十日」は、立春から数えて210日目にあたる日のことです。暦のうえでは「彼岸(ひがん)」や「土用」などと同じく、季節を表す目印である「雑節」のひとつに数えられ、毎年9月1日頃にあたります。「立春」を起点として日数を数えて決められるため、年によって日付は変わります。
■秋の季語として
二百十日は、暦や農業だけでなく、俳句では秋の季語としても使われています。この頃は夏の暑さが残る一方で、台風など秋の天候の変化が気になる時期。「二百十日」という言葉からは、そうした季節の移り変わりも感じ取ることができるのです。
【2026年の「二百十日」はいつ? 日付の数え方も紹介】
■2026年(令和8年)の「二百十日」はいつ?
2026年(令和8年)の「二百十日」は、9月1日です。
■「立春から210日目」はどう数える?
「二百十日」は、「立春」の日を起点として日数を数えます。「立春」は、古代中国でつくられた季節の区分法である二十四節気のひとつ。毎年2月4日ごろですが、二十四節気は太陽の黄道上の位置によって1年を24等分して気候の推移を示すため、日付は固定されていません。毎年、国立天文台暦計算室が天文学的な計算に基づいて算出しています。
2026年の場合、「立春」は2月4日。これを起点に数えると、210日目は9月1日。つまり、2026年の「二百十日」は9月1日です。
今後の二百十日は以下の通りです。
・2026年の「二百十日」 ...... 9月1日
・2027年の「二百十日」 ...... 9月1日
・2028年の「二百十日」 ...... 8月31日
・2029年の「二百十日」 ...... 8月31日
・2030年の「二百十日」 ...... 9月1日
ちなみに、「立春」を起点とした雑節は、「二百十日」のほかに「八十八夜」が有名ですね! 2026年の「八十八夜」は、5月2日でした。このころから、農家は種まきや茶摘み、養蚕などで忙しくなります。
【「二百十日」はなぜ生まれた? 暦に加えられた由来と歴史】
■農作業の目安として生まれた?
「二百十日」は、農作業のうえで警戒すべき時期を知るための目安として生まれたと考えられています。「立春」から210日目という区切りを設けることで、毎年変わる暦の日付ではなく、季節の移り変わりに合わせて特定の時期を示すことが可能となります。日本では古くから、こうした実用的な意味をもつ暦の節日として「二百十日」は定着していきました。
■暦に登場したのは江戸時代
「二百十日」が初めて暦に記載された時期については、いくつかの説があります。
『国史大辞典』や『日本大百科全書』によると、1656(明暦2)年の伊勢暦に二百十日の記載が確認されています。その後、渋川春海による貞享の改暦の際にいったん暦から除かれましたが、翌年から再び記載されるようになりました。国立天文台所蔵の『壬癸録(じんきろく)』には、伊勢の船長が奉行所に訴えたことで、人々の生活に役立つものとして復活した旨が記されています。現在では、渋川春海による記載が二百十日の始まりと紹介されることもありますが、伊勢暦にはそれより早い記載があるため、「渋川春海が初めて暦に載せた」と断定することはできません。
【「二百十日」は台風が多い? 「厄日」とされた理由を解説】
■なぜ「二百十日」は厄日とされた?
「二百十日」が「厄日」とされてきた背景には、台風などによる強風への警戒があります。「二百十日」のころは、稲の開花期にあたります。強風や大雨は稲作に被害をもたらすおそれがあるため、農家にとっては特に注意が必要な時期でした。そのため、「二百十日」を風害に備える節目としてとらえ、注意喚起の意味合いで「厄日」と呼ぶようになったとされています。
■「二百十日は台風が多い」は本当?
「二百十日」は昔から台風などの風害を警戒する時期とされてきましたが、統計上、「二百十日」という特定の日に台風が特に多いわけではありません。気象庁の平年値では、日本への台風接近数は8月、9月ともに月平均3.3個。このうち、本州・北海道・九州・四国を対象とする「本土」への接近数は8月が1.6個、9月が1.9個です。
一方、2026年は早い時期から台風の影響が目立っています。気象庁によると、8月24日現在の台風発生数は21個(速報値)で、8月だけでも8個が発生。沖縄・奄美には8月20日現在で5個が接近しており、なかでも6月には平年値0.6個に対して3個が接近しました。
【「二百十日」と「二百二十日」の違いとは? 立春からの日数を比較】
■「二百二十日」も、立春から数えて220日目
「二百二十日」は「にひゃくはつか」と読み、立春から数えて220日目にあたる日のことです。「二百十日」と同じく雑節のひとつに加えられることもあるもので、太陽暦では9月11日ごろにあたります。「二百十日」が立春から210日目なのに対し、「二百二十日」はその10日後。いずれも、秋の農作業に関わる時期を示す暦の節目です。
■「二百十日」と「二百二十日」は、ともに「厄日」
「二百十日」と「二百二十日」は、ともに台風などによる風害を警戒する「厄日」とされてきました。というのも、「二百十日」から「二百二十日」にかけては風雨を警戒する時期と考えられ、「二百十日の荒れは二百二十日に持ち越す」という俗信も伝えられています。これは「二百十日」を過ぎても油断せず、「二百二十日」頃までは風害に注意しましょうという、昔の人々の経験に基づく言い伝えです。
ただし、これはあくまで俗信であり、「二百十日」や「二百二十日」の頃に必ず台風が来るという意味ではありません。
■「二百十日」と「二百二十日」の違い
2つの雑節を比較すると、次のようになります。
・二百十日(にひゃくとおか)……立春から210日目、9月1日ごろ
・二百二十日(にひゃくはつか)……立春から220日目、9月11日ごろ
どちらも立春を起点に日数を数えるため、毎年同じ日付になるとは限りません。なお、「二百十日」は暦に記載されるようになりましたが、「二百二十日」は一般的な暦には記載されないとされています。
【「二百十日」に知っておきたい豆知識|風祭りや農作物との深い関わり】
■風を鎮める「風祭り」が
「二百十日」を中心とした時期には、強風による農作物の被害を防ぐため、各地で「風祭り」が行われてきました。風祭りは、風の神を鎮め、強い風が吹かないように祈る行事です。地域によって祭りの時期や方法は異なり、「二百十日」だけでなく、「二百二十日」や旧暦8月1日の「八朔」に合わせて行うところもありました。
富山県富山市八尾町で毎年行われる「おわら風の盆」も、こうした風祭りのひとつと考えられています。
■農家の三大厄日
「二百十日」は「三大厄日」といわれるもののひとつです。
「三大厄日」とは…
・「八朔(はっさく)」:8月朔日の略で旧暦の8月1日。現在の暦では8月25日〜9月23日ごろ。
・「二百十日」:毎年9月1日頃。
・「二百二十日(にひゃくはつか)」:「立春」から数えて220日目。毎年9月11日ごろ。
厄日とされる理由は、農家や漁業を営む人たちの天敵である暴風雨、台風が多く襲撃するころだからです。
■「二百十日」に旬を迎える食べもの
このころ、旬を迎える野菜や果物は、さつまいもや無花果(いちじく)、ぶどうなど。食物繊維が豊富なさつまいもは、便秘解消にも効果的。無花果は生ハムとの相性抜群。ジャムやドライフルーツにしてもいいですね。そして、この頃に出回り始める魚といえば、秋の味覚を代表する「秋刀魚(さんま)」です。残暑の厳しい季節とはいえ、秋の味覚を楽しみたいですね。
■9月1日は「防災の日」
1923(大正12)年の9月1日午前11時58分、関東地方をマグニチュード7.9の大地震が襲い、死者10万5,385人という大災害となりました。この日を忘れることなく災害に備えようと、1960(昭和35)年に制定されたのが「防災の日」です。「二百十日」に重なることが多い記念日です。
■「二百十日」のころは「残暑見舞い」を送る季節です
「暑中見舞い」や「残暑見舞い」を送る時期は、二十四節気がひとつの目安になります。「小暑」から「立秋」の前日までに送るのが暑中見舞い、「立秋」を迎えてから送るのが残暑見舞いです。日本郵便では、残暑見舞いは8月末頃まで、遅くとも9月7日頃までに届くよう案内しています。つまり、9月1日ごろである「二百十日」は、残暑見舞いを送る時期の終盤にあたります。
■夏目漱石の『二百十日』とは?
夏目漱石の中編小説である『二百十日』は、1906(明治39)年10月、雑誌『中央公論』に発表され、1907(明治40)年1月刊の『鶉籠』に収録されて出版されました。小説『二百十日』は阿蘇山に登るふたりの青年の会話で綴られた物語で、華族など富裕層への不満が度々語られています。
結果としては、二百十日の嵐のために登頂を断念するのですが、当時の社会制度や特権階級に対する批判を展開しつつ、青年たちの友情や理想を追求する姿が描かれています。漱石自身、熊本での教師時代の1899年に、友人で同僚の山川信次郎と共に阿蘇に登山した経験があります。登頂を試みるものの嵐にあい断念しているため、小説『二百十日』はこの体験に基づくもので、登場人物のひとりは漱石自身がモデルであるとも言われています。
***
「二百十日」は、昔の人々が自然の変化を読み取り、農作物を守るために生み出した「暦の知恵」のひとつです。
2026年の台風発生数は、8月24日までの速報値で21個となり、平年を上回るペースで推移していますが、日本気象協会の予報モデルの解析によれば、9月は平年並み、10月は平年並みか少なくなると予想されています。なお、気象庁の平年値では、日本への台風接近数は9月が3.3個、10月が1.7個です。とはいえ、接近数が多くない場合でも、ひとつの台風による影響が大きくなる可能性があるため、秋も台風の動向には引き続き注意が必要です。
台風の予測という点では、昔の暦は現代の気象情報にかないませんが、季節の変わり目に自然災害への備えを意識するきっかけとしては、今も身近な存在といえるでしょう。「二百十日」を迎えたら、秋の味覚を楽しみながらも、もしもの災害への備えも改めて確認してみてはいかがでしょうか。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) /日本の歳時記(小学館) /『世界大百科事典』(平凡社) /『国史大辞典』(吉川弘文館) /国立天文台「暦計算室」(https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/) :

















