わずか数cm四方の小さな時計の中に宿る、つくり手の情熱と物語は伝統と革新をつないできた時計づくりの軌跡であり「奇跡」そのもの。だからこそ、じっくりと時間をかけて育まれたクリエイションはこんなにも美しく、エモーショナルで、私たちの心を揺さぶるのです。

雑誌『Precious』9月号では、【「新作時計」が生む感動のスペクタクル】と題して、全27ブランド・32本の魅力を総力レビュー! 燦々たるジュエリーウォッチから進化を遂げるラグジュアリースポーツウォッチまで、今年発表された新作から厳選してご紹介しました。

今回はその中から、「桜隠し」の情景を描いたグランドセイコー『ヘリテージコレクション SBGH341』と宝石を纏ったスケルトンウォッチ、フランク ミュラー『ヴァンガード レディ スケルトン』の魅力をお伝えします。

「新作時計」が生む感動のスペクタクル

時計_1,高級時計_1
左/『ヘリテージコレクション SBGH341』 ¥1,012,000 ●ケース:ブライトチタン(TM) ●ケース径:38mm ●ブレスレット:ブライトチタン(TM) ●自動巻き(セイコーウオッチ)
右/『ヴァンガード レディ スケルトン』 ¥9,405,000 ●ケースサイズ:縦42.3×横32mm ●ストラップ:クロコダイル×ラバー ●手巻き(フランク ミュラー ウォッチランド東京)

【グランドセイコー】グレイッシュピンクに春の儚い情景を描き出して

傷つきにくいブライトチタン(TM)の白い輝きも、桜と雪を思わせる優しい色にマッチ。型打ち模様によって文字盤は、まるで宝石のように、角度を変えるたびに表情を変える。毎秒10振動のハイビートムーブメント「Cal.9S85」を搭載しており、日本が誇るマニュファクチュールとしての卓越した技術力にも注目したい。

「グランドセイコー」が掲げる「THE NATURE OF TIME」というブランド哲学から誕生した最新作『SBGH341』。世界に息づく自然や季節の移ろいへと焦点を当てた意匠が、実に優美な世界を繰り広げています。

本作は、桜の花を雪が覆い隠す「桜隠し」の情景を描いたもの。時計製造の拠点「グランドセイコースタジオ 雫石」でも見られる、春の風景からインスパイアされました。凹凸の型を打ち付けて模様をつくる表面加工で、グレイッシュピンクの淡い色彩は、さらに繊細なタッチに。生命の儚さと尊さに敬意を払ってきた日本人の美意識が、文字盤というキャンバスの上に雄大に描き出されています。

【フランク ミュラー】愛でる喜びを実感する宝石を纏ったスケルトンウォッチ

合計2.73カラットのブルーサファイアが輝くスケルトンウォッチ。文字盤と裏蓋を取り除き、剥き出しになったパーツには手作業により丁寧な仕上げが施されている。宝石の輝きと相まり、芸術的な魅力を紡ぎ出す。表にレザー、裏面にラバーを施したストラップも絶妙なフィット感を誇る。

実はレディスウォッチであまり見かけないのが、美しいムーブメントを堪能できるスケルトンウォッチ。しかし、「フランク ミュラー」から登場した『ヴァンガード レディ スケルトン』は機械式時計の醍醐味を実感できる理想の一本です。

丁寧に面とりされたパーツが織りなす構造美や、歯車やテンプ、ゼンマイの動きを華麗に彩る、ブルーサファイアの輝き。流麗な曲線のブリッジには、リュウズも含めて合計132個のバゲットカット・サファイアが施され、躍動的なケースフォルムと見事に呼応しています。まさにウエアラブルアートとも呼びたい、女性のために考え抜かれたスケルトンウォッチが優雅な時を刻み続けます。

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
※文中の表記は、WG=ホワイトゴールドを表します。

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PHOTO :
池田 敦(CASK)
STYLIST :
関口真実
EDIT&WRITING :
安部 毅、安村 徹(Precious)