雑誌『Precious』9月号の別冊付録では【やっぱり「鮨」が好き!】と題して、日本人のソウルフード・鮨を特集。北陸をはじめとする日本各地の名店から、注目の新潮流店まで、「おいしい鮨」をたっぷりとご紹介します。

今回は、作家の山内マリコさんが推す、富山の名店「SOTO」についてお届けします。

山内 マリコさん
作家
(やまうち まりこ)1980年富山県生まれ。’12年に『ここは退屈迎えに来て』(幻冬舎)でデビュー。地方と女性をテーマにした著書多数。最新刊は『マリリン・トールド・ミー』(河出書房新社)。締切前の“自主的缶詰”期間には立ち食い鮨店に行くことも。

SOTO|その日だけの儚い美味をクリエイティブに届ける

店主の小杉外博さんは、80年代に鮨職人として渡米。後に独立し、ニューヨークに移転した鮨店は7年間ミシュラン二ツ星を獲得し、評判を呼んだ。

32年間のアメリカ生活を経て地元に開いた店は静かな住宅街にある。ここは、鮨屋であって鮨屋ではない。握りの前のつまみは、燻製にしたサバをムースに仕立てたり、セビーチェにアレンジしたりと多様な地魚を少量ずつ提供し、コース全体で富山湾を表現している。

新湊で修業していた20代の頃、後学のために出ていた定置網漁で、鮮度のポテンシャルに感銘を受けた。流通に向かない、高値がつかない魚も朝どれの鮮度と調理次第で極上の味になることを知る。

【山内さんの推し】「とっておきの日に行く特別なお店。隠し味がトリュフオイルだったおつくりに感動。手品師みたい!」

寿司_1
SOTO
富山の鮨店「SOTO」で提供される料理
おまかせはつまみが11品〜、握りが10貫ほど。ヒラマサは生姜醤油とトリュフオイルで。
富山の鮨店「SOTO」で提供される料理
カレイの薄造りは花のような盛り付けに。昆布塩のソースとゆずの皮で淡いうま味がふくらむ。
富山の鮨店「SOTO」で提供される料理
ボタンエビを塩漬けの外子と共にタルタルに。鮮度抜群だからこその透明感でジュエリーのような煌めきが。
富山の鮨店「SOTO」で提供される料理
和風アレンジしたセビーチェ。ガスエビ、ホタテ、アオリイカを柑橘のソースで。

その日だけの儚い美味を主役にした小杉さんの料理は五感を満たす精妙さで、海外からの予約も多い。帰る客から「幸せな時間だった」という声を聞くために、今日も惚れ込んだ富山の食材と向き合い続ける。

富山の鮨店「SOTO」で提供される料理
剣先イカは細かく包丁を入れることで醤油との相乗効果を引き出す。
富山の鮨店「SOTO」で提供される料理
カマスの昆布締めは塩でさっぱりと。
富山の鮨店「SOTO」で提供される料理
脂のりのいいサクラマスは肉厚な身に大きく包丁を入れて。

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
※掲載の情報は、2024年7月のものです。メニューは季節によって変わります。価格が変わる場合もあります。

〈DATA〉

  • 「SOTO」
  • 時間/17:30、19:00、20:30から一斉スタート
  • 定休日/水曜、日曜
  • メニュー/おまかせ¥22,000〜。カウンター12席。要予約(1組4人まで)
  • TEL:076-422-8899
  • 住所/富山県富山市泉町2-8-21

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PHOTO :
長谷川 潤
COOPERATION :
森脇慶子
EDIT&WRITING :
森田亜子、木村 晶(Precious)