身長156cmのインテリアエディターが、おすすめのアイテムを実際に体験しながらレポートする本連載。今回は、前回と同じく1953年創業のデンマークを代表する老舗家具メーカー「PPモブラー(PP Mobler)」から、スチールのほっそりとした脚に、クロスが印象的な無垢材の笠木と革座が美しいダイニングチェアをピックアップしました。
「ミニマルチェア」と呼ばれ広く愛されている『pp701』は、ウェグナーが自邸のためにデザインしたもの。奥様のお気に入りの一脚といわれる名品の魅力を細部までご紹介します。
巨匠・ウェグナーが40年以上愛用し続けた端正なダイニングチェア
ダイニングは、大切な人と過ごした思い出が詰まっていく場所です。最も多くの椅子をデザインした巨匠デザイナー、ハンス・J・ウェグナーは、どのようなダイニングコーナーで家族との時間を過ごしたのでしょうか?
1965年にデンマーク郊外に完成した自邸は、ウェグナー自身が壁の石の配置、窓、ドアなどの建具からすべてのキャビネットに至るまでデザインしたものでした。そこで家族と40年以上暮らす間に使われていたのが、今回ご紹介する「ミニマルチェア」こと『pp701』です。自邸に合う軽やかなデザインは、家族のためにデザインしたもの。奥様のインガ夫人お気に入りの一脚としても知られています。
たっぷりとした無垢特有の柔らかな背あたりと軽やかなスチール脚の組み合わせは、心地よさを保ちながらも空間を圧迫しないという意味で機能的にも現代の暮らしにピッタリ。大理石天板のスチール脚のダイニングテーブルでも、もちろん木製のダイニングテーブルにも合う端正なデザインで、インテリアをエレガントに整えてくれる名品です。
木を大切に扱う姿勢が生んだ、魅せるジョイント
『pp701』の背もたれは、4つの木材を上下左右に組み合わせて作られています。その中心部には、各木材の接着の強度を高める十字型の「ちぎり」と言われるパーツが入っています。
これは、もともと自邸用の6脚のみの製作予定で当初は販売目的ではなかったため、大きな無垢材を切って削り出すのではなく、ちぎりで繋いで削り出すことで他の椅子を作って残った小さな無垢材を有効利用しようとしたもの。ウェグナーの木を大切にする姿勢が見て取れます。
さらに、上下の木材の間にも異なる色の木材が挟み込まれています。これは、4つの木片を合わせて背もたれを作った場合に、構造上どうしてもできてしまう木目の不自然さに目がいかないようにする工夫です。あえて異なる色の木材を挟むことで、削り出した際に十字型のちぎりと相まって美しい模様が生まれ、そちらに視線がいくようにデザインされているのです。
座面高430と450mmの2タイプから選べるから誂えたようにピッタリ!
スチール脚に、木や革や最近流行りの籐を合わせたデザインの椅子を今まで本当にたくさん見てきましたが、なかなかこの連載ではご紹介できていませんでした。というのも、スチール脚のものはそもそも座面高が高い“シュッとした”デザインが多いため、素敵だなぁと眺めているぶんにはいいのですが、私が座ると脚がつかないことがほとんど。ちなみに欧米のダイニングチェアは、座面高450mm以上のものが主流です。
その点『pp701』は、背中と肘掛けには無垢材、お尻には革を用いた端正なデザインながら、座面高430mmと450mmの2タイプが展開されているので、私のような低身長の人でも大丈夫。身長差のあるカップルやご家族にもおすすめです。異素材ミックスの家具があると同じ部屋にある他のアイテムと素材感を繋いでくれるので、コーディネートの質がぐんと上がるのもいいですよね!
ダイニングチェアは、使用頻度が高く、動かす機会も多いアイテム。無垢材の作りのしっかりとした椅子特有の重さも、それほど感じない重量に仕上がっていて、本当によく考えられています。
ウェグナーの生誕110周年を記念し、今だけの特別価格に!
北欧家具は近年需要が高まり、生産量が増えるわけではないので高価になりつつありますが、期間限定で嬉しいお知らせも! ウェグナーの生誕110周年を記念して、『pp701』が特別価格で購入できます。2024年11月4日(月・祝)までの数量限定販売、なくなり次第終了なので、気になる方はいち早いチェックをおすすめします。
今回は、数多くの名作椅子を世に送り出したウェグナーがデザインした「ミニマルチェア」こと『pp701』をご紹介しました。スペシャルプライスで販売されるこの機会に、ぜひショールームでそのかけ心地と、座って動かすときの重量感、笠木の美しさを体験してみてください!
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
問い合わせ先
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スカンジナビアン・リビング東京
営業時間/11:00~19:00
定休日/水曜
TEL:03-6421-0591
住所/東京都港区南青山5-4-40 A-FLAG骨董通り1F
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- TEXT :
- 土橋陽子さん インテリアエディター
公式サイト:YOKODOBASHI.COM