秋の気配が日ごとに増して、日暮れの早さを実感する時期になると…「秋の味覚」が堪能できる季節です! 旬の食材はたくさんありますが、サツマイモもそのひとつ。そして10月13日は「サツマイモの日」です。どうしてこの日が選ばれたのか、そして誰が記念日を制定したのか…。今回は「サツマイモの日」にまつわる雑学をご紹介します。

【目次】

日付の由来は駄洒落好きな江戸っ子にありました。
「サツマイモの日」の日付の由来はダジャレ好きな江戸っ子にありました。

【「サツマイモの日」とは?「日付」と「由来」】

「サツマイモの日」は「いつ」、「誰が」決めたの?

「サツマイモの日」は、1987(昭和62)年に、埼玉県川越市のサツマイモ愛好者の集まりである「川越いも友の会」が制定した記念日です。

■「川越いも友の会」って何? 「目的」は?

埼玉県川越市は、古くから全国に知られるサツマイモの産地でした。コッペパンのようなかたちで鮮やかな紅色の皮をもつ「川越いも」(通称べニアカ)は、「サツマイモの女王」と言われ、江戸時代の天保(1830〜1844年)の時代の全国流行り物番付である『天保時代名物競(くらべ)』に「サツマイモといえば川越」と記された程。ところが戦後、その生産量は激減。いもの町・川越はさま変わりしてしまいます。そこで、一世を風靡した「おいもの地位復権」と「川越いもの保存」を目指し、1984年3月に、公民館講座「サツマイモ大学」の参加者と、学術的研究会「川越いも研究会」の有志40名により結成されたのが、「川越いも友の会」。さまざまなイベントの開催やサツマイモを使った料理本の出版を通じ、川越いもの啓蒙と保存に努めています。「サツマイモの日」制定も、この啓蒙活動のひとつだったのです。

■なぜ10月13日?「由来」は?

サツマイモが「十三里(じゅうさんり)」と呼ばれることをご存知ですか? これはダジャレ好きな江戸っ子ならではの命名です。江戸時代寛政(1789年〜1801年)のころ、江戸に京都から焼き芋が伝わりました。当時、京都では同じく秋の味覚である栗に引っかけ、「九里(くり)には及びませんが…」との意味で焼き芋を「八里半(はちりはん)」と呼んでいたそうです。江戸でも「八里半」の看板で焼き芋を売ってみましたが、売上はいまひとつ。そこで、小石川の焼き芋屋さんが、「栗(九里)より(四里)うまい十三里(9+4=13)」というダジャレを掲げ、「十三里」と名付けた焼き芋を売り出したところ、大ヒット。江戸じゅうの評判となったのです…もうおわかりですね? 10月13日の記念日は、サツマイモを「十三里」と呼ぶことに由来し、旬真っただ中である10月13日が「サツマイモの日」となったのです。


【ビジネス雑談に役立つ「サツマイモの日」と「サツマイモ」の雑学】

■サツマイモが美肌を育てるって知ってた?

サツマイモの主成分は炭水化物で、その多くはデンプンです。便通を整える食物繊維はもちろん、細胞を傷つける活性酸素の働きを抑える抗酸化作用があり、肌に張りを与えるビタミンC、老化を防ぐビタミンE、高血圧の予防に役立つカリウムなども多く含まれています。とりわけ、注目したいのはビタミンC。サツマイモに含まれるビタミンCは、つやのある肌を保つのに必要なコラーゲン生成にとって重要な働きをしているのです。また、にきび予防や傷跡の回復にも効果があるほか、風邪などのさまざまな疾病の予防と治療に目覚しい効果を発揮すると言われていますよ。一般に熱に弱いといわれるビタミンCですが、サツマイモの場合、調理の際にデンプン質が糊化し、膜をつくってビタミンCを保護するため、加熱しても壊れにくいという長所があるのです!

■美味しいサツマイモの選び方は?

サツマイモは、色が鮮やかで、できるだけ傷のないものを選ぶのが正解です。実は収穫してすぐのものよりも、ある程度(2~3ヶ月)保存したもののほうが甘味があるそう。 また、サイズが小さいもののほうが食物繊維は豊富に含まれています。サツマイモの食物繊維は水溶性で、コレステロール値を低下させる作用があります。さらに、ナトリウムを吸着する作用があるため、体内に吸収される塩分を調整し、結果、血圧を下げることにもつながるのです。食物繊維を意識して摂りたい人は、小ぶりのサツマイモを選ぶといいですよ。

■より美味しく食べるには?

サツマイモの甘さを存分に楽しみたいなら、丸ごと蒸すか、オーブンでじっくり焼いて食べるのがおすすめです。理由は、サツマイモは、低温でゆっくり加熱すると甘くなる性質があるから。手軽に調理できる電子レンジに手が伸びてしまいがちですが、サツマイモ本来の甘味を味わうためには、少々時間はかかりますが、蒸したり、オーブンで調理するのがベストなのです。皮をむいて調理する場合は、2mmくらいの厚さでむきます。
表皮から1~2mm程のところに“あく”があるので、これを取り除くためには、この厚さが必要なのです。

■サツマイモの保存方法は?

「買ってきた食材はとりあえず冷蔵庫へ」を習慣にしている人は、案外多いようです。でも、サツマイモに関しては、冷蔵庫保存はNG。 サツマイモは低温に弱いため、冷蔵庫に入れるとかえっていたみが早くなってしまうのです。 風通しがよく、涼しい冷暗所での保存がおすすめですよ。

■「大学芋」の由来となった大学ってどこ?

大学芋とは、サツマイモをざっくりと切り、砂糖やしょうゆを使って炒め煮したおやつです。きらきらの見た目と濃厚な食感が、人気ですね! 名前の由来については諸説あり、「東大近くのお店が売り出して人気になった」「神田近辺の学生街で売られ人気を博した」「東大生が学費を稼ぐために売り出した」などと言われ、実際の大学名としては「東京大学説」が有力なようです。

■サツマイモを食べるとオナラが出るってホント?

本当です。これはサツマイモに豊富に含まれるデンプンが原因。デンプンは胃腸で消化されにくいため、長い時間腸内に留まり、発酵してガスが発生してしまうのです。オナラを我慢するのはつらいものですが…ガスを発生しにくくする方法があるのです! それは、サツマイモを皮ごと食べること! サツマイモの皮の内側には、ヤラピンという消化酵素が含まれています。この消化酵素がデンプンの分解を助け、胃腸でしっかり消化されるため、結果的にガスの発生を抑えることにつながるのです。

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2024年の厳しかった残暑もようやく収まり、朝夕には秋の訪れを肌で感じられる季節になりました。「味覚の秋」の到来です! スーパーなどでも石焼き芋が店頭に並び、甘〜い匂いに誘われ、ついつい手が伸びる人も多いのでは。「九里よりうまい十三里」と名付けた江戸っ子の心意気に思いを馳せて、たまには食欲に身を任せる日があってもいいかもしれませんよ!

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:サントリー文化財団HP(https://www.suntory.co.jp/sfnd/prize_cca/detail/1991kt1.html) さつまいもドットコム(https://www.satumaimo.com/index.html) さつまいも大学(https://sweetpotato.university/川越にサツマイモの情報発信の拠点を!.html) :