11月3日は「文化の日」で国民の祝日です。2024年は日曜日にあたるため、翌日の月曜日が振替休日となり、3連休だという人も多いでしょう。今回はこの「文化の日」がどういう日なのか、正しく理解するための知識をさくっとご紹介します。
【目次】
【「文化の日」とは?最低限知っておきたい基礎知識】
■「文化の日」とは?
11月3日の「文化の日」は、「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨とした国民の祝日です。1948(昭和23)年に制定されたので、生まれてからず~っと祝日、という方が多いかもしれません。
■なぜ11月3日?
「文化の日」が制定される2年前、1946(昭和21)年の11月3日は、日本国憲法が公布された日です。憲法では平和と文化を謳っていることから、1948(昭和23)年にこの日を「文化の日」として定めました。
■どんな意味が?
日本国憲法では“戦争放棄”という重大な宣言をしているため、この「文化の日」は国際的にもとても重要な日として認識されています。平和を図り、文化を進める――戦争など争いごとがなく平和であるだけでなく、文化的な生活や、文化を愛で発展させるという意味から、「文化の日」と名付けられたのだとか。
【「文化の日」にまつわる雑学あれこれ 】
■「憲法記念日」と「文化の日」
日本国憲法は1946(昭和21)年11月3日に公布され、半年後の1947(昭和22)年5月3日に施行開始。「憲法記念日」は日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期して5月3日に制定されました。「憲法記念日」を、公布された11月3日にするか、施行された5月3日にするかについては、当時相当な議論がなされたようです。
■何をする日?
「文化の日」には皇居で文化勲章の親授式が行われます。文化勲章は、科学や芸術などの面で日本の文化の発達に貢献した人に授与されるもの。ほかの勲章のような等級はなく、称号とも結びつきません。受章者の選定は法令による規定はなく、文部省が委嘱した選考委員会が選出して閣議で決定。文化勲章者には、橘(たちばな)の花をかたどった勲章が授与されます。
また、この時期は統計的に天候が落ち着いていて、11月3日は晴天に恵まれる“気象上の特異日”であるため、学校や自治体などでは文化祭や学園祭、芸術祭といった各種催しが開催されることの多い日でもあります。
■「文化の日」の過ごし方
学校や職場でのイベントがない人は特別に「文化の日」として意識することはないかもしれませんが、せっかくの国民の祝日ですから、文化的な一日を過ごしてみてはいかがでしょう。音楽コンサートやスポーツ観戦などチケットが必要なものは直前では入手が難しいかもしれませんが、比較的気軽に体験できるアート鑑賞はいかが? 2024年の「文化の日」に鑑賞できる、国立美術館・博物館で開催される美術展は下記の通りです。
・東京国立博物館:挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」(12月8日まで開催)
・東京国立近代美術館 「ハニワと土偶の近代」(12月22日まで開催)
・国立西洋美術館 「モネ 睡蓮のとき」(2025年2月11日まで開催)
・国立新美術館:田名網敬一 記憶の冒険(11月11日まで開催)
・京都国立博物館:特別展 法然と極楽浄土(12月1日まで開催)
・奈良国立博物館:第76回 正倉院展(11月11日まで開催)
・九州国立博物館:特別展示 人吉球磨の玉手箱(12月15日まで開催)
■昔は「文化の日」ではなく「明治節」だった!?
11月3日が「文化の日」になる以前、この日は「明治節」と呼ばれる祝日でした。11月3日は明治天皇の誕生日。昭和前期に明治天皇の遺徳を偲び、明治時代を追慕する目的でこの日を「明治節」として制定されていたのです。
明治天皇の在位期間(1867~1912年)は、日本が近代国家として発展した時期。それゆえ明治天皇は国家の威信を高めた英明な天皇として賛美され、「明治節」は国家主義と天皇崇拝を高めるための記念日となりました。明治天皇は旧江戸城を皇居とした天皇ですね。「明治神宮も明治天皇がつくった!?」と思った人、いいセンいっていますが違います。明治神宮は明治天皇と昭憲皇太后を祀るため、明治天皇の崩御後に創建されたものです。
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今回ご紹介した「文化の日」をはじめとする国民の祝日には民家や商店などに日章旗(日の丸の旗)が掲げられているのを見たことがあるでしょう。これは、平和な日本に感謝し、より豊かで幸せな生活を送るためにこの日を祝う、という意味を込めて掲げるもの。国民の休日を「旗日(たはび)」とも呼ぶのはそういった理由からなのですね。
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『世界大百科事典』(平凡社) /内閣府ホームページ https://www.cao.go.jp/ :