連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変えるPrecious People

明日への希望をアクションに変える方たちの活動に注目し、紹介する『Precious』連載【Tomorrow Will Be Precious!】では今回、モンゴル出身で、韓国・ソウル市初の外国人公務員として、在韓外国人の生活を支援する「江南グローバルビレッジセンター」センター長を務めるユン・スンジュさんにインタビュー!

仕事で訪れた韓国に魅せられ、結婚を機に移住し、「立場や国籍を超えて人が支え合い、互いの文化を尊重し合える地域社会の実現に貢献したい」と話すユンさんにお話しをうかがいました。

ユン・スンジュさん
「江南グローバルビレッジセンター」センター長
(Yoon Seung ju)モンゴルで貿易会社に勤務し、1996年に仕事で韓国へ。’04年韓国人男性と結婚。ボランティアで在韓外国人のサポートを続け、’10年に在韓モンゴル移住女性会を設立。’11年にソウル市で初の外国出身の多文化政策担当公務員となる。ヨンセ大学修士・博士号取得。’24年から現職。モンゴル名「チョルロンチェジェク」を「スンジュ」に改名している。

【Seoul】モンゴル出身、ソウル初の外国人公務員|韓国人と在韓外国人をつなぐ存在に

「江南ビレッジセンター」センター長 ユン・スンジュさん
「江南グローバルビレッジセンター」センター長 ユン・スンジュさん

ソウル市には、韓国で暮らす外国人が地域で安心して過ごせるよう支援する「グローバルビレッジセンター」が8か所ある。江南区のセンター長を務めるユンさんは、自身もモンゴル出身。しかし「え?韓国人じゃないの?」と驚かれるほど流暢な韓国語を話す。

「モンゴルでは貿易会社に勤めていました。ある年の12月に出張で初めて韓国に来て『暖かい!』と。気温はマイナスでも、モンゴルの極寒に比べれば春のよう(笑)。クリスマスシーズンで、街の華やかさもとても印象的で、食事もおいしいし、すっかり韓国が好きになりました。仕事を続けるなかで韓国人の夫と出会って結婚。’04年から韓国在住です」

「在韓モンゴル女性総連盟」初代会長を務め、韓国に住むモンゴル人女性のためにボランティア、教育支援、通訳、生活相談セミナーなどを行ってきた。’11年にはソウル市初の外国人公務員に。「キャリアを積むなら韓国での学歴が必要だ」と、ヨンセ大学に進学。義両親と同居し3人の子供を育てながら、社会学の修士・博士号を取得した努力の人だ。

「私自身も異国で生活するなかで孤独や不安を感じた経験があるので、外国人支援には力を注いできました。同時に、韓国の方々に異文化を知ってもらうことも、共生のために大切だと考えています。グローバルビレッジセンターのある建物には区民センターもあり、地域住民が出入りしますが、外国人とつながる機会はなかなかない。そこで、他国の文化を紹介するさまざまな企画を実施しています。食やファッションのお祭りやクイズ大会、ドラマ『イカゲーム』に登場するゲームを取り入れたイベントも。立場や国籍を超えて人が支え合い、互いの文化を尊重し合える、そんな地域社会の実現に貢献したいと思っています」

よりよい明日のために行っていることは? と問うと、ユンさんは優しく笑って答えた。

「昨日したことを今日も、今日やったことを明日も続ける先に、望む未来があるはず」

◇ユン・スンジュさんに質問

Q.朝起きていちばんにやることは?
アラームを止めて、夫にキス。
Q.人から言われてうれしいほめ言葉は?
「韓国で出会ったなかであなたがいちばん親切な人だ」と言われたときは感動しました。
Q.急にお休みがとれたらどう過ごす?
小論文を書きます。
Q.仕事以外で新しく始めたいことは?
スペイン語の勉強を始めたいですね。韓国合気道に携わっている夫に同行し、コロンビアでの20周年記念イベントに参加しました。現地でスペイン語に興味がわき、次に訪れるときまでに話せるようになろうと約束しました。
Q.10年後の自分は何をやっている?
本を2冊くらい出版しているのではないかと思います。
Q.自分を動物にたとえると?
虎です。干支が虎なので。

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PHOTO :
Mio Matsuzawa
取材 :
Rumiko Ose