「竹を割ったような性格」とは、「素直で正直。何事も根にもたずさっぱりとした性格」を称して使う言葉です。今回はこの言葉をテーマに、その詳しい意味や使い方のわかる例文、そして性格を表す言葉について解説します! 誰かをほめる、評価するときに、さり気なく使いこなしたい言葉です。
【目次】
【「竹を割ったような性格」とは?と「意味」、「由来」】
■「意味」
表裏がなく正直で、曲がったことが大嫌い。イヤなことがあったり、イヤな思いをさせられても、いつまでも根に持たずさっぱりしている。そんな性格を指して「竹を割ったような性格」と表現します。「竹を切ったよう」とするのは誤用ですから、注意してくださいね。
■「由来」
「竹を割ったような性格」が「表裏がなく正直で、曲がったことが大嫌い、いつまでも根に持たずさっぱりしている性格」を指す由来は、実際の竹の割れ方です。竹を割ると、縦に一直線にスパッと割れます。途中で折れ曲がったりすることはありません。ここから、さっぱりした性格をこう形容するようになりました。竹は真っ直ぐに成長することも、そうした意味合いを強調することになったのでしょう。
■「ほめ言葉」なの?
「竹を割ったような性格」はほめ言葉です。
【ほめ言葉になる使い方がわかる例文5選】
■1:「彼女は竹を割ったような性格で、小さなことにはこだわらないから、話していて気が楽。おかげで長い付き合いになるよ」
■2:「彼は竹を割ったような性格だから、不満があれば口にするはずだ。何も言わないなら、大丈夫だよ」
■3:「あの人は竹を割ったような性格で表裏がないから、みんなに信用されています」
■4:「仕事上で意見が合わなかったとしても、○○部長は竹を割ったような性格だから、プライベートまで引きずることはないと思うよ」
■5:「あなたの竹を割ったような性格が大好きです」
■6:「彼女は融通が利かない、ズケズケとものを言うタイプで私は苦手だけど、どんな人かと聞かれたら“竹を割ったような性格”ってほめておくわ」
【「類語」「言い換え」表現】
■ 「竹を割ったような」の類語
・からっとした
・さっぱりした
・さばさばしたした
・すかっとした
・潔い
・あっさりした
・淡泊な
「からっと」は、性格が明るく、物事にこだわらない様子について使います。「さっぱり」「さばさば」「あっさり」は、しつこくない性格を指します。
【「反対語」】
「竹を割ったような」の反対ですから、「素直でない」「さっぱりしてない」「真っ直ぐな」などの反対を連想するとわかりやすいですね。
・ねちねちした
・しつこい
・粘着質の
・気難しい
・偏屈な
【そのほかの性格を表現する言い回し】
■まめまめしい
「まめまめしい」を漢字で表すと「忠実忠実しい」。文字通り、誠実に取り組むこと、真面目な働きをすることを表し、「まめまめしい人」と言えば、その人の誠実な働きぶりをほめることになります。「ちょこちょことせわしなく働く様子」と勘違いしている人も多いので、注意してくださいね。
■いなせ(鯔背)
「いなせ」は、江戸・日本橋の魚河岸の若者を指す言葉だったとされています。彼らは気っぷがよく、ちゃきちゃきした気性の持ち主でした。このように「粋で威勢よく、心意気がある様子」を「いなせ」と表現します。魚河岸の若者の髪型が「鯔背銀杏」だったことに由来するという説が有力です。現在放送中のNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の主人公、蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう/横浜流星さん)は、まさに「いなせ」という表現がぴったりな男っぷりですね! ちなみに鯔背の鯔はボラの若魚(わかうお)のことです。
■極楽とんぼ
仕事もせずに遊び暮らしている人のことを「極楽とんぼ」と称します。「極楽」は仏教の言葉で、どんな苦しみもない幸せに満ちた世界のことです。とんぼは昆虫のトンボの説と、鈍い人を指す「鈍坊(どんぼう)」に由来するとの説があります。また、「極楽とんぼ」には「親から支援を受けている」というニュアンスも含まれていますよ。
■豆腐メンタル
豆腐といえば、やわらかく、崩れやすいもの。この豆腐のように、とても傷つきやすく、突然、精神が豆腐のように崩れ落ちてしまう状態や人のことを「豆腐メンタル」と表現します。以前は「ガラスのハート」と言われていましたが、今や「豆腐メンタル」を使う人が多いようです。
■こんにゃくメンタル
「豆腐メンタル」の対極と言われているのが「こんにゃくメンタル」です。ぷるぷると柔らかいものの、弾力性があり、実は崩れにくいこんにゃくのように、一見弱そうに見えるけれど、実はさまざま事態に柔軟に対応できる強い精神を指します。
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「竹を割ったような性格」の人には表裏がないので、周囲からの信頼を得ることも多いようです。とはいえ、あまりにさっぱりとした性格には、「デリカシーに欠ける」側面がなきにしもあらず…。どんな人、どんなことにも、いい目悪い面があるものです。それを踏まえたうえで、個性を大切にしたいですね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料: 『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) /『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館) /『世界大百科事典』(平凡社) /『現代用語の基礎知識』(自由国民社) /美しい「大和言葉」の言いまわし(知的生きかた文庫) :