男たちがクロコダイルのバッグに魅せられる理由はどこにあるのだろうか?
あのエキゾチックなレザーの妖しい光沢に野生の生命力を感じたからか。それとも、だれもが持てるわけではないという、スペシャル感に惹きよせられるのだろうか。昔も今も、お洒落な男たちは、この個性豊かなクロコダイルのバッグに憧憬を抱いてきた。
日本の職人が手がけるクロコダイル・レザーのバッグ
大型ボストンバッグ
ワニ革は「皮革の宝石」とまでいわれるが、バッグなどに使われるワニ素材は大別して、2種類に分けられる。『アリゲーター』と呼ばれる革は、アメリカのミシシッピー川周辺で捕れる『ミシシッピーワニ』の皮を使用したもの。一方、『クロコダイル』は、『イリエワニ』『ニューギニアワニ』『ナイルワニ』『シャムワニ』の革を使ったもので、その8割近くが養殖されたワニから採取される。ふたつの違いは、後者には「穿孔」といわれる、丸いくぼみが斑下部に見られることだ。これは感覚器官の一種で、『アリゲーター』には付いていない。
レザートートバッグ、小物
中でもポイントになる工程が皮のなめし。「皮(かわ)」から「革(かわ)」へと変化する一歩手前のなめしが重要なのだ。クロムを使ってなめされるが、これによって、原皮に強度としなやかさを与えることができる。しかもこの工程は、日本の四季によっても微妙に温度や方法を変える必要がある。日本でエキゾチックレザーをなめせる工場は、わずか6か所。その後、幾つかの製革工程を経て光沢がある「グレージング」と光沢のない「マット」と、われわれが見慣れた革へと仕上げられるが、ここまで最低でも3か月以上を要する。
レザー2wayバッグ
今回のバッグを実際に持ってみると、だれもが驚くのが、その軽さだ。欧米のようにクルマで移動し、この種のバッグを自分では持ち運ばない人たちが愛用する場合とは違い、日本人はクロコのバッグにも軽さを求める。そのために、革を薄く漉き、中に使う芯地も薄く仕上げ、なおかつバッグに求める堅牢さとしなやさも備える。この相反する条件をクリアしたバッグこそ、Made in Japanの賜物だ。
今回紹介したのは、すべて『クロコダイル』を使ったバッグだ。ワシントン条約のもと、世界各地で集められた原皮を日本に輸入し、製品化したものだが、そのプロセスは多種にわたり、日本の職人技によって極上の革に仕上げられる。確かな品質と気配りとこだわり││さあ、日本の職人の魂がこもった名品バッグを手にしていただきたい。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- MEN'S Precious2013年秋号 気品と野生が香る、至福のクロコダイル・バッグより
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- クレジット :
- 撮影/小池紀行(パイルドライバー)文・小暮昌弘