ファッションモデルや広告キャラクターに加え、着々と俳優のキャリアを築いてきた中村アンさん。放送中の『こんばんは、朝山家です。』では、自身のイメージを覆す「キレる妻」の演技が大好評。新しい自分を発見しながら、「積極的に中村アン像を壊していきたい」と語ります。
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演技でぶつかってエネルギーを発して…ものすごくおなかが減る毎日でした

―この夏はドラマ撮影で忙殺されていたと思いますが、日々のルーティンはどのようなものだったのでしょう。
「だいたいドラマ期間中は5時半頃に目が覚めるので、そのままぶつぶつセリフを確認しながらシャワーを浴びたりコーヒーを飲んで目を覚まします。かつては、ギリギリまで寝て、5分で出るなんてこともありましたが、ここ1年くらいは、朝の時間の使い方が変わりました。
それに、第一線で活躍している多くの俳優さんたちを見ていると、みなさん見えないところで実はちゃんと準備している。今回は主演という立場はもちろんありますが、朝子がぶれてしまうと現場のみなさんも不安だと思うので、より一層身が引き締まる気持ちは常にありました。
朝8時から撮影が始まって、いつもだったら、おなかがすかずに食事をとらないこともあるのですが、今回は違います。ものすごい量のセリフを覚えて、家族とぶつかって、エネルギーを発して、ものすごくおなかが減るんです。パワーをつけるためにしっかり食べて、なんならいつもより健康的な生活です。
子供たちの出るシーンを終えてから、入浴シーン(※)などを撮って1日が終了。そして帰ってから寝るまでのひとり時間が私の唯一のリラックスタイムです。好きなお香をたいて、照明を落として、少しの時間ぼーっと過ごす。ふだん照明を浴びているせいか、薄暗いだけでリラックスできるんです。のんびりしてから、次の日のセリフを覚えて12時半には爆睡。演技でエネルギーを発するせいか、ものすごく疲れるんです」
(※)朝子が1日の終わりに入浴しながら雑誌を読むリラックスシーンは、ドラマの見どころのひとつ。

―ほかに本作ならではの役作りや準備というと…。
「仕事と子育てに必死で、ちょっと疲れている朝子さん。それを表現するために、少し猫背で、服もきちっときれいに着すぎないようにしました。衣装も体のラインが出ないものばかりですし、合わせてへアも整えすぎず。プロデューサーとして独立している朝子に近づけるように、ヘアカラーにハイライトを入れる、というのは監督の要望でした。それによって貫禄が増して、42歳という役の年齢に少しは近づけたかな、と思います」
20代は「よくやった」と思える瞬間があまりなかったけれど
―朝子の役の年齢にはまだ数年ありますが、それまでにアンさんがやっておきたいことはありますか?
「35歳を過ぎたころからようやく、自分のことを『頑張った』と認められるようになって、楽になってきたのを感じています。だからここから先は、仕事だけでなく、心が豊かになるものに目を向けていきたいなと思います。
20代のころの私は、いつでも悔いがないようにと自分に言い聞かせ、『もっともっと』『さらに頑張らなくちゃ』と焦っていて、自分のことを『よくやった』と思える瞬間がありませんでした。どれだけ頑張っても、『次の仕事は大丈夫かな』『これでよかったのかな』と考えこんでしまったり。でも、そのころ飛び越えられなかったハードルも、今ならもうすこしラクに越えられるんじゃないかと思うんです。求められることはどんどん高くなるけれど、きっとできると今では自分を信じられます。
『こんばんは、朝山家です。』のような家族の物語に出合えて、その気持ちはさらに大きくなっています。自分の軸である、『仕事に誇りをもつ』ことはブレることなく、それでいて中村アン像を壊していけるチャンスなのですから。これからはさらに、人と人との愛を感じながらお仕事を積み重ねていけたらと思います。
さらに、興味をもったことを自分からもっと発信していきたい。新しい作品、新しい仕事…どうしても受け身になりがちだけれど、少しずつ意識改革と情報収集をしながら、自分の可能性を広げていきたいと考えているところです」

―具体的にやってみたいことはありますか?
「まずは英語をちゃんと勉強し直したいです。いま、大人の学び直しをする人が多いと聞きますが、海外に行ったときや、インタビュー動画などを見ているとき、わからない英語に出合うと、勉強しておけばよかったなと思います。海外の俳優さんは、どうやって演技をしているんだろう。何を考えて、どんなことを話しているんだろう。学び直しながら、中村アン像をつくる要素にしていけたら。そんな歳の重ね方をしていきたいと思います」
【番組詳細】
ドラマ『こんばんは、朝山家です。』
毎週日曜よる10時15分より、ABC・テレビ朝日系放送中

朝山家は、脚本家として売れている夫の賢太(小澤征悦)、夫が所属する事務所で社長を務める妻の朝子(中村アン)、高校1年の長女・蝶子(渡邉心結)と小学6年の息子・晴太(嶋田鉄太)の4人家族。
ドラマの始まりは、賢太が執筆した朝の国民的ドラマ『ムキムキ』初回放送の朝を、家族と一緒に見ようとそわそわしながら迎える話から。しかし、居間には賢太以外、誰の姿もなく…。発達障がいの特性から朝が弱い晴太はぐずって起きてこず、朝子はそんな晴太の世話と家事、そして仕事に出かける準備で大忙し。だが、それは朝子から見れば、夫が一日中エゴサーチに明け暮れる、悪夢のような一日の幕開けだった!
子どもの面倒も見ず、自分の承認欲求を満たすためエゴサーチに没頭する賢太と、そんな賢太を長年夢見る映画監督としてデビューさせるため、家庭と仕事を切り盛りしながら営業に勤しむ朝子。どこまでも自己中心の夫と、そんな夫にキレまくりながらも自分以外のことを優先する妻の、愛しくも奇妙な家族の物語。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- 黒沼 諭(aosora)
- HAIR MAKE :
- 渡嘉敷愛子
- EDIT :
- 南 ゆかり