鈴木 亮平さん
俳優
(すずき・りょうへい)1983年、兵庫県出身。2006年に俳優デビュー。連続テレビ小説『花子とアン』(’14年/NHK)、大河ドラマ『西郷どん』(’18年/NHK)、『TOKYO MER〜走る緊急救命室』(’21年/TBS)など話題作に出演。映画『エゴイスト』(’23年/東京テアトル)で第78回毎日映画コンクール男優主演賞はじめ数々の賞に輝く。Netflixオリジナル映画『シティーハンター』が全世界配信中。今年は映画『花まんま』(東映)に続き、シリーズ4作目となる劇場版『TOKYO MER ~走る緊急救命室~南海ミッション』(東宝)が公開中。
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俳優・鈴木亮平さん

自然災害が起こったときに僕たちが負けない理由

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「人が誰かを助けたくなる気持ちってどこから来るんだろうって、ときどき思うことがあるんです」

最新出演映画劇場版『TOKYO MER 〜走る緊急救命室〜 南海ミッション』で、救急救命のスーパードクター・喜多見幸太を演じる鈴木亮平さん。医療従事者をヒーローとして描いたドラマが4年にわたる人気シリーズとなり、“今や喜多見はパラレルワールドにいる自分のような感覚”と話す鈴木さん。作品の大ヒットについて、“人が人を助けることの美しさが、今の世の中に求められたのでは…”と分析する。

「人の心も作品も、時代の進化につれてどんどん複雑になってきていますよね。そんな今だからこそ、命を救うために絶対に諦めずにひたすら頑張る喜多見たちの献身を、応援したいと思ってくださるのかもしれません」

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スーツ¥720,500・シャツ¥165,000・ベルト¥298,100・靴¥257,400(エルメスジャポン)

劇場版2作目の今作では、離島における救急医療体制の確立を目指して南海MERが発足。指導育成のために赴任した喜多見は、新メンバーとともに火山島の大規模自然災害に立ち向かうという、現実に危惧されている災害とも重なるような展開。

「日本は昔から自然災害の多い国なので、それを受け入れ災害時に手を取り助け合おうとする意識が、僕たちの中に自然とあるんじゃないかなと思います。僕自身も小学生の頃に神戸で震災を経験して、恐怖でパニックになりそうな気持ちを抑えながらも、協力しあって人を助ける父の姿を見てきました。今作でも、自分の命がどうなるかわからない状況下で島民同士が団結してお互いを助けあい、勇気を出せる美しさが描かれているのを見て、胸が熱くなりました」

人に対しても世界遺産に対しても探求心が強いタイプです

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俳優・鈴木亮平さん

そんな鈴木さんの人に対する温かな眼差しは、この現場に初めて挑む南海MERのメンバーにも注がれた。医療の専門用語が飛び交い、傷病者を抱えて移動しながら演技も行うMERならではのハードな撮影。どのようにリードしたのか尋ねてみると、

「僕が逆の立場だったらどんなふうに引っ張ってほしいか想像したり、早くその人のことを知るために、出身地やよく見るYouTubeについて質問しました。共演したシーンを通してその人に惚れることもあります。これまで僕は賀来賢人くん演じる音羽推しでしたが、江口洋介さんが演じる南海MERのチーフドクター候補の牧志先生が放つ、誰よりも痛みを知るからこそ人を助けたいという思いの深さがとても魅力的で、思わず“推し変”しそうに(笑)」

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「誰かを信じる力の中にその人の成長もあると思うんです。チームの仲間を信じて“自分はひとりじゃないんだ”と相手に心を開けることは、実はとても大切なことだと思っています。」

鈴木さんのあくなき探求心と想像力の豊かさは、文章も挿し絵もすべて想像で描いたという旅行記『行った気になる世界遺産』(ワニブックス)の、臨場感やリアリティ溢れる緻密な描写力からも窺える。

「まだ見ぬ世界について調べたり思いを馳せるのが大好きなんです。役づくりにおいてもその人物の背景にある台本には書かれない人間関係や子供時代まで、ぶわーっと想像して膨らませることが楽しかったり。職業柄鍛えられた妄想力のおかげですね」

来年、俳優人生20周年を迎える現在の座右の銘は“失敗は成功のもと”。

「経験が増えた今では失敗がどれだけ自分を成長させてくれるのか知っているので、むしろ失敗を探しに行くイメージで(笑)、前のめりに頑張ります」

■劇場版『TOKYO MER 〜走る緊急救命室〜 南海ミッション』8月1日より公開中!

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(C)2025 劇場版『TOKYO MER』製作委員会

シリーズ第2弾の劇場版となる今作では、火山噴火によって孤立した離島が舞台。新設された“南海MER”チームと“TOKYO MER”が連携し、島民79人の命を救うべく現地へ向かう。極限状況下で交錯する覚悟と絆――すべての命を救うことができるのか?

出演:鈴木亮平 賀来賢人 高杉真宙 生見愛瑠 宮澤エマ/菜々緒
中条あやみ 小手伸也 佐野勇斗 ジェシー(SixTONES) フォンチー
江口洋介/玉山鉄二 橋本さとし 渡辺真起子 鶴見辰吾 石田ゆり子 
監督:松木 彩 脚本:黒岩 勉
(C)2025 劇場版『TOKYO MER』製作委員会
制作プロダクション:大映テレビ 配給:東宝

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TEXT :
Precious.jp編集部 
BY :
『Precious9月号』小学館、2025年
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取材・文 :
谷畑まゆみ