オペ室搭載のERカーで迅速に事故や災害現場に駆けつける、東京都知事直轄の救命医療チーム“TOKYO MER”の活躍を描いた連続ドラマ『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(21年/TBS)。23年公開の劇場版第1弾ではライバル的存在の“YOKOHAMA MER”が登場しましたが、第2弾の今作では、離島地域に対応する“南海MER”が誕生します。鈴木さん演じる喜多見幸太と看護師の夏梅(菜々緒)は“TOKYO MER”を離れて、指導医として南の島へ。火山島の大規模噴火という自然災害を背景に、離島における壮絶な緊急救命が描かれる今作。公開前に行われた初号試写を見終えたばかりの鈴木さんに、その熱い胸の内を伺いました。
「試写を見たら、思わずテンションが上がってしまいました」(鈴木さん)

──たった今劇場版をご覧になったばかりの鈴木さんの率直なご感想をお聞かせください!
「感動しました! これまで医療従事者をヒーローとして描いてきたこのシリーズですが、今回はさらに踏み込んだ“誰もがヒーローになれる”ということがテーマになっているなと感じました。自然災害に見舞われた離島で、救出される側の島民も誰かのために命を懸ける。その姿が本当に美しくて。自分が極限状態にあっても“誰かを救いたい”という人の気持ちが、ぎゅっと詰まった作品だと思いました」

──特に印象的だったシーンを教えてください。
「やはり、まだ経験の浅い“南海MER”メンバーが、大規模噴火発生という状況下で自ら出動を決意する場面ですね。溶岩が迫り噴石が飛び交うなか、チーフドクター候補・牧志(江口洋介)の想いに共鳴して看護師兼操舵士の常盤(高杉真宙)が『俺も、助けたい!』とフェリーを出すシーンで、命の危険よりも、目の前の命を救いたいという気持ちが勝る瞬間に胸打たれました。
今作では“南海MER”が、東京に続くもうひとつの最強のチームに成長していく姿が大きな軸になっています。僕が演じる喜多見は、指導医としてその成長を見守る立ち場。当初は気持ちも熱量もバラバラだった彼らが、少しづつ一丸となっていく姿に僕自身も感動しました」
──映画の冒頭では“南海MER”の初出動と“TOKYO MER”が崩落事故現場へ向かう様子が、同時進行で描かれます。喜多見と夏梅の不在を支える、TOKYOメンバーの頼もしさも印象的でした。
「そうなんです、TOKYOメンバーもそれぞれが大きく成長していて。たとえば、劇場版第1弾では頼りない研修医だったジェシーくん(SixTONES)演じる潮見先生が、今作ではグンと頼れる存在に変貌しています。でも、完璧にデキる人にはなりきらずに、ほんの少し“ヘッポコ感”を残しているあたりもとても良いんです(笑)。メンバーそれぞれの人生に“時間が経過している”ことが丁寧に描かれているのも、今作の魅力のひとつだと思います」
「“作品を見て医療の道を目指しました”というお手紙が、本当にうれしくて」(鈴木さん)

──“TOKYO MER”で医療従事者を演じた経験は、鈴木さんにとってどのような影響をもたらしましたか?
「僕たちの仕事は、医療に従事する方々のように直接的に誰かを救うことはできません。でも、“この作品が誰かの人生に影響を与えたかもしれない…”と感じられる瞬間があって、そうしたときにほんの少しだけ、共通点のようなものを感じることがあります。
実際に“TOKYO MER”を観たことで“医療関係の資格を取りました”とか、“今、医療現場で働いています”という声が届くこともあります。子供たちからの“夏梅さんに憧れて看護師を目指しています”“自分もお医者さんになりたい”などというお手紙もとてもうれしいです。
製作陣も僕たちキャストも、医療従事者の方々へのリスペクトの気持ちは一貫して変わることなく持ち続けています。今作も、エンドロールには実際に離島で活動されている医療従事者の方々の写真が使われているんです。この作品がどれだけスケールの大きなものになっても宿る“想い”は変わらない。それを大切にしている監督やプロデューサー陣の姿勢には、僕自身も強く共鳴しています」
──1作目に出演されたときのインタビューでは「喜多見は僕の理想の男性」とおっしゃっていました。4年演じてきた今、喜多見という人物は鈴木さんにとってどのような存在ですか?
「最初は“理想の男性像”として演じてきました。でも最近はもっと人間くさい、どこか可愛らしい存在に思えているんです。医師としての腕はスーパーだけれど、家では奥さんに怒られてばかりいたり(笑)、完璧じゃないからこそ人としての魅力がある。そんなふうに感じています」
「“さまざまな色の感動”を届けていきたい」(鈴木さん)

──来年は俳優業20周年です。今後どういうエンターテインメントを届けたいと考えていますか?
「感動って、さまざまな色や種類がありますよね。たとえば“TOKYO MER”のようなヒューマンな感動もあれば、サスペンスや考察系の作品から得られる、ゾクッとするような感動もある。あるいは、人間の心の奥底にある見たくない部分をえぐるような文学的な感動や、観終わって『えっ、これ、何を言いたかったの?』って疑問に思って2、3回観たら『こんなに深かったんだ…』と、じわじわ理解が進むような深みのある感動もあると思います。
そんなふうに、決してひとつの色ではくくれないさまざまな色の感動や、“人間とはなんぞや”みたいな問いを投げかけるような、味わい深い感動をお届けしていけたらうれしいですね」
この日、劇場版の試写を観終えたばかりの熱量そのままに、取材陣の前に現れた鈴木さん。ふと、置かれているテーブルに目を留めると、“このほうが話しやすいですよね?”と自分のほうへサッと引き寄せ、取材陣のスペースを広くしてくださる細やかな気配りにその場の空気が一気にほぐれて和やかになりました。後日の完成披露試写会でも、映画の舞台にもなっている鹿児島県のトカラ列島近海で群発地震が起きていることに触れて島外避難中の方々を気遣う言葉を添えるなど、その人柄が随所に見受けられました。
発売中のPrecious9月号本誌では、そんな鈴木さんの素敵な笑顔も掲載しています。ぜひ、大きな誌面でご確認ください!
■劇場版『TOKYO MER 〜走る緊急救命室〜 南海ミッション』8月1日より公開中!

シリーズ第2弾の劇場版となる今作では、火山噴火によって孤立した離島が舞台。新設された“南海MER”チームと“TOKYO MER”が連携し、島民79人の命を救うべく現地へ向かう。極限状況下で交錯する覚悟と絆――すべての命を救うことができるのか?
出演:鈴木亮平 賀来賢人 高杉真宙 生見愛瑠 宮澤エマ/菜々緒
中条あやみ 小手伸也 佐野勇斗 ジェシー(SixTONES) フォンチー
江口洋介/玉山鉄二 橋本さとし 渡辺真起子 鶴見辰吾 石田ゆり子
監督:松木 彩 脚本:黒岩 勉
(C)2025 劇場版『TOKYO MER』製作委員会
制作プロダクション:大映テレビ 配給:東宝
問い合わせ先
- エルメスジャポン TEL:03-3569-3300
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- 黒沼 諭(aosora)
- STYLIST :
- 臼井 崇(THYMON Inc.)
- HAIR MAKE :
- Kaco(ADDICT_CASE)
- EDIT :
- 喜多容子・福本絵里香(Precious)
- 取材・文 :
- 谷畑まゆみ