クルマは長らく「サイズ」でランク付けされていました。車体が大きくなるほど使う素材や部品が増え、それが価格に反映されるという現実的な問題はありますが、ラグジュアリーな1台を探すと、どうしても大きなモデルばかりに……。これまでに“小さくてもラグジュアリー”なモデルは少数ながらありましたが、それをブランドとして確立したのが、MINIです。
クラスレスな価値観を求める時代の潮流をいち早く取り入れたMINIは、年を追うごとにバリエーションを拡大。いまでは背の高いSUVタイプやドア数の多いモデル、屋根が開閉できるオープンモデルなどが選べ、内部機構においても一般的なエンジン駆動に加えてモーターで走る電気自動車もあります。
今回はそのなかから、「コンバーチブル」と「JCW E」をご紹介します。
4人が乗れて屋根が開くコンバーチブルに試乗!

MINIは1950年代に英国で誕生し、小型大衆車の傑作と評された「ミニ」(通称クラシックミニ)を源流としています。そのスタイルはクラシックミニ時代から、後ろに跳ね上げ式のドアを備えた3ドアハッチバックがスタンダード。その屋根を幌式としたのが、「クーパー コンバーチブル」です。
ひとめでそれとわかる丸目のかわいい車体は、外装色を10種類から選択可能。今回試乗したモデルはシックな「コッパー・グレー」。気分を上げるならレッドやイエロー、グリーンなどの明るい色味を、艶感のある上質さを求めるならブラックという選択肢もありでしょう。


幌は走行中でも約30km/hまでであれば、スイッチ操作で開閉可能。風による髪の乱れを最小限に抑えるウインドディフレクターを装備し、さらに屋根が40㎝だけ開くサンルーフモードも付いています。徐々に穏やかな気候へと変わるこれからの時季、オープンエアドライブで味わう開放感は格別! 幌を閉めれば外部の音をしっかり遮断してくれるこのモデルは、1台で2通りの使い方が楽しめる、とても贅沢な仕様なのです。


独創的なインテリアにときめく瞬間


インテリアも独自のMINIワールド全開。再生可能な素材を積極的に取り入れた内装が、まず目を引きます。そしてレザーフリーのプレミアムシートに身を委ねると、目の前がハンドルを通してとてもシンプルな空間であることに気づきます。通常、ハンドルの前方に設置される速度計などのメーター類はなく、前面パネル中央の大きな円形モニターに様々な情報や操作系が集約されています。高精細なモニター画面では、知りたい情報の種類によってアニメーションでの表示もなされ、とてもわかりやすくなっています。

MINIの特徴的なインテリアは代を重ねるごとに洗練を増し、いまや他の自動車ブランドでは味わえない世界観を創り出しています。このデザインの発想は極めてファッション的でもあり、だからこそ、「ハンドルの真ん前にメーターがあって、カーナビのモニターは四角い画面が見やすくて……」といった既成概念にとらわれない女性に、MINIをおすすめしたい理由でもあります。
「ヘイ、ミニ!」と呼びかければ、音声アシスタントが作動。さらに、デジタルアシスタントキャラクターの「スパイク」も現れ、たとえ渋滞にはまっても気持ちが和むこと確実。スマートでエンターテインメント性にも富んだドライブ体験が楽しめます。

電気自動車でスポーツカータイプのMINIも!


そして今回、もう1台試乗したのが、電気自動車の「JCW E」。Eはエレクトリックの頭文字で、前に付くJCWは、ジョン・クーパー・ワークスの略。これはクラシックミニの時代、主にレース部門で高い実績を残した自動車技術者の名に由来します。現在その名はMINIの高性能モデルに与えられ、「JCW E」もそのひとつ。電気自動車は発進した瞬間から力強く加速するのが特徴ですが、このモデルには「Eブースト」という加速装置的な機能も付いていて、アクセルペダルを踏みこむごとに、もう本当にぐいぐい走っていくのです。
と聞くと、男性的なスポーツカーのように乗り心地が硬くてスピードの上がりっぷりに怖さを感じるのでは? と思う人もいるでしょう。でもご心配なく。「JCW E」を含むMINIモデルはどれも地面にぴたっと張り付くような安定感があり、車体が小さいこともあって自分で操る楽しさが目一杯感じられる設計なのです。


刻々と変化するライフステージにおいて、多人数を前提とした広い乗車空間や荷室を備えた自動車がマストになることもあるでしょう。でも、まだそこまで大きくなくてよく、あるいは自分専用の1台が欲しいなら、MINIが断然おすすめ。前述のようにそれほど大きくはないサイズ感を最大のメリットとしていて、かつ、窮屈さを感じさせないデザインや演出が利いた、ラグジュアリーなパーソナルカーです。
今回紹介した2台以外にも魅力なモデルが充実し、内外装のカラーバリエーションやアクセサリーも多彩なMINIで、個性あふれるスタイルをつくり上げてみませんか?

【MINI COOPER CONVERTIBLE S】
ボディサイズ:全長×全幅×全高:3,880×1,745×1,435mm
車両重量:1,410kg
乗車定員:4名
仕様:右ハンドル、7速DCT(AT)
車両本体価格:¥5,140,000(税込み)
【MINI JOHN COOPER WORKS E】
ボディサイズ:全長×全幅×全高:3,860×1,755×1,460mm
車両重量:1,660kg
乗車定員:4名
仕様:右ハンドル、モーター駆動(AT限定免許で運転可能)
一充電航続距離(WLTCモード):421km
車両本体価格:¥6,160,000(税込み)
問い合わせ先
- TEXT :
- 櫻井 香さん ライフスタイルエディター