「シャネル・ネクサス・ホール」にてAIアートとエコロジーが融合する展覧会『Synthetic Natures もつれあう世界:AIと生命の現在地 ソフィア クレスポ / エンタングルド アザーズ』開催

東京・銀座3丁目に位置するシャネル銀座ビルディング 4階の「シャネル・ネクサス・ホール」では、コンサートとエキシビションの2つの柱をベースに、シャネルならではの注目度の高い企画展が開催され、毎回、話題となっています。
2025年10月4日(土)からは、AIアートとエコロジーが融合する展覧会『Synthetic Natures もつれあう世界:AIと生命の現在地 ソフィア クレスポ / エンタングルド アザーズ』が開催されます。ポルトガル・リスボンを拠点に活動しているアーティスト、ソフィア クレスポ (Sofia Crespo)氏と、彼女がアーティスト・デュオとして活動する『エンタングルド アザーズ(Entangled Others)』による最先端の作品は、世界のアートとテクノロジーが交差する臨界点で今、もっとも注目を集めています。期待が高まる展覧会について、詳しくご案内します。
昨年よりスタートした「Hasegawa Curation Lab.」とのコラボレーションによる展覧会シリーズの第二弾に注目
今回の展覧会は、東京藝術大学名誉教授で、京都大学経営管理大学院客員教授を務める長谷川祐子氏が主宰する、次世代を担うキュレーターを育成するプロジェクト「Hasegawa Curation Lab.」とのコラボレーションによるシリーズ第二弾となり、キュレーターに、キュラトリアル・コレクティブ「HB.」の共同代表である三宅敦大氏を起用。AIアートとエコロジーが融合する作品展に関心が高まっています。

ポルトガル・リスボンを拠点に活動しているアーティスト、ソフィア クレスポ(Sofia Crespo)氏は、人工知能(AI)と生命科学の融合において独自の詩学を築いたアーティストで、ニューラル ネットワークを通して生成されたイメージは、虫の翅(はね)や植物の胞子、深海クラゲのような形を成し、そのフォルムはAIが人間の観察力を模倣し、進化的な「創造行為」に踏み込むプロセスを可視化させています。

クレスポ氏とノルウェー出身のアーティスト/研究者のフェイレカン カークブライド マコーミック氏(Feileacan Kirkbride McCormick)によって2020年に結成されたアーティスト・デュオ『エンタングルド アザーズ』は、「エンタングルメント=もつれ合い」という概念を軸に、人間と非人間(more-than-human)のあいだにある関係性を、データと想像力を駆使して再構築。観測できない深海、システムとしての植物、非線形に変化するデジタル生態系――こうした複雑な振る舞いを、ヴィジュアルによる「シミュレーション」化して作品に表現しています。
テクノロジーや自然界の種の表象に潜むバイアスに問いを投げかける展覧会の見どころは?
本展では、海中2000メートル以深の世界を探る《liquid strata: argomorphs》(2025)、湧昇という地球規模の現象とAIの視覚言語を結びつけた《specious upwellings》(2022-2024)、そして遺伝情報とデジタルデータの構造を重ねた《self-contained》(2023-2024)を含む5シリーズを紹介。
映像、彫像そしてデジタルインスタレーションなどの展示作品が観るものに投げかけるのは、いずれも、断片的なデータと仮説から世界を読み解こうとする科学的営みと、詩的な想像力との交点に立ち現れるヴィジョン。
彼らの作品から感じる、テクノロジーを介して生成されたイメージは、自然の “代替物” ではなく、「人間が自然をどう見たいと願っているか」の深層を写し出します。そして、絡まり、共鳴し、変容していくそれらのイメージは、現実世界の見え方を静かに揺さぶっていきます。
◇《specious upwellings(見せかけの湧昇)》, 2022-2024

深海から冷たく栄養豊富な水が、海面近くへと押し上げられる「湧昇」と呼ばれる現象は、地球を覆う海洋全体で発生している非常に大きな運動で、海洋生物の生態系を支える重要な役割を果たしている。本作は、「湧昇」に関するさまざまなデータやイメージをもとに、AIを用いてビジュアライズした作品である。多様な情報がもつれ合って形成される「未知の生き物のようなイメージ」は、私たちが、巨大な現象の全容を捉えようとするほどに、そこに内包される複雑な関係性と、まだ知覚できない広大な領域の中に迷い込んで行くことを暗示している。

◇《self-contained(自己完結モデル)》 (2023-2024)

Art Singapore (credit Gazelli Art House)

(credit Coleccion SOLO)
遺伝子の構造をデジタルデータのコードと重ね合わせ、デジタルイメージの遺伝子組み換えをシミュレート
する作品。特定のイメージを中心に、そこに接木をしていくように様々なイメージのコードが、次々と付与されていくことで、全く新しいハイブリッドなイメージが生成される。また、遺伝子モデルを模した3Dプリント彫刻には、この過程を経て生まれたイメージのDNAデータが保存されている。デジタルデータと、生命の構造を重ね合わせ、イメージのエンタングルメントを生み出す本作は、自然とテクノロジーを並列に捉え、新しい関係性を模索する彼らの思考を表象している。
作品を通して、テクノロジーや自然界の種の表象に潜むバイアスに問いを投げかける展覧会『Synthetic Natures もつれあう世界:AIと生命の現在地 ソフィア クレスポ / エンタングルド アザーズ』は、2025年10月4日(土)より東京・銀座の「シャネル・ネクサス・ホール」で開催されます。
展覧会詳細について、また来館前は下記、公式ウェブサイトにアクセスして事前チェックをお忘れなく!
「Hasegawa Curation Lab.」とのコラボレーションによる第二弾となる展覧会『Synthetic Natures もつれあう世界:AIと生命の現在地 ソフィア クレスポ / エンタングルド アザーズ』
会期:2025年10月4(土)〜 12月7日(日)
時間:11:00〜19:00(最終入場 18:30)入場無料・予約不要
※イベント開催時は変更あり、最新情報は下記、ウェブサイトでご確認ください。
会場:シャネル・ネクサス・ホール(東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F)
問い合わせ先
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- EDIT&WRITING :
- 松野実江子(Precious.jp)