何度訪れてもまた行きたくなる街・京都。リピーターになると、ちょっと足を延ばして郊外へ。ここ数年急激に注目を集めているのが、宇治エリアです。さらに山間に踏み入れた場所にある正寿院は、約800年前に創建
されたと伝わっている高野山真言宗のお寺です。

正寿院の外観
最寄りの駅からもバスを乗り継いで1時間近くかかるのですが、全国からたくさんの人が訪れています。

季節ごとに表情を変えるハート形の「猪目」の窓

インスタグラムなどの投稿で話題を呼んでいるのが、ハート型の窓。これは「猪目」という古来よりある文様で、こちらのお寺のなかにはいくつも見つけることができます。この窓から見える光景は季節によって大きく変わりますが、新緑の季節もまた格別です。

ハート型の窓からは春は桜、冬は雪が見えていつ訪れても美しいと評判です。
ハート型の窓からは春は桜、冬は雪が見えていつ訪れても美しいと評判です。
花の絵がはめられた天井
天井には花の絵がはめ込まれています。

境内を無数の風鈴が躍る、夏の2か月限定の「風鈴祭り」

正寿院の別名は、「風鈴寺」。その理由は、夏の約2か月限定で境内を風鈴で埋め尽くされることから。京都の市内よりも平均して約5度低い気温を、風鈴の見た目や音などを通して人間の五感で涼を感じてもらいたいという想いから始まったこの試み。

正寿院の方によると、風鈴の原型となっているのはお寺に吊るされている、「風鐸(ふうたく)」という青銅製の鈴。厄除け・魔除けのために吊るされていて、これが聞こえる範囲には災いが寄らないと考えられていたそうです。

風鈴のトンネルに立ってみると、風が吹くと一斉に鳴り響く風鈴の音に心が洗われる心地がします。日々の生活でついた心の重しが、すーっと落とされるような心地になれる瞬間。

さまざまな風鈴
風鈴のトンネル
夏を感じる風鈴
風鈴祭りの様子
朝顔柄の風鈴
風鈴祭りは7月1日(日)〜9月18日(火)の開催

風鈴祭りは近年あまりにも評判を呼び、とくに週末に人が集中。そのため、2018年の夏から風鈴祭りの期間(7月1日〜9月18日)は事前予約制での参拝となっています。遠くから足を運んだ人がゆるりと風鈴の音を楽しむためには、それぞれが配慮してもやはり限界があります。もちろん、予約をして訪れても、静かに過ごすのがマナー。

予約は5月より始まっていて、チケットぴあのほか、往復はがきで希望日を申し込みするシステム。詳しくはホームページにてチェックしてみてください。

都心では騒音ととらえる人もいるため、なかなか窓辺に吊るしにくくなった風鈴。それが風の訪れとともに山間の里に一気に鳴り響く様は、どこか異世界に入り込んだような感覚。なかなか訪れるのは骨が折れる場所ですが、ひんやりとした風と、やわらかな風鈴の音を感じに行ってみませんか。

問い合わせ先

  • 正寿院
  • 風鈴祭りは7月1日(日)〜9月18日(火)
    ※8月17日(金)は施餓鬼会の為終日拝観できません
    住所/京都府綴喜郡宇治田原町奥山田川上149
この記事の執筆者
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WRITING :
北本祐子