2025年秋冬シーズンに、全く新しいオリジナルレザーを発表し注目を集めた「ヴァレクストラ」。続く2026年春夏シーズンでは、「新素材」をテーマにコレクションを展開。イタリアを代表する高級レザーグッズメゾンという揺るぎない立ち位置を築き上げた現在もなお、積極的に新素材の開発に取り組み、革新を続けるその理由は? 福岡の旗艦ブティックのオープンのために来日したグザヴィエ・ルゥジョーCEOにインタビューを敢行! メゾンの現在地やこれからの展望などを伺いました。
日本の美意識と通じる「ヴァレクストラ」のDNA
2025年9月、福岡・天神のランドマーク「ワン・フクオカ・ビルディング」1階に、九州最大規模の旗艦ブティックをオープンした「ヴァレクストラ」。ルゥジョーCEOは10月10日に開催されたオープニングレセプションに出席するために、ミラノから来日されました。
「日本におけるフラッグシップである東京ミッドタウン店、そして2023年に京都の花見小路にオープンしたカーサ ヴァレクストラと、日本でのプレゼンスの足がためを進めてきましたが、九州に私たちのメゾンの世界観を体感していただける空間をつくりたいとずっと考えていました。なので今回こうして実現できてとても嬉しいです」
オープンを記念し、メゾンを象徴するアイコン『イジィデ』から、有田焼のクロージャーとハンドルをあしらった特別モデルが登場。
クロージャーとハンドルに有田焼を用いるという意匠からは、「九州」という土地に対するリスペクトと、「素材」に対するイノヴェーティブなクリエイションに挑み続ける「ヴァレクストラ」の美学を伺い知ることができます。
「有田焼をバッグに用いたこのクリエイションに驚かれた方も多いかと思いますが、とてもご好評をいただいております。思うのですが、我々のメゾンのDNAと共通するセンスが日本にはあって。ヴァレクストラの、ピュアさやシンプルさ、静けさを大事にしながら機能性と審美性の融合を追求していく私たちのものづくりは、日本の人々の平和を愛する心に共鳴するのではないでしょうか」
伝統に敬意を払いつつ、イノベーションは決して止めない
福岡店のオープンに続いて、2026年春夏シーズンのコレクションを発表。そのテーマはとてもシンプルでストレート、ズバリ「新素材」です。
「今回も非常に多彩なアイテムをお届けできたと思います。例えばアイコン『イジィデ』ファミリーに新たに加わった『イジィデ エディター』。編集者たちが腕に新聞紙を抱えた姿から着想を得ていますが、動きの多い日常を送るすべての人に向けた、
モデル名にも冠されている「センソ」は、2025年秋冬シーズンに発表された、2種類の「ヴァレクストラ」オリジナルレザーのひとつで、仔牛の原皮から生まれるしなやかで深みのある色合いが魅力のヌバックレザー。メゾンを象徴する「ミレプンテ グレイン」という加工が施され、静かに、それでいながら強く、メゾンのアイデンティティを表現しています。
同時に、ミラネーゼが「小さなもの」を表す愛称にちなんだ『イジィデ ティン』も登場!
「『イジィデ ティン』は比較的お手に取っていただきやすい価格で、Precious読者のような成熟した大人の女性はもちろん、これからヴァレクストラの世界に入りたいと思ってくださっている方々にぜひお届けしたいバッグです。ヴァレクストラのDNAを確実に宿しながら、そこに“ティン”=“可愛い”という要素を加え再解釈しました。ストラップも付属しているので、クロスボティ、ショルダー、そしてストラップを外してクラッチとして ── アクティブな毎日を送る方たちの日常に、いつも寄り添うようなバッグです」
2025年秋冬に発表した新素材の特性と魅力を開花させた、2026年春夏の新たな『イジィデ』。メゾンはこうして新作のバッグをクリエイションするにあたり、まずは「素材」ありきで「デザイン」に取り掛かるのでしょうか? 逆に「デザイン」から「素材」を選定されるのでしょうか?
「両方のコンビネーションですね。今回は女性がデイリーに使いやすいバッグ ── ラグジュアリーでいながらエフォートレスに、デイリーにアクティブに使えるものをと考え、並行して素材開発も行いました。ご存じのとおり、ラグジュアリーバッグの市場というのは非常に競争が激しいので、そういったファクトをいちばんバランスのいい形で盛り込んだものをお届けしないといけませんから」
商品のひとつひとつに、夢と情熱を込めて
インタビューのなかで折々、ルゥジョーCEOはある言葉を口にしました。それは「シークレットプレジャー」。
「我々が皆さまにお届けしているのはただ単なるレザーグッズではなく、使う人にしかわからない喜びを、楽しさを感じていただける“シークレットプレジャー”です。 とりわけバッグというのは、非常に個人的なものを詰める道具です。バッグに触れ、フラップを開けるときの肌触り、また、クロージャーを開ける音ひとつから、使う方に喜びを与えてくれるようなものづくりをしたいんです」
そしてもうひとつのキーワードは「ウィスパリングラグジュアリー」。
「ファッションの世界では近年“クワイエットラグジュアリー”という言葉を耳にしますが、我々は真の意味での洗練を知る、本物の価値がわかるお客さまに、優しくささやくようなラグジュアリーを楽しんでいただきたいと思っています。とはいえ、突き詰めて考えると、バッグというのはアクセサリーでありファッション。もつ人の助けになり、その人をより輝かせ、ハッピーにするものでなければなりません。バッグはあくまでも脇役で、ヒロインはヴァレクストラのバッグを選んだ人なのですから」
2021年に現職に就かれてから4年が過ぎ、伝統を重んじながら革新を続ける「ヴァレクストラ」のクリエイションはますます輝きを強めています。これからルゥジョーさんは、どんなことを実現させていかれたいのでしょうか?
「語弊があるかもしれませんが、もっともっと多くの方々に使って愛されるメゾンに育てていきたいです。もちろん確かな価値を守りながら。具体的には、よりモダンなものをつくっていきたいと思っています。そしてやはりいつも情熱はもち続けていきたい。それは私自身もそうですし、我々が誇る職人やデザイナーが情熱をもって、商品のひとつひとつに夢を込めてお届けできるようなメゾンでありたいですね」
自らのメゾンを「ウィスパリングラグジュアリー」と語るルゥジョーCEOですが、「ヴァレクストラ」というメゾン、そして新素材やそれを使ったバッグについて語るときは「ウィスパリング」の対極。次々と溢れ出る言葉からは、熱い情熱が込められていました。これからホリデーシーズンに向けて、スペシャルなギフトを考えるシーズン。至高の「ウィスパリングラグジュアリー」に出合いに、「ヴァレクストラ」のブティックを訪ねてみませんか?
※掲載した商品は、すべて税込み価格です。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- EDIT&WRITING :
- 岡村佳代

















