日々の疲れを洗い流し、心身共にリフレッシュできる温泉旅。天然資源である温泉はその土地ごとの個性があり、ただ体が温まるだけでなく、全身の凝りがほぐれるのを感じられたり美肌に近づけたりなど、普段の入浴では得られないさまざまな恩恵をもたらしてくれます。

そうした温泉のポテンシャルをしっかりと実感できる東北の名宿を、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんがピックアップ。今回ご紹介するのは、青森県にある「八甲田ホテル」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の3000スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

雪景色も眼福!ブナの原生林を眺めながら国内屈指の酸性泉にひたる

標高およそ900メートル。青森・八甲田山の懐深く、雄大なブナの原生林の中に佇む「八甲田ホテル」は、「ヒバ千人風呂」で知られる「酸ヶ湯温泉旅館」の姉妹宿です。昔ながらの湯治場の面影を残す酸ヶ湯温泉とは趣きの異なる重厚なログハウス風のリゾートホテルでは、自然に囲まれた静寂な環境のなかで、日本屈指の酸性泉を堪能できると植竹さんは話します。

八甲田ホテルの外観
冬は辺り一面が雪に包まれる。
「八甲田ホテル」のエントランス
エントランスには、ニューヨーク五番街の「ウォルドルフ・アストリアホテル」のガス灯がともる。

「大浴場は、青森ヒバが使われたナチュラルな空間。露天風呂はなく内湯のみですが、大きな窓一面にブナの原生林の景色が広がり、四季折々の八甲田の自然を眺めながら入浴できます。特に冬場は、雪景色が圧巻。温かい湯に浸かりながら幻想的な白銀の世界を堪能できるのは至高のシチュエーションです」(植竹さん)

八甲田ホテルの大浴場
大浴場。

「泉質は、酸性・含鉄‐アルミニウム‐硫酸塩・塩化物泉。浴槽に浸かると酸性泉らしいピリピリとしたかすかな刺激があるものの、さまざまな成分が複雑にブレンドされたマイルドな湯が肌になじみます。豊富に含まれる鉄分のおかげで湯上がりに血色がよくなったのようにも感じられました」(植竹さん)

八甲田ホテルの水風呂
サウナや八甲田の伏流水を使用した水風呂もある。

こちらのホテルの宿泊客は、車で数分の場所にある「酸ヶ湯温泉旅館」も利用可能(ホテルからの送迎サービスあり)。その名物「ヒバ千人風呂」は混浴ではあるものの、湯浴み着のレンタルや女性専用時間もあり、混浴が初めての人でも安心して入浴できる環境です。

酸ヶ湯温泉旅館の名物「ヒバ千人風呂」
「酸ヶ湯温泉旅館」の名物「ヒバ千人風呂」。

「『酸ヶ湯温泉旅館』の泉質は酸性・含硫黄−ナトリウム−硫酸塩泉。『八甲田ホテル』は無色透明の湯ですが、『酸ヶ湯温泉旅館』ではにごり湯で、湯巡り気分を楽しめます。

160畳もの広さがある総ヒバ造りの『ヒバ千人風呂』は、4種類の浴槽があり、そのなかでも温泉ファンにとって垂涎の的は『熱の湯』。浴槽の底から直接源泉が湧き出している足元湧出の湯で、一度も空気に触れていない湯が新鮮そのものです。江戸時代から続く湯治場である酸ヶ湯温泉は、環境省指定の国民保養温泉地の第1号。全国的にも知名度の高いこちらの温泉にも、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか」(植竹さん)

空間美にもこだわったレストランで八甲田キュイジーヌを味わう

八甲田ホテルでの滞在は、温泉だけでなく、その食体験においても非日常的な充足感を与えてくれます。夕食は、ゲストの好みに応じてフレンチか和食から選ぶスタイル。フレンチは、ログハウス風の食事処で、大地の恵みをモダンに昇華させたクラシカルなコースを味わえます。

フレンチのレストラン
フレンチのレストラン。
フレンチの料理一例
フレンチの料理一例。

一方、和食の会場は、大きな窓からブナ林を間近に眺めるレストラン。八甲田伏流水を使用するなど水にも格別のこだわりがある和食会席コースは、四季折々の海の幸と山の幸の素材の魅力が繊細な職人技によって引き出されていると評判です。

和食レストラン
和食レストラン。
和食会席一例
和食会席一例。

以上、「八甲田ホテル」をご紹介しました。山の中のリゾートホテルにおこもりして、肌も心も磨いてくれるような名湯にじっくり向き合いたい人は次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?

問い合わせ先

  • 八甲田ホテル
  • 住所/青森県青森市荒川南荒川山1-1
    客室数/全55室
    料金/朝夕2食付き 2名1室¥69,300~(税込)
  • TEL:017-728-2000

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)