80代の大先輩に聞きました「働き続けるということ」

「働く」ことと、「働き続ける」こと。年齢を重ね、キャリアを積んできたプレシャス世代にとって、その言葉の意味合いはまったく違ってくるはずです。

人生の折り返し地点がどんどん後ろ倒しになっている今、80歳を越え、現役で活躍する御三方に、「働き続ける」をテーマにインタビューを敢行しました。

今回は、「キャシャレル」「ディオール」「シャネル」「コムデギャルソン」「イッセイミヤケ」などの写真や映像制作など、幅広い分野でご活躍のフォトグラファー、サラ・ムーンさんにお話しをうかがいました。

「仕事は人生そのもの。自分らしくあるために必要なもの。人生は驚くほど短いのよ」フォトグラファー  サラ・ムーンさん(84歳)

フォトグラファーのサラ・ムーンさん
今年サラさんが自身で撮ったポートレイト。

神秘的でどこかノスタルジック。儚くも美しい唯一無二の写真を手掛けるのはフランスを代表する写真家サラ・ムーンさん。モデル業のかたわら写真を撮り始め、1970年から写真家として活動を開始。「キャシャレル」「ディオール」「シャネル」「コムデギャルソン」「イッセイミヤケ」などの写真や映像制作など、活動は多岐にわたる。パリ近代美術館での展覧会は多くの観客を魅了し、今年エコール・デ・ボザールのグランプリを受賞した。

「好きなことをやり続けてこられたのは、とてもラッキーなことだと思っています。どんな仕事も敬意と誠意、プライドをもって120%の結果を出すべく取り組んできました。そのなかで、依頼された仕事であっても、常に“自分自身の表現”を追求しました。それが、写真家としての仕事へとつながった気がします」

これまで仕事を辞めたいと思ったことはありますか、と尋ねたところ即答。

「辞めたいと思ったことは一度もないです。仕事は人生そのものですから。ワークライフバランス? 私にはその概念はありません。働くことは生きること。もちろん辛くて困難な仕事もあったけれど、情熱をかたむけられるこの仕事は私のすべてだし、自分らしくあるために必要なもの。そんなふうに思える仕事を選ぶ自由は、誰にだってあるはずです」

人生は驚くほど短い、とサラさん。

「時間は人間に等しく与えられたものだけれど、どんなふうに生きるかで濃度は変わってくる。それならやりたいことをやって自分らしく生きたほうがいい。カメラは二度と再現できない一瞬の風景、記憶を切り取ります。撮った瞬間、すべては過去になる。その儚さも写真の魅力。何枚撮っても、“パーフェクト” だと思った作品はありません。だからこそ続けているのでしょう」

【サラ・ムーンさんの仕事年表】

フォトグラファーのサラ・ムーンさんの仕事年表
 

2026年5月10日まで何必館・京都現代美術館にて「About time Sarah Moon展」を開催中。何必館において約10年ぶり4度目の展覧会では、童話をもとにサラ・ムーンが綴った5冊の短編小説(写真と言葉、映像で構成)からの作品と映像を一堂に展示。

フォトグラファーのサラ・ムーンさん
パリの自宅にて、作品集を手にするサラさん(2000年)。
フォトグラファーのサラ・ムーンさんの作品
左/イタリアでの映画撮影の様子(1989年)。右/現在「何必館・京都現代美術館」で開催中の展覧会「About time Sarah Moon展」でも展示中の作品『Avec le temps 2001』。

【サラ・ムーンさんに一問一答!】

Q.好きな言葉は? 「儚い」。人生も儚いものだから。
Q.生まれ変わったら何になりたい? 鳥になって、日本の空を飛び回りたい。美しい自然、美しい街並みを見下ろしながら。

関連記事

EDIT&WRITING :
田中美保、佐藤友貴絵(Precious)