日々の疲れを洗い流し、心身共にリフレッシュできる温泉旅。天然資源である温泉はその土地ごとの個性があり、ただ体が温まるだけでなく、全身の凝りがほぐれるのを感じられたり美肌に近づけたりなど、普段の入浴では得られないさまざまな恩恵をもたらしてくれます。
そうした温泉のポテンシャルをしっかりと実感できる北海道の名宿を、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんがピックアップ。今回ご紹介するのは、道南・八雲町にある「銀婚湯」です。

公式サイト
まるで大人の宝探し!広大な森を散策し5つの「隠し湯」を入り比べる
函館から車を走らせること約1時間半。落部川(おとしべがわ)の清流沿いに佇む「銀婚湯」は、創設者が温泉を掘り当てた日がちょうど大正天皇の銀婚式だったことが名前の由来とされる老舗宿です。
まるで自然公園のような約9万坪の広大な敷地内は悠然と落部川が流れ、春には桜、夏には瑞々しい緑、秋には燃えるような紅葉、そして冬には静謐な銀世界と四季折々の表情を見せてくれます。そして、1周1時間程度の散策路が整備された森の中には“隠し湯”が点在し、ちょっとした探検気分を味わいながら湯巡りできるのも醍醐味です。
こちらの宿は5本の自家源泉を所有し、浴槽の数は男女合わせて11種類。日帰り利用も可能な大浴場のほか、宿泊者専用の貸切風呂が5つ(野天風呂4つ、内湯1つ)あります。
「広大な庭園の中に点在する貸切風呂はそれぞれ趣きがあり、秘湯感もたっぷり。例えば『トチニの湯』は、本館から吊り橋を渡り、さらに木々に囲まれた遊歩道を進んだ先にあり、米杉の木をくり抜いて作られた丸太風呂です。
目の前に落部川の清流が流れ、川のせせらぎを聞きながら、まるで森の一部になったような感覚で入浴できます。 野趣溢れる丸太の浴槽に浸かり、絶景と源泉かけ流しのよき湯をひとり占めできるのはこのうえない贅沢なひとときで、心も体も芯から解きほぐすことができました」(植竹さん)
「トチニの湯」を含め5つの貸切露天風呂は事前予約不要。フロントで鍵を借りて各湯処に向かつというスタイルで、どこへ向かうか迷うのも楽しみのひとつです。
「トチニの湯」と同じく森の奥へと足を進めた先にあるのが、石造りの「どんぐりの湯」。ミズナラの木々に囲まれたプライベート感溢れる空間は、静かに自分と向き合いたいときに最適です。秋には湯船のそばにどんぐりが転がり、季節の移ろいを肌で感じられます。
原生林の中にぽっかりと現れる「もみじの湯」は、その名のとおり、秋には鮮やかな紅葉に包まれる情緒豊かな湯処。四季折々に表情を変える景色を眺め、静かな森の呼吸を感じながら湯浴みするリラックスタイムは格別です。
カツラの巨木に見守られるように佇む「かつらの湯」は、甘い木の香りに包まれる空間。そして、隠し湯の中で唯一の内湯である「杉の湯」は、森の中の秘密基地のような湯屋で心静かに名湯を慈しむことができます。
お目当ての湯処の鍵を手に地図を頼りにしつつ森を歩くのは、まるで大人の宝探し。行く先々で自然の懐に抱かれながら心を無にして名湯に浸かれば、内面が穏やかに整い深い充足感がもたらされることでしょう。
地産地消にこだわった滋味深いおもてなし料理に舌鼓を打つ
湯巡りを堪能した後は、ご当地の恵みが詰まった夕食の時間。食材の鮮度と手作りにこだわった夕食膳は食前酒も自家製で、マルメロ(西洋かりん)の芳醇な香りと甘みが、これから始まる宴への期待を高めてくれます。
朝食は、“日本の理想の朝ごはん”ともいえるようなバランスのとれた和食メニュー。なかでも旅の思い出をしみじみと印象付けるのは、宿のスタッフが近くの海岸で採取してきた海藻「みみのり」を使ったお味噌汁です。 コリコリとした独特の食感と、磯の豊かな風味が広がるお味噌汁は、つややかな炊き立てご飯との相性も抜群で朝の活力を引き出してくれます。
以上、「銀婚湯」をご紹介しました。広大な森の中に点在する5つの隠し湯を巡るという非日常体験でリフレッシュしたい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
問い合わせ先
- 銀婚湯
- 住所/ 北海道二海郡八雲町上の湯199
客室数/全21室
料金/朝夕2食付き 2名1室1名 ¥15,550~(税込) - TEL:0137-67-3111
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 中田綾美
- EDIT :
- 谷 花生(Precious.jp)

















