【目次】

「寒天の日」っていつ?意味と由来】

■2月16日は「寒天の日」

日本一の寒天の産地は長野県特に茅野市を中心とした諏訪地方が、伝統的な「棒寒天(角寒天)」の生産量で日本一を誇ります。その茅野商工会議所と、長野県寒天水産加工業協同組合が制定したのが「寒天の日」。2005(平成17)年2月16日、テレビの全国放送で寒天が健康食品として紹介され、その後の大ブームにつながったのだとか。寒天の製造がこの時期大詰めを迎えることもあり、2月16日を「寒天の日」としたのです。


【そもそも寒天とは?原料・種類・ところてんとの違い】

寒天とは、あんみつなどに用いられるサイコロ状のものや、ところてんのこと? 寒天寄せという料理もありますね。ぷるぷるしたゼリーや葛と、似ているようで違う食感の寒天とは、どんな食品なのでしょうか。

■寒天とは

テングサなどの紅藻類を煮溶かして固め、凍結後に乾燥させた製品を「寒天」といいます。寒天誕生には次のようなエピソードが伝えられています。

江戸初期の1658(万治1)年の冬。京都・伏見の旅館が参勤交代途上で立ち寄っていた薩摩藩一行に提供したところてんの余りが屋外で凍り、それが日中溶けて乾燥、鬆(す)が入った乾物になりました。いわばフリーズドライですね。

それを水で戻してみると、海藻臭がなく透明で見た目のいいものができたのだとか。これをヒントに宿の主人が創製して売り出したのが寒天の始まりといわれています。天保年間(1830~44年)には現在の長野県諏訪地域に伝わり、当地の自然条件が寒天づくりに適していたため名物となりました。

■名前の由来

「寒晒しのところてん」から「寒天」と命名され、関西を中心に根付いていきました。

■原料

紅藻(紅藻植物)とは藻類の一種です。テングサやアサクサノリ、オゴノリなど多くは海産で、淡水産にはカワモズクがあります。

■種類

テングサを原料とした天然寒天には「棒寒天(角寒天)」と「糸寒天」の2種類があります。天然寒天は寒冷期の寒暖差を利用し、屋外での凍結と乾燥を繰り返す昔ながらの製法でつくられます。手作業が主で手間暇がかかり、気候条件にも左右されるので製造時期が限定されます。

一方、オゴノリを原料とした「粉寒天」は、海藻から人工的に寒天質を抽出して製造する工業製品です。1年を通して安定して製造供給できるので、食用だけでなく化粧品や芳香剤、医学研究の材料にまで用いられます。

それぞれ特徴が異なるので簡単にまとめましょう。

・棒寒天(角寒天):角柱形の寒天。もみ洗いしてからちぎって水で戻し、場合によっては裏ごしが必要など調理に手間はかかりますが、食物繊維が非常に豊富で、磯の香りがわずかに残る風味が特徴です。弾力のあるもっちりした食感はあんみつなどに用いたり、水ようかんなどしっかり形をつくりたい和菓子に向きます。

・糸寒天:固めるためではなく、そのまま食べるのに適しています。水に放って戻すだけで、刺身のツマや春雨のように使用可能。透明度が高く見た目が美しく、コリコリとした独特の歯ごたえが特徴です。スープの具やサラダ、和え物、寄せものなどに。

  • ・粉寒天:現代の家庭で最もポピュラーなタイプ。正確に計量でき、水に溶けやすく、裏ごしの手間も不要です。凝固力が強いので少量でしっかり固まるのが特徴。つるんとした食感で口当たりがいいので、 ゼリーやプリンづくり、炊飯時に混ぜたりも。

  • ■ところてんとの違い

    紅藻を煮出して固めたものがところてん、ところてんを凍結・乾燥させものが寒天です。寒天はところてんからの副産物、というわけです。


【寒天の栄養・カロリーと期待できること】

寒天の原料は海藻ですから低カロリーなのは知られたところ。しかし、それだけではない優れた健康食材としての魅力が寒天には豊富です。

■食物繊維やミネラルが豊富

乾燥した棒寒天100gあたり食物繊維が約74g! しかもこの食物繊維は、水溶性と不溶性の両方の性質を併せ持っています。現代人に不足がちといわれているミネラルも豊富!

■期待できる健康効果

  • ・整腸作用:便をやわらかくし、腸の掃除をしてくれるので、お通じの改善に役立ちます。

  • ・糖質と脂質の吸収抑制作用:食後に血糖値が急激に上がるのを抑えたり、コレステロールを体外に排出する手助けをしてくれます。

  • ・強い体をつくる:海藻由来のミネラルには、カルシウムやマグネシウム、鉄分も豊富。骨や歯の健康維持や、代謝を助けて筋肉の動きをサポートする効果が。貧血予防にも貢献します。

  • ■もちろんダイエットにも!

  • 棒寒天100gあたりのカロリーは水分を含んだ状態で約3kcalと、究極の低カロリー食品! お腹の中で水分を吸って膨らむため、少量でも満腹感を得やすく、食べ過ぎ防止に役立つのだとか。


【ゼラチンVS 寒天:違いと失敗しない使い分け】

寒天と見た目や用途が似ているのがゼラチンです。こちらも調理や製菓でゼリー形成に用いるゲル化剤の一種。寒天は紅藻植物からつくられますが、ゼラチンは動物由来! 牛や豚などの骨や皮、腱などに含まれる硬たんぱく質のコラーゲンを水とともに加熱して分解し、水溶性にした誘導たんぱく質と呼ばれるものなので、寒天とは全く違う性質が。良質の材料を用いた精製度が高い、淡色透明のものが、食用ゼラチン(精製ゼラチン)です。

寒天とゼラチン、それぞれ調理に向き不向きがあるので、しっかり理解して使用してください。

■「常温では溶けない寒天」は和菓子やお弁当にも!

・食感:凝固力が非常に強いのでしっかり固まりますが、ほろっと崩れて歯切れが良いのが特徴です。

・凝固温度:90度以上のしっかり沸騰した湯で数分間煮溶かして使用するのが失敗しないコツ。水に入れて火にかけ、沸騰状態で2分ほど撹拌するとよく溶けます。溶け残ると冷ましてもうまく固まらないのでご注意を。常温(30〜50℃)で固まり、一度固まると85度以上に加熱しない限り溶けません。

・適した料理:水ようかんや牛乳寒天、煮凝り、寒天寄せ、型抜きしたい料理などに。主に和菓子や日本料理に向いています。常温で放置しても溶けないため、タレを固めるのにも便利。お弁当に重宝します。

■「体温で溶ける口溶けのいいゼラチン」は洋菓子向き

・食感:ぷるぷるとした食感となめらかな口溶けが特徴です。

・凝固温度:沸騰させてしまうと凝固力が弱まるので、50〜60℃で煮溶かして使用。冷蔵(20℃以下)することで固まります。生のパイナップルやキウイなどの分解酵素を含む果物と一緒に使用すると固まらないため、フルーツゼリーなどは加熱した果物を使用するのがコツです。

・適した料理:プリン、ムース、ババロア、レアチーズケーキ、ゼリーなどの洋菓子全般に。ハンバーグや餃子、しゅうまいなどのひき肉料理の種に少量混ぜると、ジューシーさがアップします。


【寒天の“いちばん簡単”な取り入れ方】

食物繊維やミネラルが豊富で、便通やダイエット効果も期待できる寒天は、ぜひ食生活に取り入れたいものですね。棒寒天で手づくり和菓子――はハードルが高そうですが、「これならズボラ飯にも!」という方法をご紹介しましょう。

■味噌汁やサラダに入れるだけ!

糸寒天や粉寒天なら、あたたかい味噌汁やスープなどの汁物に、そのまま入れるだけでOK! フリーズドライなどの即席みそ汁やスープにプラスするのもおすすめです。糸寒天は溶けませんが、コリコリした食感が楽しめますよ。サラダや和え物に、水戻した糸寒天を加え混ぜても。

■お米と一緒に炊飯!

究極は寒天を炊飯に使用すること。目安は米1合に対して寒天1gです。粉寒天なら米と水と一緒に入れるだけなので、究極のズボラ健康めしに。炊き上がったご飯はツヤもアップするようです。


【市販品を買うなら:おすすめ商品と選び方】

棒寒天、糸寒天、粉寒天と紹介してきましたが、用途による商品の使い分けをおさらいしましょう。究極に使い勝手がいいのは…購入時に役立てて!

■棒寒天

和菓子全般、煮凝りや寒天寄せなどの和食に。

■糸寒天

サラダや汁物、和え物の具として。

■粉寒天

洋菓子づくり、ご飯や汁物に。

■粒寒天

米粒状の寒天も市販されています。一緒に炊飯してもOKですが、水で戻した粒寒天を炊き上がったご飯に混ぜればかさ増しに!

■この売り場をチェック!

このほか、タブレット状の固形寒天や、「スープ用寒天」「サラダ用寒天」という品名で市販されているものも。スーパーなどで購入する際「どの売り場に?」と迷うかもしれませんが、まずは乾物コーナーを探してみて。かつお節や干ししいたけ、だし昆布、乾燥わかめなどと並んでいることが多いようです。粉寒天は、ゼラチンと一緒に製菓材料コーナーでも見かけます。また、最近では健康食品の売り場にあることも。寒天が健康食品であるという認識が広まっているということですね。


【寒天にまつわるFAQ】

■毎日食べていい?

健康にいいとはいえ、食べすぎは禁物です! 豊富な食物繊維が腸の掃除をしてくれるわけですが、摂りすぎると消化不良や腹痛を引き起こすことも。食物繊維は消化に時間がかかるので、胃腸に自信のない人はご注意を。また、食物繊維は水分を抱え込む力が強いので、便通がよくなるのを通り越して下痢を引き起こすこともあります。毎食のように寒天を使用した料理を食べるとか、毎食後に寒天スイーツ…というのは、人によっては摂りすぎかもしれません。毎日少量ずつ、を心がけて。

■胃腸が弱い人以外に気を付けたいのは?

・乳幼児:離乳食に活用したらよさそう…と感じた人もいるのでは? 寒天は体温では溶けないので、噛む力が未発達な乳幼児が大きな塊の寒天を飲み込んでしまうと、喉に詰まらせるリスクがあります。生後7~8か月の離乳食中期以降から、細かく刻んだり、しっかり煮溶かしてから与えましょう。

・妊婦:便秘になりがちな妊婦さんには推奨食品ですが、食物繊維は水分を大量に吸収するので水分を十分に摂らずに食べると逆に便秘が悪化したり、お腹が張ったりすることがあります。料理に活用するなら、食べるときには+コップ1杯の水など、いつもより多めの水分も一緒に。

・高齢者:噛み砕きや飲み込む力が衰えてくる高齢者は、唾液の分泌量も減ってくるので、寒天の弾力が誤嚥の原因になりかねません。また胃腸のはたらきが弱い人同様、大量摂取は消化不良を引き起こすことも。やわらかめに固めたり、糸寒天はしっかり戻して細かく刻むなど、調理を工夫して。

■適した保存方法、日持ちは?

植物由来の寒天は雑菌が繁殖しにくいという性質をもっていますが、保存料などを使用しない家庭料理では、安全でおいしいうちに食べ切るのが鉄則です。

冷蔵保存で2~3日を目安に。常温保存は真夏でなければ数時間なら大丈夫です。糸を引く、ぬめりがある、酸っぱいにおいがする、味が変わった、色が濁った…などはNGです! ようかんのように砂糖を大量に使ったものは、糖度が高いので冷蔵保存で5〜7日程度もつことがあります。しかし砂糖を控えめにしてつくったものや、牛乳や果汁を使用したものは傷みが早いので、2日以内に食べ切るのがいいようです。

■冷凍保存できますか?

冷凍保存すると、解凍してもスポンジのようにスカスカ、ボソボソになってしまい、元のみずみずしい状態には戻りません。見た目も透明感が失われ、白っぽく濁ってしまうので、調理した寒天の冷凍保存はNGです。

■粉寒天が固まらない原因は?

手軽に使える粉寒天ですが、うまく固まらないことも…。考えられる原因は複数あるのでチェックしてみて!

・沸騰時間が足りない:粉寒天はすぐに溶けたように見えても、分子レベルでは溶けきっていないことがあります。 沸騰したら弱火にして、よく溶けるようにかき混ぜながらさらに2分程度、と覚えてください。

・強酸性や分解酵素を含む果物などと一緒に加熱する酸と一緒に加熱すると寒天の植物繊維は分解されてしまい、固める力が失われます。果物を使用する際は、寒天を完全に煮溶かし、火からおろしてから加えるのがコツです。

・砂糖を入れるタイミングが早すぎる:寒天が完全に溶ける前に砂糖を加えると、砂糖が水分を抱え込んでしまって寒天が溶け残る原因に。

・水分量が多すぎる:寒天の量に対して、水や牛乳などの水分が多過ぎても固まりにくくなります。

・牛乳を冷たいまま加える:せっかく溶けた寒天に、冷蔵庫から出してすぐの牛乳を一気に加えると、部分的に固まってダマになることが。牛乳は室温に戻しておくと失敗が少ないですよ。

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寒天に健康食品というイメージをもっていた人も、知らないことがたくさんあったのでは? 適量でも食べ方に工夫が必要な場合もあるのですね。寒天とこしあん、水でつくる水ようかんは夏の風物詩ですが、冬季に物産展やデパートの全国銘菓コーナーなどで見かけるようになった福井名物の「水ようかん(でっちようかん)」はご存知でしょうか。一般的な夏の水ようかんよりあっさりしています。しっかり冷やしてから暖かい部屋でいただくのがおすすめです!

この記事の執筆者
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参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/『日本食材百科事典』(講談社)/『デジタル大辞泉』(小学館)/長野県公式観光サイトGo NAGANO( https://www.go-nagano.net/ )/農林水産省( https://www.maff.go.jp/index.html )/ :