アンドリウス・アルチュニアンによる、瀝青と音が横断する「未来の冥界」
銀座メゾンエルメスのギャラリー「ル・フォーラム」にて、2026年2月20日(日)より、アンドリウス・アルチュニアンの日本での初個展「Obol」がスタートしました。アルメニア/リトアニアのアーティスト・作曲家であるアンドリウス・アルチュニアンは、2022年の第59回ヴェニス・ビエンナーレをはじめ、上海、光州、リヨンのビエンナーレに参加するなど、精力的に活動しています。
また、本展覧会はエルメス財団が、東京・根津のオルタナティブ・スペース「The 5th Floor」のディレクター、岩田智哉氏をゲスト・キュレーターに迎えて開催するものです。
今回のル・フォーラムでの展覧会で、アルチュニアンは「冥界の未来的なヴィジョン」を想像しています。あらゆる文明は、儀式や神話、図像を通して、今世と来世のどちらの生をも統御する方法を生み出してきました。秘教的文献、神話の断片、トランス、消失の象徴が「地下レイヴの美学」を通して立ち現れる本展は、「冥界者のためのクラブ」として、時間・未来・神話についての問いを投げかけます。
一連の新作によって構成される本展で、アルチュニアンは「瀝青(れきせい)」という物質を制作に用いています。「瀝青」は、天然に得られる炭化水素化合物の総称で、天然アスファルトやコールタールなどのことを指し、ビチューメンとも呼ばれます。瀝青は、かつては聖性を付与されながら、現代では世俗的用途に転用されています。
本展では、この極めて粘性が高く漆黒の物質である瀝青をイメージの起点に、“冥界の渡し守カロンの神話”や、古代の宗教から語り継がれる神にオマージュを捧げています。
かつて古代ギリシャの死者たちは、冥界への川を渡るためにカロンに支払う銀貨を口に含んで埋葬されたそうです。展示空間に布置されたカロンへの渡し賃の銀貨オボルや蛇、生成的な神話的図像が、未来の冥界における儀式を想起させます。
また、アルチュニアンが創出する重層的な「音」は展示空間を横断しながら全体を結び合わせ、遊戯性と厳粛さを兼ね備えながら、冥界に冷ややかなアンセムを響かせます。
思弁的で瞑想的な本展を通して鑑賞者は、アルチュニアンの向かい合う未来の冥界のための儀式に触れ、その儚い境界の旅へと足を踏み入れることができるでしょう。
【アーティストプロフィール】
■本展の開催に合わせて、「The 5th Floor」ではグループ展を開催しています
展覧会名:Deep in the Sway
会期:2026年2月21日(土)〜 5月10日(日)
開館時間:13:00~ 20:00(入場は19:30まで)
休館日:火曜日、水曜日
入場料:¥500
会場:The 5th Floor
住所: 東京都台東区池之端3-3-9 花園アレイ5階
公式サイト:https://the5thfloor.org
【ガイド・ツアー】
会場スタッフの解説と共に、「Obol」アンドリウス・アルチュニアン展を鑑賞するガイド・ツアーを開催します。
日時:2026年3月20日(金・祝)以降の毎週金曜日、3月29日(日)、4月12日(日)、4月29日(水・祝)、5月9日(土)、5月24日(日)
時間:17:00〜(約40分、日本語のみ)
集合場所:銀座メゾンエルメス ル・フォーラム 9階
※予約不要。
※開始5分前までに9階の会場スタッフにツアーご参加の旨をお知らせください
以上、銀座メゾンエルメスの「ル・フォーラム」で開催中の展覧会、アンドリウス・アルチュニアン「Obol」をご紹介しました。会期中には、ゲスト・キュレーター岩田智哉氏によるギャラリー・ツアーも開催されますので、チェックして足を運んでみてはいかがでしょうか。
【展覧会詳細】
アンドリウス・アルチュニアン「Obol」| Obol by Andrius Arutiunian
- 会期:2026年5月31日(日)まで
開館時間:11:00〜19:00(入場は18:30まで)
休館日:水曜日 ※開館日時は予告なしに変更の可能性があります
入場料:無料 - 主催:エルメス財団
会場:銀座メゾンエルメス 8・9階 ル・フォーラム
住所:東京都中央区銀座5-4-1
TEL:03-3569-3300
公式サイト:https://www.hermes.com/jp/ja/content/343162-mgeditopagearticleforumf73/
問い合わせ先
- TEXT :
- Precious.jp編集部

















