インディじゃなくて、アンディ。人の名前ではありません。『An Di』はベトナム語で、召し上がれという意味。そう、ここは今、話題のベトナム料理店。
美味しいワインとベトナム料理のお店『An Di』
五感を刺激するお洒落なレストラン
場所は神宮前。外苑前のキラー通りから青山熊野神社方向に少し入る。予約至難のフレンチ『フロリレージュ』、千駄木から移転した『焼鳥今井』など人気店がひしめくエリア。
2017年夏にオープンした『An Di』は、元銀座『レカン』のシェフソムリエだった大越基裕さんがオーナーということで、ワインとともに洗練されたベトナム料理が楽しめると、あっという間に噂が広がった。西麻布『キッチン』や大久保『ベトナムちゃん』、代々木公園『ヨヨナム』などワインが飲めるベトナム料理店はあったが、『An Di』は空間からしてハノイのお洒落なフレンチカフェのよう。料理に合わせて自然派ワインなどをグラスでペアリングしてくれ、従来とは違ったスタイルにハマる人が続出している。
店自慢のワイン
発酵食品を使ったベトナム料理が自慢!
この『An Di』、2018年3月から新しいシェフに替わった。西麻布の名店『レフェルヴェソンス』でスーシェフを務めた内藤千博さんだ。料理もさらに洗練度が高まった。しかも発酵食品をうまく取り入れているところがユニークだ。
『An Di』名物の「ティーリーフサラダ」
名物は「ティーリーフサラダ」。その名の通り、お茶の葉を使用しているが、発酵させているのがミソ。季節の素材とともに器に美しく盛られて供されるが、全てをよく混ぜてから食す。これが一瞬、フリーズしてしまうほどの衝撃。この風味はお茶? でもただのお茶じゃない。独特の酸味や苦み、そして旨みが口の中で競演する。緑茶を使った料理としては画期的で斬新。この個性的な風味は、しっかり自然派ワインにも合う。
お次は茹で春巻き。え? 春巻きって茹でるのもあるの? 目の前に出てきた「ホタルイカとウドの茹で春巻き、トマトと爽やかなハーブ」は、透明なトマトの冷たいスープに茹でた水餃子型の春巻きが浮かぶ。中にはホタルイカが1尾丸ごと入っていてインパクトも抜群。組み合わせが絶妙だが、調理も丁寧なので旨みも強い。
この日のメインは「子羊の炭火焼き 塩漬けレモンとオリジナル焙煎スパイス」。皿が出てきた途端に、シナモンやクローブの香りが。添えられたパウダーをなめると少し甘みもある。聞けば、花椒(ホアジャオ)とブラウンシュガーも使用しているとのこと。これに自家製マヨネーズと黄金柑のスライスが添えられ、これらをみな子羊の切り身につけて口に運ぶと、うーん、トレボン! 素材も選び抜かれているとは思うが、この味わいの組み合わせは舌にも胃にも心にも優しい。だからまた自然派ワインが進んでしまう。
シメの「どっさりハーブと本枯節のフォー」も秀逸だ。ここが日本であることを再確認させてくれるような出汁に、ふんだんに添えられたハーブを手でちぎって放り込み、一緒に麺をずずっとすすれば、幸福感に満ちたエンディング。と思いきや、まだデザートもありますよ!
6,500円のコースメニュー(この日は7品)に4,900円のドリンクペアリングの組み合わせ。基本ワインだが、日本酒が組み込まれることもある。この夏、ちょっと新しいエスニック体験をするなら、絶対アンディ。インディ、ウソつかない(笑)
問い合わせ先
- An Di TEL:03-6447-5447
■An Di アン ディ
住所:東京都渋谷区神宮前3丁目42-12
営業時間:火曜~金曜:18時~23時(L.O.)
土曜、日曜:12時~13時30分(L.O.)、18時~22時(L.O.)
定休日:月曜日
アクセス:外苑前駅より、徒歩4分
※料理はアラカルトもあり。
- TEXT :
- インディ藤田
公式サイト:インディ藤田 のキッチン