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「補綴」とは?「読み方」「意味」をわかりやすく解説

4月12日は、公益社団法人日本補綴歯科学会が制定した「補綴の日」です。みなさんは「補綴」という言葉をご存知でしょうか? 読めますか? 健康と美容のためにも「補綴」は知っておくべき! 「補綴の日」をきっかけに、「補綴」についての知識を身につけましょう。

■読み方1「ほてい」

「補綴」にはふたつの読み方があり、それぞれ意味が異なります。

「ほてい」と読むと「破れなどを繕う」という意味に。転じて「手を加えて不足などを補いよくすること」を表します。「論文を補綴(ほてい)する」は、その論文を加筆修正して手を加えるという意味になります。

■読み方2「ほてつ」

今回取り上げるのは「ほてつ」と読むほうの言葉です。こちらは「歯の欠損を義歯・金属冠などで補い、機能を修復すること」という意味。どちらも大まかにいえば「修復する」という意味でちょっと紛らわしいのですが、今回は「補綴(ほてつ)」について学びましょう。


「補綴」は何をする治療?歯科での「役割」と「目的」

補綴歯科治療では、虫歯や怪我などで欠けたり抜けてしまった歯を補うだけでなく、見た目を整える、きれいにすることも可能です。また、噛み合わせや顎関節症、睡眠時無呼吸症候群の治療なども補綴歯科治療に含まれます。補綴治療の役割は歯の機能を整え回復させることですが、目的は正しく噛んでおいしく食べたり、笑顔で会話を楽しんだりと、生活の質(QOL)を向上させることにあるのです。


「補綴治療」の種類|「被せ物」「詰め物」「入れ歯」「インプラント」】

「補綴専門」を掲げる歯科医院や、補綴を専門とする歯科医師(日本補綴歯科学会の専門医など)が在籍する医院があります。そんな歯科での補綴治療はさまざま。主な治療方法を解説します。

■クラウン(被せ物)

歯の一部が欠けたり虫歯になった場合の選択肢。神経が生きている場合は虫歯を治療をし、神経が死んでいる場合には土台を立てる根の治療をし、不足部分を補うように被せて整えます。金属製と、歯の色に近いプラスチック製やセラミック製があります。場合により、保険適用か自費診療に。

■インレー(詰め物)

欠損部分が比較的小さく、歯の大部分が残っている場合に有効な治療です。穴や欠けを埋める素材もさまざまで、強度が強い金属製(銀歯)や、比較的治療が簡単なコンポジットレジンの場合は保険適用の場合も。美しく仕上がるセラミックやジルコニアは自費診療になります。金を使用するのが歯の健康に適しているといわれますが、見た目と高額な自費治療費が難点。

■デンチャー(入れ歯、義歯)

歯を失った部分を補うために用いられる取り外し式の装置が「デンチャー(入れ歯・義歯)」です。失った歯の本数や位置に応じて、「総入れ歯」と「部分入れ歯」に分けられます。

■インプラント(人工歯根)

インプラントは、歯があった部分の顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療です。原則として自由診療ですが、症例によっては例外的に保険適用となる場合もあります。

■ブリッジ

ブリッジは、失った歯の両隣の歯を支えにして人工歯を固定する治療です。取り外しの必要がない一方、支えになる歯を削ることがあります。

このほか、見た目を整える「審美補綴」として、ラミネートベニアやオールセラミッククラウンなどが選ばれることもあります。


【「補綴治療」の「費用相場」と「保険適用」の考え方】

補綴治療の費用は、「保険診療」と「自由診療(自費診療)」のどちらで行うかによって大きく異なります。

保険診療では、機能回復を目的に、使用できる材料や治療方法があらかじめ定められています。そのため、費用は比較的抑えられる一方で、見た目や耐久性の選択肢には一定の制限があります。

一方、自由診療では、セラミックやジルコニアなど審美性や耐久性に優れた素材を選ぶことができ、装着感や仕上がりにもこだわることが可能です。

ただし、費用は医療機関ごとに異なり、全額自己負担となるのが一般的です。

■費用の目安はどのくらい?

補綴治療の費用は、治療内容や使用する素材、歯の状態によって大きく変わります。

保険診療の場合:数千円〜数万円程度(自己負担割合による)

自由診療の場合:数万円〜十数万円以上(1本あたりが目安)

※あくまで一般的な目安であり、症例や医療機関によって異なります。

■費用で後悔しないためのポイント

補綴治療は、見た目だけでなく「噛む・話す」といった日常生活に直結する治療です。費用だけで判断するのではなく、以下の点を確認しておくと安心です。

治療の目的(機能回復か、審美性も重視するか)

使用する素材とその特徴

治療後のメンテナンスや耐久性

見積もりや治療計画の説明が十分か

治療を始める前に、複数の選択肢を提示してもらい、自分にとって納得できる方法を選ぶことが大切です。


【「補綴歯科」とは?「一般歯科」との違い】

「補綴歯科」と「一般歯科」は、いずれも歯科医療の一分野であり、歯科医師であれば補綴治療を行うことは可能です。そのうえで、補綴歯科は、失われた歯や噛み合わせを回復する治療に専門的に取り組む分野とされています。

より高度な補綴治療や複雑な症例に対応するため、日本補綴歯科学会では認定医・専門医・指導医といった資格制度が設けられており、専門的な知識と技術を有する歯科医師が在籍する医療機関もあります。

多数の歯が欠損している場合や、インプラントと義歯を組み合わせる治療、噛み合わせの問題が大きいケースなどでは、こうした専門的な視点からの診断や治療が有効とされることがあります。

最後に、「補綴歯科」と「一般歯科」の違いを整理します。

■補綴歯科

失われた歯や欠けた歯を、人工物(補綴装置)によって補い、噛む・話すといった機能や見た目を回復することを目的とする分野です。代表的な治療には、被せ物(クラウン)、詰め物(インレー)、入れ歯(義歯)、ブリッジ、インプラントなどがあります。

■一般歯科

虫歯や歯周病などの治療、予防、定期検診など、口腔内の健康を維持・管理するための基本的な歯科医療を担う分野です。日常的な診療の中で補綴治療が行われることも多く、必要に応じて矯正歯科や口腔外科、補綴歯科などの専門分野と連携する役割もあります。

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歯が欠けたり失われたりした場合に、補綴装置によって口元の機能を回復し、日常生活の質の向上につなげる補綴歯科治療。4月12日の「補綴の日」は、こうした補綴治療の重要性を広く知ってもらうことを目的に制定された記念日です。日付は、4(フォー)10(テン)2(ツー)で「フォーテンツ」→「ホテツ」と読む語呂合わせに由来しています。

「補綴」という言葉の意味や役割を知ることは、歯の健康を見直すきっかけにもなります。毎日の食事や会話をより快適に楽しむために、補綴治療について理解を深めておきたいところです。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/日本補綴歯科学会( https://hotetsu.com/ )/ :