今月のMs.Precious……東京都大田区在住、50歳の弁護士。小学校から大学まで一貫して国公立で、司法試験合格後は都内のファームに10年勤務。結婚・出産を機に独立し、現在に至る。大学の同級生2名と共同経営する法律事務所では主にファイナンス案件を担当している。物心ついた頃から実家のクルマはメルセデスだけを乗り継いできたということもあり、自分も「メルセデスか、それ以外か」というメルセデス信者である。マイバッハは運転手がいてこそサマになるという先入観があったが、初の「ドライバーズカー」ということで、目下SL680に興味あり。

今月のクルマ……【MERCEDES-MAYBACH SL 680 MONOGRAM SERIES】
Maybachの名は、自動車産業の黎明期にダイムラー社を技術面で支えた天才エンジニア、ヴィルヘルム・マイバッハに由来します。当時のマイバッハは最高峰の技術と豪華なつくりによって仕立て上げられた、まさに超高級車の規範そのものでした。戦後、長らく沈黙を守っていたそのブランドが再び世に姿を現したのは2002年のこと。その出自に違わず、メルセデス・ベンツの技術の粋を惜しみなく注いだ大型最高級サルーン(マイバッハ57/62)として華々しく発表されます。2014年には現在へと直接連なる大きな転換が図られ、メルセデス・マイバッハとして、メルセデス各モデルの最高峰を担うサブブランドへと昇華。今日ではS、EQS SUV、GLS、SLへとラインナップの裾野も広がり、絢爛たるモデル群を擁するその姿は、1930年代のマイバッハの栄光をどこか彷彿とさせます。ある意味において、このブランドの真の意味での復興を、いま静かに成し遂げつつあるといえるかもしれません。

松任谷正隆が選ぶ「いま、このクルマで聴きたい音楽」……JUJU 「Love Me Tender」

私は単純にこのボンネットのモノグラムは美しいと思う――Ms.Precious

旅行_1,国内旅行_1
「渋谷の109横で友人をピックアップしたら、助手席に座るなり『みんながマイバッハだ!マイバッハだ!って言ってたよ』って。存在感はハンパありません」(Ms.P)

Ms.Precious わあ、すごい。モノグラムなんですね!

松任谷 最初、ちょっと引きましたけど……。

Ms.Precious どうして? カッコいいじゃないですか。

松任谷 うーん、女性にはいいかもしれないけど、僕にはちょっと派手かなあ、と。変ですよね。自分のクルマじゃないから関係ないんだけど。でもいざ乗るということになると、借り物だとは思わないだろうから……。

Ms.Precious へえ、意外。そんなこと考えるんですか。

松任谷 考えますよ。クルマって人から見られるものですからね。どうしたって。

Ms.Precious まあ、そうですよね。だからクルマ選びは面白いとも言えますよね。

松任谷 だから、なるべく夜を狙って走ってきました。人気の少ない高速道路とかでね。

Ms.Precious へえ、で、どうだったんですか? よかったですか? それが聞きたいわ。

松任谷 それはお乗りになってご自分で決めて下さい。やっぱり先入観は良くないと思うので。

Ms.Precious それより松任谷さんのそのバッグ、ちょっと気になるわ。

松任谷 あ、これですか? これ、最近買ったんですよね。

Ms.Precious 知ってます。私、ウェス・アンダーソンの映画好きだから。ダージリン急行ですよね。

松任谷 そうですね。なんだかちょっと恥ずかしいな。

Ms.Precious えっ? どうして?

松任谷 パッと見て分かりやすいものって恥ずかしいんですよ。

Ms.Precious 大丈夫。女性はそんな目線で見ないから。でも、松任谷さんの好みはちょっと分かったような気がします。

松任谷 それも恥ずかしいな。

Ms.Precious そういうのって男性と女性ではずいぶん違うと思うんですね。だから私は単純にこのボンネットのモノグラムは美しいと思う。

旅行_2,国内旅行_2
「モノグラムの塗装はオプションで¥1,100,000だそうで……。好みは分かれるようですが、押し出しの強いモノグラム仕様といい、グレード名の680といい、もしかして中華圏のお客様を意識?(68は中華圏において、商売繁盛を意味する最強数字)」(Ms.P)

松任谷 まあ僕も心の中ではそう思いますよ。よく見るとすごく立体感があるし。なんでも塗装の仕方がすごく凝っているみたいで。

Ms.Precious 当然オプションですよね。私はこれをつけたいと思うし、松任谷さんは逆ですよね?

松任谷 まあ、そうかなあ……。

Ms.Precious でもよく見ると、至るところにこのモノグラムがちりばめられていますよね。

松任谷 びっくりしますよね。特にこのフロントのラジエーターグリルの下なんか……。

旅行_3,国内旅行_3
「この透かしの感じ、和室におけるふすまの上の欄間みたいで私は好きです」(Ms.P)

Ms.Precious まあ、すごい。ちょっと気がつきませんでした。全部モノグラムでデザインされているんですね。

松任谷 徹底してますよね。でもね。よく見てください。このモノグラムのデザイン。

Ms.Precious はい?

松任谷 マイバッハ・モトーレンバウだから、MMなんですよね。

Ms.Precious はあ。

松任谷 僕もMM。松任谷正隆だから。

Ms.Precious あ!! いいじゃないですか。最高だわ!

松任谷 だから乗っているうちに、これもありかなあ、なんてね。

Ms.Precious そうですよ。まるでモノグラムをオートクチュールにしたみたいじゃないですか。

松任谷 幌までそうですからね。

Ms.Precious なんだか羨ましくなってきました。

松任谷 ちょっと複雑な気持ちだなあ……。まあ乗ってみましょうか。

Ms.Precious 中も真っ白なのね。カリフォルニアの青い空が似合いそう。

松任谷 ああ、確かにL.Aのロデオドライブあたりにいつもいそうなクルマです。

旅行_4,海外旅行_1
「内装はどこもかしこも純白で素敵です。フロアマットも真っ白でフワフワで、この美しさをキープするためのメンテナンスが私にできるか心配。みんなどうしているのかしら」(Ms.P)

Ms.Precious そうですね。あそこはまるでクルマの品評会みたいになってますよね。いつもいつも。

松任谷 メルセデスはよくご存じだとか……。

Ms.Precious はい、正直に言えば、メルセデスばかり。他のクルマを知りません。なんだか他のブランドは信用出来ないっていうか……。

松任谷 なるほど。メルセデスばかりという人は僕も大勢知ってます。僕も昔はそうだったんですけどね。

Ms.Precious 今は違うんですか?

松任谷 信頼性は他のブランドも同じくらい上がってますからね。ただ、メルセデスには神話のようなものがあって、それがいまだに生きているんですよね。

Ms.Precious やっぱり、信頼性は高かったと言うことですか?

松任谷 そうですね。作りもダントツに良かったし。

ゴージャスを目指すブランドがスポーツとどういう折り合いを付けるか――松任谷

Ms.Precious マイバッハって、昔乗せてもらったことがあるんですけど、今はメルセデスベンツの中のひとつのブランドになってるんですか?

松任谷 昔って、戦前の話ではないですよね? であればそうですね。2002年にマイバッハの名を復活させた時はメルセデスの名前はなかったですから。2014年くらいにメルセデスのサブブランドとなった。そしてこれからは種類を増やしていく作戦なんでしょう。そういえばセンチュリーもそうですね。

Ms.Precious というと?

松任谷 センチュリーからもSUVとかクーペとかいろいろなものが出てくるらしいです。

Ms.Precious へえ。ではメルセデスAMGはどうなんですか?

松任谷 まあ、確かに同じとも言えますよね。複数の車種を束ねたひとつのサブブランドになっているという意味では同じ。でも性格付けは明らかに違いますね。あちらはスポーツ。そしてマイバッハはひたすらゴージャスです、見れば分かるけど。

Ms.Precious これはスポーツカーではないんですか?

松任谷 いいところをつきましたね。そこなんですよ。ゴージャスを目指すブランドがスポーツとどういう折り合いを付けるか、というところね。とりあえず走りましょうか。

Ms.Precious はい。スターターはこれね。ではエンジン掛けます。

松任谷 どうですか? この音。

Ms.Precious 上品ですね。でもちょっとどう猛な感じもするけれど。

松任谷 そうなんだよなあ。そこなんですよ。微妙でしょ?

Ms.Precious ステアリングフィールはしっとりとしてますね。でも素材のせいかねっとりと感じますね。納豆をかき回しているような……。

旅行_5,国内旅行_4
「外側はピアノ塗装のウッド、内側はホワイトのナッパレザー。私はこの握り心地が好き」(Ms.P)

松任谷 あ、それ、僕もそう思いました。ステアリングホイールって材質によってこんなにも印象を変えてしまうものなんですよね。

Ms.Precious 私の今のメルセデスは革巻きだと思うけれどもっとスッキリしてますからね。ではスタートします。

松任谷 まず、ドライブモードは一番柔らかいので行きますね。

Ms.Precious うーん。

松任谷 どうしました?

Ms.Precious これが柔らかいモードなんですか?

松任谷 コンフォートに星が着いていて、これがマイバッハモードと言うらしいです。

Ms.Precious 私が変なのかしら。硬く感じます。

松任谷 変じゃないです。僕も硬く感じます。特にこういう低速ではそう感じるんですよね。そういうときに、これはマイバッハと言うよりもSLなんだ、と思うんです。

Ms.Precious だいぶ前にSLに乗っていたことがあるんですけど、もう少し優しい感じがした記憶があります。

松任谷 時代と共にSLも骨太になって行きましたからね。それにしてもちょっとゴツゴツしてますね。AMGと比べてみたくなってきました。

  • 旅行_6,国内旅行_5
    ホイールは21インチ。これは¥880,000のオプションです
  • 旅行_7,国内旅行_6
    こんなところにもMMエンブレムが

誉め言葉として捉えてください。このクルマ、上品に下品です――Ms.Precious

Ms.Precious 高速に乗っていいですか。

松任谷 はい、ヘッドアップディスプレイ邪魔じゃないですか?

Ms.Precious ヘッドアップディスプレイってこのフロントスクリーンに映っている情報のことですか?

松任谷 はい。借りている間消したくても消す方法が分からなくて。

Ms.Precious ちょっと待ってくださいね。これではどうかしら。ヘイメルセデス! ヘッドアップディスプレイを消して!

松任谷 消えました?

Ms.Precious はい。

松任谷 なんだ……その手があったのか……。さすがメルセデスオーナーですね。

Ms.Precious 最近のクルマは便利ですよね。

松任谷 そうねえ。僕は自分の歳を痛感させられるようになってきてますよね。

Ms.Precious どんな加速をするのか試してもいいですか?

松任谷 どうぞ。

グアーン……

Ms.Precious すごいですね。上品に下品です。

松任谷 なるほど、それはよく分かります。上品に下品ね……。

Ms.Precious でも、安定してますね。速度を出すと乗り心地も良くなってきました。滑るよう。

松任谷 そうですね。コンフォートモードを試してみましょうか。どうですか?

Ms.Precious あ、高速道路ではこっちのほうがいいかも、です。乗り心地はあまり変わらずで安定感が上がりました。

松任谷 ではこのスポーツモードは?

Ms.Precious あ、これはちょっと……。なんだかアクセルにすごく敏感になって運転しづらいです。

松任谷 まあ、慣れでしょうけど、そうですね。よりスポーツになって、AMGとの棲み分けが難しくなりますよね。でも、あんなにガチガチにはならないところがマイバッハなんでしょうね。

Ms.Precious ちょっとそこのパーキングエリアに入って幌を上げてもいいかしら。

松任谷 えっ? 上げるんですか? 真っ昼間に?

Ms.Precious 恥ずかしいですか?

松任谷 いや、大丈夫です。上げましょう

Ms.Precious このボタンを引くのね。

松任谷 はい。全部自動なのでチャイムが鳴るまで引き続けてください。

Ms.Precious うわー、面白い動きをするんですね。かっこいいです。

旅行_8,国内旅行_7
「マイバッハと聞くと大きさ的に扱いにくいと思いがちだけど、これは運転しやすいサイズ。どうしよう……ほしくなってきた」(Ms.P)

松任谷 そうですね。このトランク周りの両サイドの動きが面白いですね。

Ms.Precious じゃあ、このまま走り始めますよ。用意はいいですか?

松任谷 はい。

Ms.Precious 気持ちいい!! 風がそよそよと気持ちいいです。

松任谷 シート後ろのディフレクターが効いているのか、高速でも風の巻き込みが少ないですよね。

旅行_9,国内旅行_8
「運転席と助手席の後方中間にある透明のディフレクター、これがあるのとないのでは大違い。ヘアスタイルの乱れも気にならないんです。そして座席の後ろの荷物置きスペースも白の皮革が貼られています。なんて贅沢なの! 音響システムはドイツのBurmester」(Ms.P)

Ms.Precious 素敵だわ。嫌いなところがひとつもありません。

松任谷 ではお買い上げですか?

Ms.Precious そうですね。そうしたらたまに乗ってくださいね。

松任谷 えっ、なぜ?

Ms.Precious だってMMでしょ?

旅行_10,国内旅行_9
 

今月のクルマ
【Mercedes-Maybach SL 680 Monogram Series】
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,695×1,915×1,365mm
車輛重量:2,000kg
車両本体価格:¥36,500,000~(今回の掲載モデルはオプション込みで¥39,070,000)

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

問い合わせ先

メルセデス・ベンツ日本

TEL:0120-190-610

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
PHOTO :
小倉雄一郎(小学館)
WRITING :
松任谷正隆
EDIT :
三井三奈子