移りゆく時の流れを、涼やかなグラスで味わう至福。そんな贅沢を、いつもの日常に心ゆくまで…【テーブル時間を豊かにする「名作グラス」】
涼しげな夏の一杯と共に、時間の流れに身を任せる。たゆたう光に癒やされる。そんな心地よさを演出してくれるグラス。ベーシックを極めた先に選びたいのは、さりげなく個性が光るモダンなデザイン。日常使いからアートピースとしても楽しめる、テーブルに寄り添う名作をご紹介します。
器のプロの愛用品!インテリア&フードスタイリストふたりの「グラス愛」
気になるのは、センスのいい人のいつものグラス。日常で愛用する定番から注目の作家ものまで、人気スタイリストが、師弟でグラスについて語ります。


色や絵付けも楽しみたい。使いやすいのは小さめ!
西崎弥沙さん(以下、西崎):最初に魅せられたグラスは何でした?
Chizuさん(以下、Chizu):23歳の頃に旅した沖縄で初めて見た琉球ガラスかな。コーラ瓶などの再生ガラスだと聞いて驚いて。気泡の入ったグラスがどこか気になったのよね。その後、料理家の有元葉子先生のお料理に触れるなかで、土着的なニュアンスが程よく抜けた民藝の素敵さを感じ、仕事でも “ウィリアムズ・ソノマ” などのネイティブな雰囲気のものを使ったりしていたかな。
西崎:私は上京した直後、当時広尾にあった「F.O.B COOP」で買った “デュラレックス” の『ピカルディー』グラスが、意識してグラスを選んだ最初だったと思います。
Chizu:私は今も “デュラレックス” を使っているのよ。定番ではなく、ゆがんだ形の『ティプシー』グラス(写真下)。丈夫よね。弥沙ちゃんはふだんはどんなグラスを使っているの?
西崎:私はピーター・アイビーさんの『ビベレ』です。毎晩これで『アサヒスーパードライ』を飲んでいます(笑)。居酒屋のビールグラスほどの大きさで、缶ビールを注ぎながら、本当に気持ちよく飲めるんです。人に贈ることも。ピーターさんは、六角形のグラス(写真下)も面の美しさに惹かれて、ゼリーなどのデザートに使ったりもしています。
「デュラレックス」“ティプシー(=ほろ酔い)” で見える世界観を形に
「ピーター・アイビー」スモーキーな色も心地いいデザートカップとしても
“朝の煎茶もグラスで。食卓の景色を完成させるグラスは、遊び心のあるものが気分!”──Chizuさん
Chizu:グラスは小さめのものが使いやすいよね。私は毎朝、煎茶を2杯飲むのが日課ですが、煎茶の色も楽しみたいからアンティークのクリアグラスを使っているのね。まさにビールグラスほどのサイズで、飲み口が少し広がっていて口に入る量がちょうどいいんです。一気に入ってくるとむせるじゃない?(笑)。大きいグラスは人を招くときくらいで、実は日常ではあまり登場しないかも。
西崎:小さめだと、ピックや観に行った展覧会のチケットなどを入れておけますよね(笑)。最近、カラーグラスもまた増えていますね。
Chizu:色やエナメルの絵付けも多彩よね。今年登場した “バカラ” の『アルクール』のウイスキーグラスのセット(写真下)もイラストがとてもユニーク。こういう柄は実は黒い漆器と相性がよかったりもするから、ハレの日に使うのもいいと思う。ただ、お値段はかわいくない(笑)。
「バカラ」モダンアートのような自由な世界観が楽しい
“色や絵付けを楽しんだり、ときには少し緊張感のあるものを選んだり。グラスはとても自由なアイテム!”──西崎弥沙さん
西崎:絵付けでいえば、“ロブマイヤー” の『ビューティフル・ナンバーズ』(写真下)は環境問題をテーマにした視点も素敵で、世界で売り切れているとか。葉っぱの柄なので、ハーブティーに合わせたいです。
Chizu:これから選ぶなら、ほどよく個性が出せるものもいいよね。例えば、木村硝子店のハンドメイドの『バッハ』シリーズは、どのグラスもステムが低めで長さが揃っているので、形は王道だけれど、テーブルに並んだ時の景色も楽しかったり。
西崎:シーンを問わず使えて、人気ですよね。私は人を招くとき、木村硝子店のワイングラスとタンブラーのセット(写真下)を使っています。1組ずつ重ねて出せるのもスマートで、少しかしこまっておもてなしするときは、これと白いお皿だけでテーブルがきれいにまとまるんです。機能性でいえば、“ユミコ イイホシ ポーセリン”の耐熱グラス(写真下)もおすすめです。板ガラスをカットしただけのようなフラットなフットもユニークで、ティーバッグのひもを垂らしてお茶を淹れる姿もよくて。
「ロブマイヤー」シンプルななかに環境へのメッセージを込めて
「木村硝子店」ワインとウォーターグラス重ねた姿も美しい
「ユミコ イイホシ ポーセリン」佇まいは優しく、耐熱のタフさも頼もしい
Chizu:作家さんでは、山野アンダーソン陽子さんや谷口嘉さんも、シンプルだけに収まらないところが素敵よね。
西崎:高橋禎彦さん(写真下)のグラスもおへそのモチーフなどが素敵!
Chizu:ちょっとしたディテールにワクワクするのよね。技巧の素晴らしさでいえば、江波冨士子さん(写真下)。小さなガラス片をつなぐ「ムッリーネ」という技法を用いていて、5mm角ほどのガラス片に花や生き物などが描かれている緻密さにも驚きます。海外で学ばれたキャリアから多彩な情緒を感じて、眺めるだけでも楽しくて。こういう技術と遊び心はプレシャス世代にこそ楽しんでもらえると思う。グラス選びの正解は、お好み。まずは好きな色や柄をふたつくらい買って使ってみると楽しくなる気がします。
高橋禎彦|ギザギザ、ぐるぐる、おへそ。ガラスの光や質感を堪能
江波冨士子|別世界へと誘う緻密な技巧と美しさ
西崎:グラスの抜け感で食卓がこなれた印象にもなりますよね。
Chizu:飲み物が中に入ることで、食事をする光景が見えてくるし、立ちものであるグラスは食卓の景色を完成させてくれるもの。それに、グラスの透明感は清潔感も感じさせてくれるのよね。
西崎:テーブルやその人自身の余白も感じられますし。グラスのコーディネート、もっと楽しみたいですね。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
※価格は取材時点(2026年4月)のものです。
※サイズは個体により異なる場合があります。
※作家のグラスの販売は個展のみの場合もあります。
※西崎弥沙さんの【崎】は「たつさき」が正式表記です。
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