日本各地で育まれてきた高度なものづくりの技術と、若き担い手たちの感性が結びついた「新時代のジャパンラグジュアリー」を、ギフトという形で提案しているスタイリスト・河井真奈さん。今回ご紹介いただくのは、京都で100年以上にわたり京扇子を手掛ける老舗「大西常商店」の『うつし香(うつしこう)』です。
「扇子というと、暑さをしのぐための道具というイメージがありますよね。でも実は、平安時代には香を焚きしめた扇に想いを託し、香りと共に気持ちを伝える文化があったそうです。そんな日本人ならではの美しい感性を現代に甦らせたのが『うつし香』。風に香りをのせて楽しむという、古くて新しい体験に心惹かれました」(河井さん)
四季を彷彿とさせる香りと繊細な手仕事が融合した『うつし香』。扇ぐたびにほのかな香りがふわりと漂い、日本人が古くから大切にしてきた「香りを愛でる文化」が、現代のライフスタイルに心地よく溶け込みます。その魅力について、河井さんに語っていただきました。
平安の香文化を現代へ…「風と香りを楽しむ」新感覚の京扇子
「大西常商店」は、大正2(1913)年創業の京扇子の老舗。1200年以上の歴史をもつ京扇子の伝統を受け継ぎながら、現代の暮らしに寄り添う新しい価値を提案し続けています。
京扇子は一本完成するまでに約87もの工程を要し、扇骨づくりや紙貼りなど、それぞれを専門の職人が担う高度な分業制によって支えられているとのこと。しかし近年は、職人の高齢化や後継者不足により、その伝統を次世代へどうつないでいくかが課題となっています。
そんな京扇子の新たな可能性を示すプロダクトとして生まれたのが、『うつし香』です。平安時代の貴族たちが香を暮らしに取り入れ、想いを伝え合っていた香文化に着想を得たもので、 扇ぐたびに風と共にほのかな香りが漂います。季節を問わずいつでも気軽にささやかな涼をとれるのはもちろんのこと、ふとした瞬間に香りでリラックスできるのが魅力です。
「一般的な扇子は、中骨の先端に香りを付けるものが多いそうですが、『うつし香』は紙を支える竹全体に香りを纏わせています。それにより、扇子を広げた瞬間から自然に香りが立ち上がり、扇ぐことでさらに心地よく香りを楽しめるのです」(河井さん)
その扇骨には、京扇子づくりを支える竹加工の産地として知られる滋賀県産の竹を使用。 さらに、囲炉裏の煙で燻された「本煤竹(ほんすすだけ)」の趣を再現した「焼き煤竹」を採用することで、落ち着きのある深い色合いに仕上げられています。
また、和紙を3枚貼り合わせた丈夫な扇面は表裏共に同じ意匠で仕立てられているため、どの角度から見ても美しい仕上がり。さらに、表面には職人が刷毛を使って雲母(きら)粉を一枚ずつ手作業で塗布。光を受けるたびに控えめな輝きを放ちます。よく見ると刷毛の跡がほんのりと残っているのも、機械では生み出せない手仕事ならではの味わいです。
「見た目の美しさはもちろんですが、風、香り、そしてバッグから取り出してそっと扇ぐ優雅な所作まで含めて楽しめるのが『うつし香』の魅力です。忙しい毎日のなかでも、ひと扇ぎするだけで気持ちがふっと整う。そんな豊かな時間まで贈ることができるのは、この扇子ならではだと思います。
そして、性別や年代を問わず使いやすいサイズ感で軽量なのもいいですよね。オプションの扇袋や桐箱を合わせれば、より特別感のあるギフトになります」(河井さん)
桜、檜、白檀、沈香…京都の移ろいを映した4つの名香
河井さんが「futo」のためにセレクトしたのは、京都の情景を映した4種類のラインナップ。「春めく」は、桜がほころぶ春の景色をイメージした優美な桜の香り。「夜あけ」は、夜明け前の静けさを思わせる凛とした檜の香り。「月かげ」は、艶やかな月夜を表現した奥深い白檀、「あわ雪」は、静かな冬景色を映した清らかな沈香の香りです。
いずれも、日本の四季の移ろいを感じられる名香ばかり。強く香るのではなく、扇ぐことでふわりと漂う控えめな香りが上品です。
日本の伝統技法と現代の感性が響き合う「うつし香」は、単に涼をとるためだけでなく、心地よい香りで心を整えることができる小さな名品です。大切なあの人の日常に、日本伝統の美意識を届ける特別な贈り物として、選んでみてはいかがでしょうか。
※掲載商品の価格はすべて税込みで、記事公開時のものです。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 中田綾美
- EDIT :
- 谷 花生(Precious.jp)

















